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【国連大学】カリブ地域の生物多様性と気候変動【日本・カリブ】⑤
カリブ諸島は13,000種の植物、1,500種以上もの脊椎動物が生息し、この地域でしか見られない固有種も多数みられるなど、豊かな生態系に恵まれた地域です。一方でこの地域の生物多様性は、気候変動の悪影響をはじめ、多くの脅威に直面しています。カリブ諸国の外相が日本の学術関係者や専門家とともに、カリブ地域の「気候変動と生物多様性」について、将来の日本の関わりやカリブ共同体間の協力を含めた議論を行います。 【パネルディスカッション】環境保全と持続可能な開発のためのカリブ共同体と日本のさらなる連携のために 三村信男(茨城大学教授、地球変動適応科学研究機関長)、金子与止男(岩手県立大学総合政策学部教授)、井田 徹治(共同通信社科学部編集委員) 放送URL lv25540450 ④sm12076133 ⑥sm12076424
<セーブアース>日本が原発依存から脱却すべきこれだけの理由/松久保肇氏(原子力資料情報室事務局長)
2回シリーズで日本の原子力政策を取り上げているセーブアース。能登半島地震が露わにした原発のリスクを取り上げた前回に続いて、今回はそもそも原発に拘泥し続ける日本のエネルギー政策がいかに経済合理性を欠いた時代遅れのものであるかを、原子力資料情報室事務局長の松久保肇氏とともに考えた。
現在、世界では28の国が原子力発電所を保有し、今後も運転を継続していく意向を明らかにしているが、世界には193の国があるので、実際に原発を行っている国は全体の15%に過ぎない。その一方でドイツ、マレーシアなどかつては原発を推進していた国が既に脱原発を図っているほか、スペイン、スイス、ベルギー、台湾の4か国が将来的な脱原発の方針を打ち出している。また、ロシアなどの積極的な輸出攻勢の下で、新たに16の国が将来的には原発を導入したい意向を示しているが、その多くが経済的な基盤が弱い発展途上国であり、実現する可能性は乏しいと考えられている。実際、新たに原発を導入する意思を表明している多くの国では、原発建造コストがその国の年間の国家予算を超える規模になるため、原発輸出元となるロシアなどからの借金で建造するしかない。
世界の総発電量は1985年から2022年の間に約3倍に膨れているが、その間の原発の発電量はほぼ横ばいなため、総発電量に占める原発の比率は年々下がり続けている。原発とは対照的に、その間、再生可能エネルギーの発電量は右肩上がりで急増しており、今や全発電量に占める再エネの比率が29.91%に達しているのに対し、原発は9.15%に過ぎない。再エネと比べて原発は明らかに時代遅れな発電方法になっている。
その最大の理由はコストだ。 原発の発電コストが200ドル程度なのに対し、再エネは太陽光が100ドル前後、風力は50ドル前後まで下がっている。原発の建造コストも度重なる事故によって安全基準が強化されたこともあり、かつての10倍以上の5兆円まで膨れあがっている。 しかも、原発は建造までに長い年月を要するうえ、一度稼働したらその後40年から60年は運転し続けなければならない。無論、その間に使用される核燃料の廃棄方法にもメドは立っていないし、万が一事故が起きれば損害額が青天井になることは、日本自身が身を以て経験しているはずだ。
核兵器の保有国では核関連の人材や技術を維持する上で原発が必要という側面があるが、核を持たない日本が明らかに経済合理性を欠いた原発にこだわり続ける理由が一体どこにあるのだろうか。原発輸出という野望もすべて失敗に終わり、地震大国の日本が原発を維持する理由は何も見当たらない。にもかかわらず、政府は未だに2030年に原発の発電比率を20~22%まで増やしていく計画を放棄していない。
その理由を松久保氏は 「国家のメンツと惰性しか考えられない」と言うが、そのようなもののために地震のたびに放射線漏れのリスクに怯えながら、経済的にもコスト高な原発を維持していくことが日本にとって本当に得策なのか。原子力資料情報室事務局長の松久保肇氏と環境ジャーナリストの井田徹治が議論した。
