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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」Last Operation-① 裏切り
明石「その少女にとって、その人は兄のような存在でした。少女は願っていました。いつかこの人の力になりたいと。
少女は努力を重ね、その人の背中に必死に追いすがりました。そしてずっと見てきたのです。その人が傷つく姿を。多くの人に罵られながらも、言い訳の一つもせず前へと進んで行く姿を。
だから少女は決めました。自分だけはずっとこの人の味方でいよう。世界の誰がこの人を誤解しても構わない。自分だけはこの人の理解者でいようと。
そしていつか、この人が休みたいと言った時は、私が見送ろう。この人の意思を全うすること。それが私の戦う理由なのだから」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」 after story-⑫ 必然の奇跡
白露「この日の出来事は、後の歴史書の中でも一番重要な日として名前が挙げられるんだろうなぁと私は思う。きっと語呂合わせとかも作られて、学生がみんなこの日に何が起きたのかを学ぶのでしょうねぇ。
けれどその裏側にあるものは、誰の口からも語られない。一番重要な真実はその他のセンセーショナルな事実の群れに覆い隠され、みんなの目には届かない。
けれど私達は知っている。この日のために、いったいどれだけの人間が、どれだけの時間をかけて準備をしてきたのかを。一番の功労者は・・・誰なんでしょうねぇ。
え?私達?いえいえ、ご冗談を。今回の主役は私達じゃないですよ。残念ながらね」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」Last Operation-③ 過去 後編
扶桑「軟禁されている間、私はずっとあの戦いのことを考えている。提督が口にした裏切りの言葉。その邪悪な笑み。けれど今思えばその目は・・・とても悲しくて暗い色をしていた。
提督?あなたはどうしてわざわざ私にだけ、裏切った事実を伝えたのかしら。どうして私は、生きているのかしら。その点と点を結べば、答えは・・・おのずと浮かんできます。
提督?あなたはあの時言ってくれた。山城を失い、自暴自棄になる私に、生きて償いの道を歩めと。その道を歩き切った時私は私を許してもいいのだと。
提督?その言葉・・・あなた自身にも届いていますか?あなたは、その道を歩き切った時ちゃんと自分を許せますか?あなたは――」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」 短編 もう一人の提督たち 海編
赤城「提督に乞われ、久々に昔の話など思い出しましたが、いま振り返ると中々に興味深いことが多い。個人的には明石さんや鳳翔さんの内面あたりは気になるところですね。
特に鳳翔さん。初代提督はどうやらかなり深い部分まで大本営側の事情を知っていたようですが果たして鳳翔さんはどこまで何を知っていたのでしょうか。私と同程度のことしか知らなかったのだとすれば・・・鳳翔さんもまた、相当の傷を負っていたのかもしれないと、そんなことを私は思いました」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」 短編 もう一人の提督たち 陸編
満潮「司令官は言っていたわ。艦娘と深海棲艦がコインの表と裏なら、司令官とあの陸軍の将校もまたコインの表裏だったんじゃないかって。私はなんか、それを聞いてむっとしたわ。だってあいつのせいで山城は・・・・・・死んだのよ。そんな奴と司令官が同じような存在だなんて私は認めない。
でも、思うのよ。どこか別の視点から見れば私の司令官だって・・・きっと非道な人に見えるのかもって。
知らなければ。ただ事実だけを見れば。そこにある想いを知らなければ。人の善悪なんて、立場によって簡単に変わってしまうんだって」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」 after story-④ みいろ
荒潮「時々ね、不安になるのよ。司令官は今日も元気かなって。朝起きて司令官の顔を見るたびほっとするの。ああ、ちゃんと今日もこの人と一日を過ごせるって。
司令官の歩んできた道は、間違いなく地獄だわ。私はずっと怖いの。この人はいつか壊れてしまうかもしれない。そんな瞬間見たくないって、ずっと思っているの。
安っぽいかもしれないけどね、人は一人じゃ本当に弱いのよ。だってもし、これから一生誰とも出会わず、誰とも話さず、誰かの作った創作物にすら触れることを許されず、生きていけと言われたら、果たして何人の人が自殺をせずに天寿をまっとうするかしら。
私は無理だわ。孤独は・・・辛いもの」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」 after story-⑥ 味方と敵と
暁「暁は思うの。味方が敵になるような戦いが過去にはあった、敵が味方になるような戦いもあった。結局大事なのはね、その人が何を考えているのかなのよ。
同じ艦娘同士だって、考えが違えば争いは起きる。でも逆に言えばね、同じ考えを持っていれば敵だって味方になりうるの。だからみんな、暁のように一人前のレディーを目指すという思想を持てば、争いなんて消えてなくなると思うのだけど、響はどう思う?