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<セーブアース>ペット消費大国日本に住むわれわれが知っておかなければならないこと/西野亮子氏(WWFジャパン 野生生物グループ長&TRAFFICプログラムオフィサー)
第19回セーブアースでは、最近増えている希少な野生生物をペットとして飼育することの問題点を取り上げた。
フクロウカフェやハリネズミカフェなど最近、さまざまな珍しい動物たちと触れ合えるカフェをよく目にするようになった。生き物との接触をウリにしたお店はアジア地域に多く存在し、とりわけ日本では犬や猫以外の珍しい動物を扱う店が増えている。また、珍しい爬虫類の展示即売イベントも全国各地で開催されているが、その中には絶滅危惧種が販売されているケースも多くみられると、WWFジャパンの西野亮子氏は指摘する。
希少生物に直接触れる機会が多くなったことで、野生生物をエキゾチックペットとして家庭で飼育しようと考える人が増えている。特に爬虫類は、散歩の必要がなく狭い場所でも飼育できるため飼育しやすいと安直に考える人が多いようだが、実際にはこうした生き物に適した環境を整えるのは容易なことではない。特に希少動物の場合、飼育方法も確立されていないため、病気になった時の対応も難しい。
西野氏は希少動物は人工的な繁殖方法が確立されていない場合が多いため、野生の状態で捕獲した個体を市場に流している場合が多いという。しかし、野生生物をペットとして飼育することになると、さまざまな問題が生じる。
まず、野生動物を商業目的で捕獲するようになると、その動物を絶滅に追い込むリスクが高まる。野生生物の捕獲については地域や国によって規制が異なり、まったく保護されていない場合もあるし、生息地域では規制があっても国際取引には規制がない場合もある。また、日本に持ち込まれれば、日本国内に何ら規制が設けられていない場合もある。仮に違法な輸入が判明した場合でも、生息地に戻すことは困難なので、最終的には国内の動物園などに引き取ってもらうしかない場合もあるという。
また、野生動物の飼い方にも問題がある場合がある。例えば、スローロリスはSNSで可愛い姿が発信されたことで人気を呼び、密猟や密輸が増えたためにワシントン条約でペットとしての輸入が一切禁止されるようになっているが、嚙まれると人体に毒が入り危険なため、抜歯して飼われる場合があるという。このように動物の福祉という意味からも問題が指摘されている。
WWFによると、世界の脊椎動物は急激に減少しており、その個体群数は1970年から2018年の間に69%も減少しているという。さらに、絶滅危惧種を列挙したIUCNのレッドリストによると現在、4万4000種を超える野生の動植物が絶滅の危機に晒されているという。これはIUCNが評価対象としている種の28%を占めるが、そもそも評価対象となっている種は全体の5%に過ぎない。そのため実際にはこれより遥かに多くの種が絶滅の危機に瀕していると考えられている。
希少生物は愛らしい見た目や珍しさが目を引き、これをペットとして飼いたいと考える人が出てしまうのは理解できる。しかし、これらの可愛い希少生物を絶滅に追い込むことなく、この先も地球上で共存していくためにわれわれは何をしなければならないのかは知っておく必要があるだろう。西野氏と環境ジャーナリストの井田徹治と、今回からセーブアースの司会陣に加わったキャスターの新井麻希が議論した。
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<セーブアース>高断熱・高気密で快適で環境に優しい住宅を/前真之氏(東京大学大学院工学系研究科准教授)
地球環境に関わる諸問題を掘り下げるセーブアース。第22回の今回は日本の住宅問題を扱う。
グテーレス国連事務総長が「地球沸騰化」とまで言う現代。国内だけでも最高気温は大幅に上昇し、猛暑日の日数も増え続けている。地球温暖化への対応が急務であることは論を俟たないが、そうした中で、日本では見落とされがちな対策がある。それが住宅の断熱性だ。
住宅の断熱性を向上させれば、冷暖房に使われるエネルギーを大きく節約することができる。しかし、近年まで極端な気温の上昇がなかった日本では、風通しを良くすることを重視した夏棟住宅が多く建設されてきた。風通しの良い夏棟住宅は気密性が低いため、自ずと冷暖房の使用量が多くなってしまう。
住宅環境が専門で断熱に詳しい前真之東京大学准教授は、省エネに効果のある技術として、「断熱・気密」、「高効率設備」、「太陽エネルギーの活用」の3つを挙げ、日本は高効率設備に熱心な分、断熱・気密と太陽エネルギーの活用が疎かになってきたと指摘する。
2025年度から住宅を建設する際の断熱・気密対策の義務づけが始まることになったが、義務づけられている基準はまだ非常に緩いものだと前氏は言う。現在の基準は2030年度までに引き上げられる見込みだが、その水準でもまだ不十分だと前氏は言う。
太陽エネルギーの活用については、東日本大震災後に再生可能エネルギーの有利な価格での買取りを義務付ける固定価格買い取り制度(FIT)が始まった。2011年当初は、バブルと言ってもいいほど太陽エネルギーの発電量が急増したが、その後買い取り価格の低下とともに発電量は伸び悩んでいる。
そもそもこれら3つの技術は、相互に組み合わせることによって省エネルギーが実現できるものだ。また、それが実現できれば、住宅としてもより快適なものとなる。
環境に優しく快適な生活を送ることのできる住宅とはどのようなものか、そしてそれをどのように普及させていくのか。前真之氏と環境ジャーナリストの井田徹治、キャスターの新井麻希が議論した。
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<セーブアース>特別編・ギニアビサウ取材報告 地球温暖化による海面上昇に喘ぐ最貧国の現状
地球環境問題を考えるセーブアース。第21回の今回は特別編として、司会を務める井田徹治による、地球温暖化による海面上昇に喘ぐ西アフリカの国、ギニアビサウの取材のレポートをお送りする。
地球温暖化に伴う海面上昇の影響を受ける国ということでは、これまでビデオニュースでもツバルの現状を何度か取り上げてきた。実際、ツバル以外にもモルディブなどの小さな島国が海面上昇に対してもっとも脆弱であることは間違いない。
しかし、海面上昇はもはや島嶼諸国だけの問題ではない。今回井田が取材した西アフリカのギニアビサウは島国ではないが、それでも地球温暖化によって国家存亡の危機に瀕している国の一つだ。
ギニアビサウが海面上昇によって受ける被害は深刻だ。例えば、今回井田が取材に赴いたジョベル村では海面上昇の影響で井戸に海水が混入したり、海水が農地に入り込み作物が育たなくなるなど、元々貧困な国の生活環境が更に悪化している。国連主導で行われた海岸近くの住民を内陸に移住させる策も、移住先の住民との間で摩擦が生じ紛争にまで発展したことで、頓挫してしまった。環境難民の移動が紛争を引き起こす事例は、ギニアビサウに限ったことではないが、特に元々貧困な国では住民間に大きな摩擦を引き起こす場合が多い。
海面上昇は地球温暖化によって海水が膨脹したり、氷床が溶けたりすることで発生するものだが、気温上昇と実際の海面上昇の間には長いタイムラグがある。そのため、現在の地球気温の急激な上昇が潮位に直接反映されるまでにはまだ多少の時間的な猶予がある。しかし、海面の上昇は確実に、そして加速度的に進行している。世界人口の大半が海岸線近くの低い土地に住んでいることもあり、このまま海面上昇が続けば、世界中で何千万、いや億人単位もの住民が現在の住み家を追われる環境難民化する恐れがある。その意味で海面上昇は地球温暖化や気候変動の中でももっとも重大な問題だ。
海面上昇については、2040年くらいまではゆっくりと進むが、2050年ごろから急激な上昇が始まると考えられている。地球の気温上昇を現在の目標値の2℃までに抑えられた場合でも海面は地球平均で50cmから3m上昇するとされるが、IPCCの非常に高いシナリオの場合、2mから最大で7mの上昇が、南極の氷床の溶解が始まった場合、最大で15m上昇する危険もあることが予想されている。ちなみに1mの上昇で東京23区の7割が、15mの上昇だと関東地方がほぼ丸ごと海面下に入ることになる。