え、宗教みたいだって?むー、違うわ!レディーは生き様だもん!ぷんすか!」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」 after story 前日譚 力無き者
大潮「このお話が終わった後、私は司令官に訊いたんです。私のしようとしていることは正しいのでしょうかって。司令官は答えました。結果は終わってみないとわからないって。
そしてもう一言、こう付け加えたんです。自分が正しいか問う気持ちがあるうちは大丈夫。三歩進んで間違えたと気づいたら、二歩下がればいいんだからって。
二歩下がる余裕。その余裕があるのが今の世界。間違えても大丈夫と思える心の余裕ってすっごく大切なんだなって、そう、私は思うのです」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」 after story-⑦ トラック泊地攻防戦
朝潮「姉妹の色というのは、長女で決まると私は思います。暁のところはみんな好き勝手やってますし、白露のところは何だか・・・のんびりしてる?球磨さんのところは拳で語り合う感じですし、川内さんのところは普段と戦場の顔がみんな違います。
高雄さんのところは・・・なんだかんだでみんな真面目なんですよね。朝潮としては高雄さんのところこそが理想とする軍人の姿です。うちの妹達もああいう・・・なんていうか・・・ガチな感じ?で生きてほしいものです」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」最終回 道の途中
五月雨「何が本当で何が嘘で
何が正しくて何が間違っていて
歴史って難しいです。間違っているけれど残さなければならない歴史もあれば正しいのに残してはならない歴史もある。
歴史の表も裏も、どちらも知ってしまった私は考えるんです。
果たして今、世の中にある歴史って、いったいどれだけが本当なんだろう。
もしもこの戦争が後の未来、教科書に載ったとして、その中のほんの数行で語られる歴史に『本当』なんてあるのかなぁって。私は思うんです」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」 after story-⑩ 集う力
時雨「もしキミが銃を撃って、目の前の敵を倒せたと思ったら次はどうする?そういう時はたとえ死体だと思っても、もう一発だけ撃っておく。これは鉄則だ。
逆に言うとそれ以上撃つのは得策じゃない。弾薬は有限だからね。殺すべき相手だけを最小限の手間で。それがプロの軍人なんだと、ボクは思う。
怖いのはプロフェッショナルじゃない相手だ。彼らは敵に容赦をしない。無駄な殺しだっていくらでもする。なんでかって?怖いからだよ
新兵は恐怖から死体に無駄弾を撃つ。死の恐怖に怯えると無力な非戦闘員ですら敵に見える。だからそういう相手と戦うと、無駄に被害が増える。ボクはそれが・・・大嫌いだ」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」 after story-⑭ みいろ攻略戦 後編
雷「鳳翔さんにね、一度だけ聞いたことがあるの。私の第一世代ってどんな人だったのって。
鳳翔さんは少しだけ困った顔をして、こう答えたわ。「あなたの母親よ」って。
第一世代のことは色々と考えたわ。私を――駆逐艦雷を恨んだのかなとか、こうして平和に生きている私を
妬んでいたりするのかなとか。
そんなことを考えていたら、鳳翔さんはもう一度こう言ったの。「あの子はあなたの母親よ」って。
・・・・・・そうなのかな?そうなのかもしれない。きっと恨みだって妬みだって無いとは言わないんだろうけどそれでも――それ以上に私のことを想っていてくれたりするのかな?