2040年頃まで海面上昇の進展がゆっくり進むこともあり、先進国ではこの問題の深刻さが十分に認識されていないところがある。しかし、その影響は脆弱な貧困国に始まり、やがては世界中のあらゆる国が絶望的な影響を受けることは必至だ。ギニアビサウに今起きていることが、やがては全地球的に起きることを念頭に、現地報告を交えながら井田徹治と新井麻希が議論した。
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<セーブアース>当たり前な学習環境を実現するためには学校の断熱改修が急務だ/前真之氏(東京大学大学院工学系研究科准教授)
第23回のセーブアースは、前回に引き続き前真之氏をゲストに迎え、建物の断熱、とりわけ学校の断熱改修を取り上げる。
最高気温の上昇や猛暑日の増加など国連のグテーレス事務総長が言うところの「地球沸騰化」の進行を今、われわれは日々目の当たりにしている。そのような状況の下、特に子どもたちの学習環境が劣悪なまま放置されていることが問題だと東京大学大学院工学系研究科准教授で建物の断熱や気密に詳しい前真之氏は言う。
日本の公立学校の校舎は50年以上前に建てられたものも多く、またその多くはコンクリートで建てられている。しかし、天井が無断熱のため、特に最上階は屋根の太陽熱がそのまま室内に侵入するため、夏は高温になる。また、建築基準法で窓の面積が床面積の1/5以上なくてはならないことが定められているため、学校には例外なく非常に大きな窓が設置されているが、これでは太陽光がそのまま室内に侵入してくる。その一方で、窓を開けるとエアコンが効かなくなるため、窓が開けられず換気不良になってしまう。今の学校教室の夏場の環境は、とても人間が生きられる環境とは言えないと前氏はこれを厳しく断罪する。
このような学校の劣悪な環境は、エアコンをつければ解決するというようなものではない。建物の断熱がしっかりしていないと、冷房をつけても室内温度を下げることができないからだ。建物の断熱改修は冷暖房の効率を上げるためにも必要なものだ。
現在の学校の劣悪な環境を改善するためには、断熱改修と換気設備の設置が急務であると前氏は言う。まず、天井と壁の断熱や内窓の設置、窓の日射遮蔽などを行うことによって、夏だけでなく冬も快適な学習環境を整備することができるようになる。また、学校はオフィスや住宅と比べて大勢の生徒が一定の空間に密集するという特徴があるため、大量の換気をする必要がある。冷暖房の効率と必要な換気量の確保を両立するためには、デマンド換気や熱交換換気の導入が求められる。
このような断熱改修を行うにはコストがかかると考える向きは多いだろうが、実は総合的なコストという観点から見ても断熱改修は有効だ。断熱改修を行い換気設備を導入すれば、エアコンの稼働時間を大きく削減することができる。これで冷暖房のための電気代を抑えることができるほか、稼働時間が減ればエアコンの設置・改修コストも削減できる。建物を断熱材で覆う改修を行えば、建物自体の寿命も延ばすこともできる。コストはこうしたことを考慮に入れてトータルで考えるべきものだ。
日本は元来、特に子どもに対しては鍛えるとか我慢させることに価値を置いた発想が根強いが、それが学校教室の断熱化の妨げになっていると前氏は言う。人間誰しも多少の我慢は必要かもしれないが、昨今の猛暑、酷暑はもはやそのような発想で乗り切れるレベルのものではなく、無理をすれば容易に健康を害してしまう。気候変動について責任を負っていない一方で、義務的に学校に行かなければならない立場に置かれている子どもたちを、大人のわれわれが劣悪な環境の中に閉じ込めておくことの倫理的な問題も考慮する必要がある。無理なく快適に暮らせる環境を低エネルギーで実現するという方向に発想を転換する必要があると前氏は言う。
2回にわたり連続で高断熱、高気密住宅をテーマにお送りしているセーブアースでは、今回は学校の教室を快適でエネルギー効率の良いものにしていくためには何が必要かなどについて、前真之氏と環境ジャーナリストの井田徹治、キャスターの新井麻希が議論した。