鳳翔さんのレシピノートにたまに混じっている、明らかに鳳翔さんの字とは違う丸っこい子供みたいな文字を見ながら、今日の私はそんなことを思うの」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」 after story-⑤ 進撃と撤退と
霧島「自分たちが戦うのではなく、他の人を指揮する立場になって初めて感じた。なんてもどかしいのだろうと。
私がうちの子達を指揮したとするわ。うちの子達はね、みんな優秀で言わずとも自分で考えどんどん動いてくれる。判断に迷えば、司令がすかさず的確な助言をくれる。だからいつだって、最小の人数で最大の戦果をあげられる。でもこれは『普通』ではないのよね。
優秀な提督ばかりではないし、艦娘だって練度が高い子ばかりじゃない。指揮する相手を過小評価してはいけないけど、過大評価するのも危険。何が『普通』か、それを見極めるのが指揮官にとって重要な資質だと実感するわ」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」 after story-last episode 夢のあとさき
山城「これはね、きっと後始末なの。
深海棲艦が誕生して、初めて人と出会って、その時にすれ違ってしまった想いはきっとこれから、少しずつあるべき姿へと戻っていくのだと思う。
昔の人ではこの終わりにたどり着くことはできなかった。だから様々なものを未来に託し今日というこの日がいつか来ることを願っていたのだと思う。
戦争の終わり。いったいどれだけの人が望んだことだろう。
そんな中できっと私の家族たちは、手に入れた平和が壊れてしまわないようにこれからも戦い続けていくのね。
いつまでも・・・いつまでも、その姿を見ていたいけれど、それも今日で終わり。
私も旅立とう。誰かが願った夢の終わりを見届けたから――その夢の始まりを見届けたから
ずっと祈りつづけよう。私の大切な人たちが、いつまでも幸せであることを」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」 after story-⑬ みいろ攻略戦 前編
龍田「いつだったか川内が言っていたわね。戦う理由は、まだ分からないって。あの時は見えなかった、平和になった世界での人生。まだ気が早いかもしれないけど、私達はそれを考え始めないといけないのよね~。私達は家族。けれどいつか、私達は鎮守府を巣立っていく。戦争があるから、私達はみんなでずっと同じ道を歩んできたけど、戦争が終われば、私達はきっと別々の道を歩んでいくことになる。
・・・怖いわね。一人は・・・怖い。ふふっ、けどいつまでも天龍ちゃんの背中を追いかけるわけにもいかないわ~。私は私の道を見つけないと。たとえば~そうね~・・・・・・
私が一生をかけて愛したいと、一生をかけて尽くしたいと、そう思える人を見つける。そんな夢はどうかしら~?
あはっ、まぁ見つかるとは思えないけどね~」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」 after story-⑧ 裏切りの人
満潮「ふぅ・・・・・・なんで私がカウンセラーまがいの仕事を任されてるのかは分からないけど需要があるのだけは分かる。『死』というものを身近に感じること。普通の日常を生きていれば見なくて済むそんなものを、今は国中の人が感じている。
深海棲艦との和解か・・・大切な人を深海棲艦に奪われ、今も泣いているたくさんの人を見るとそんなことが本当に出来るのか時々疑問になる。ゴールは分かる。けれどね、そこに至る道がまだ私には見えない。たどり着けるのかな、この戦争の終わりに。出来るだけ多くの人が、幸せになれる終わりに」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」 after story-② 種の芽吹き
愛宕「久しぶりに出たわ。提督からの最大レベルでの警戒態勢による待機命令
戦の前なら分かるけど、今は大規模作戦後の平和な時期のはず。ま、仕方ないわよね~。だってなんだか怪しい敵を鹵獲したんだもの。武力による奪還は、絶対に警戒しなければならない。
中にはちょ~と、気持ちが緩んじゃってる人もいるみたいだから、私が代わりに頑張って警戒するわよ~。さてさて、深海棲艦はいったいどう動くのかしら?」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」 短編 もう一人の提督たち 前編
扶桑「陸軍時代の話。思い出したくもない――と言いきれれば気持ちは楽になるのかしら。久しぶりに当時を思い出したけれど、山城を失ったあの戦いを思い出したのだけれどそれでも私は思うのです。あの人を――将校さんを、嫌いにはなれない。
恨んではいます。裏切られたことを悲しくも思います。けれどそれでも――将校さんが亡くなったと聞いたとき、私はただただ悲しかった。
叶うのなら聞いてみたい。他に、道はなかったのですか、と。あなたはどんな想いで、あの道を選んだのですか、と」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」 短編 戦後処理
羽黒「日常・・・いったいどれくらいぶりの平和な日々でしょうか。相も変わらず忙しいのですけど、みんなお互いに仕事を融通しあって時間を作り、一度は袂を分かった姉妹や友人と語り合う場を作っているようです。
私も、久々に姉さんたちと一緒にお酒を楽しみに行きました。私はあまり強くないからお付き合いするだけですけど、泣き上戸の足柄姉さんと笑い上戸の那智姉さんを、顔色一つ変えずに飲み続ける妙高姉さんがお説教している姿を見て私は・・・少し泣いてしまいました。
戻って、きたんだなって・・・・・・うん・・・そう、思ったんです」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」4-3-② 岐路-side 西方鎮守府
那智「西方鎮守府の話は足柄や隼鷹からよく聞いていた。とかくあそこは真面目な鎮守府で、規律がしっかりとしている。私などは息が詰まって仕方ないが、おそらく高雄や羽黒は居心地がいいのかもしれないな。しかし自由を愛する私でも、北方ほどのフリーダムには馴染めるかわからん。そういう意味でも、私にとっては第二中央が理想なのかもしれないな。
・・・・・・まぁ結局は、住めば都というところか。あの隼鷹でも西方鎮守府で楽しくやっていたそうだからな。
思い出すのはそんな楽しかったことばかり。・・・やれやれ、私とて軍人。いい加減・・・割り切らねばな」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」短編 着任前夜ー中編
扶桑「あの子の居場所を奪った私が、幸せを感じる権利なんてあるの?そんな声が時々浮かんできます。でもそんな時、五月雨ちゃんが『大丈夫ですか』って訊いてくれる。千歳さんが『ほら、しゃんとしなさい』って元気づけてくれる。明石さんが『ではお薬を処方しましょうか』ってにこやかに笑う(遠慮させてもらったけど)
ねぇ山城?みんなみんないい人ね。あなたがここを護りたいと思った理由。私にも少しずつ分かり始めてきた気がするのよ。ふふっ」
前 sm28320439 次 sm28514865 マイリストmylist/46293193
【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」短編 着任前夜ー後編
明石「物語の前にも物語があるのなら、物語の後にも物語はあるわけで。鳳翔さんはそのあたりにも興味津々のご様子。まぁこの鎮守府は、話題には事欠きませんからねー。
私の持ってる映像資料や、荒潮の持っている各種情報。そして鎮守府のみんなの話。鳳翔さんはこの鎮守府の情報を色々と聞いて回ってるみたいですけど、本当にただの趣味なんですかね?