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<セーブアース>当マグロを食べ続けたければ資源量の正確な把握が不可欠/真田康弘氏(一般社団法人オーシャン・ガバナンス研究所総括研究主幹/代表理事)
第24回のセーブアースは、2024年7月に釧路で開催された太平洋クロマグロの資源管理のための国際会議に出席したオーシャン・ガバナンス研究所代表理事の真田康弘氏をゲストに迎え、クロマグロの漁獲規制をめぐる状況について議論した。
今回開催された太平洋西部のマグロ漁を統括するWCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)の北小委員会と、太平洋東部のマグロ漁を統括するIATTC(全米熱帯まぐろ類委員会)の合同作業部会では、マグロの資源量が回復したとして3年ぶりに太平洋クロマグロの漁獲枠を増やすことが合意された。資源量が回復し漁獲枠が拡大されること自体は歓迎すべきことだ。しかし、実際は懸念材料もある。マグロの資源量のデータが必ずしも正確とは考えられない理由があるからだ。
マグロの消費量は世界的に増大しているが、とりわけ日本はクロマグロ、ミナミマグロの消費量が多い。クロマグロは大西洋クロマグロと太平洋クロマグロに分かれるが、日本は太平洋クロマグロに関しては漁獲と養殖で多くを賄う一方で、大西洋クロマグロに関しては輸入量が圧倒的に多い。
クロマグロは2010年代前半に相次いで絶滅危惧種に指定されたが、日本の大量消費がその一因とされた。大西洋クロマグロについては2010年に漁獲量を管理するICCAT(大西洋まぐろ類保存国際員会)で厳しい漁獲量の規制が導入されたことで、現在は資源量は回復傾向にあるという。
一方、太平洋クロマグロは、2013年ごろに資源量が過去最低レベルに落ち込んだため、2014年に絶滅危惧種に指定され、2017年には初期資源量の2.6%まで激減した太平洋クロマグロの資源量を20%まで引き上げる目標が設定された。その後、急速な資源量の回復が見られたとされ、今回釧路で行われた会議では漁獲枠を30kg未満の小型魚については1.1倍に、30kg以上の大型魚については1.5倍に拡大することが合意された。大西洋クロマグロも太平洋クロマグロも、2021年に絶滅危惧種の指定を外されている。
問題はそこで採用されている資源量のデータが必ずしも正確ではない可能性があることだ。
マグロの資源量は漁獲高から導かれる。資源調査のためだけに船を出せれば理想的だが、それではコストがかかりすぎるため、ISC(北太平洋まぐろ類国際科学委員会)が各国から報告された漁獲高に基づいてマグロの資源量を推計している。マグロはルールに違反した捕獲が横行しているとの指摘があり、ルール違反の漁獲高は当然報告されていないと考えられる。そのため、不正確な漁獲高データに基づいて割り出された資源量も不正確なものである可能性が否定できない。
実際、2022年には、青森県大間町でマグロの漁獲高の一部を県に報告しなかったとして2人が逮捕されているが、違法なマグロ漁の漁獲高の規模は正確にはわかっていない。
大間の事件はまた、ルールに則った漁業を行うためには監視のメカニズムが整備される必要があることを示している。水産庁にはマグロの総漁獲量しか報告されないので、実際に市場に流通する個々のマグロが水産庁に正しく報告されたものかどうかを確認する方法が事実上ないからだ。これではせっかく国際的にクロマグロの漁獲枠を定めても、大間事件のように違法に漁獲枠を超えて獲られたマグロの大量流通が野放しになってしまう。一般社団法人オーシャン・ガバナンス研究所総括研究主幹の真田康弘氏は、日本には監視のメカニズムがほぼ皆無なのが現状だという。
クロマグロの資源量と規制は現在どのようになっているのか。マグロの資源量は本当に回復しているのか。資源を守りながら持続的にクロマグロを消費していくために、どのような仕組みが必要で、消費者であるわれわれには何ができるのか。真田康弘氏と環境ジャーナリストの井田徹治、キャスターの新井麻希が議論した。
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)