こんな日常のこぼれ話を聞いて回っても、特に価値は無いと思うから別にいいんですけど、気になるなぁ」
前 sm28416530 次 4-1 北方鎮守府演習編 sm28612716 マイリストmylist/46293193
【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」4-2-③ 決別
龍田「・・・私はとても幸せなのかもしれない。青い顔をしながらも、必死にこらえて戦闘準備を整えている高雄さんを見てそう思った。
私と天龍ちゃんは二人きりの姉妹。そしてどちらも同じ側にいる。世界がこうなった今、それはもしかしたら何物にも代えがたい一番の幸せなのかもしれないと。
仲間、姉妹、先輩、後輩。私達艦娘には無数の繋がりがある。親のいない私たちにとってその絆は、きっと自分の命よりも大切なものだったはず。
でも私は引き金を引くのだろう。天龍ちゃんを護るため。同じ鎮守府で暮らす家族を護るため。そしてこれからこの世界に生まれ落ちる艦娘の未来を護るため。今、目の前に立つ元仲間たちを、私は撃つ」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」4-4-① 受け継がれる願い
高雄「鎮守府に戻ってきた時の光景を私は忘れない。あちこちで煙が立ち上り、皆は煤で汚れた顔をぬぐうこともせず淡々と後始末をしていた。よく駆逐艦の子達が遊んでいた庭も、いつだったかみんなで那珂ちゃんのライブを見た食堂も爆撃に巻き込まれた場所はどこも最早見る影もなくなっていて、それでも子供たちは涙一つ流すこともせず自分たちの仕事を果たしていた。
この子達は強い。そして・・・強いことが悲しい。何も知らぬ子供のように泣き叫んでもいいのに。それがどれだけ不毛で非生産的であっても子供にはそうする権利があるのに。この子達はその権利を使おうとはしない。その強さが・・・私はとても悲しい」
前 sm29445791 次 sm29633720 マイリストmylist/46293193
【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」短編 着任前夜ー前編
愛宕「もうずいぶん長いことこの鎮守府にいる気がするけど、最近ようやく半年たったって感じなのよね~。そしてこれから始まる冬が終われば、この鎮守府も設立二年目になる。うふふ~二年目になったら、空でも飛んだりするのかしらね~。
・・・・・・本当に長かった。着任前日のあの日、私は人でなしになる覚悟をしたものだけど、そんな決意をした自分が滑稽に思えるほど、今は穏やかな気持ちで日々を過ごしている。私の中の小さな物語。ずっと秘密にしていたけどそろそろ話してもいいかしら?だってもう時効よね~?
私以外のみんなにも、きっとあるのよね?着任前日の、ちょっとした物語」
前 「罪と罰」sm28171742 次 中編 sm28416530 マイリストmylist/46293193
【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」4-2-② 岐路-side 北方鎮守府
大潮「あの時、北方鎮守府が私たちの前に立ちはだかったあの瞬間、目の前が真っ暗になるのを感じました。
どうして?なんで?そんな言葉が頭をいっぱい巡って、おかしくなりそうでした。だって山雲と朝雲は、ようやく元気になったばかりなんです。演習に行ったとき、久しぶりに元気な姿を見られて『別の鎮守府にいても、心はずっと一緒だよ』って言ったら二人は泣き出しちゃって大変で。
・・・・・・わからないんです。どうして北方鎮守府は私たちの前に立ちはだかったんでしょう。いったいそこには、どんな出来事があったというのでしょう」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」 after story-⑪ 海色に沈む世界
千歳「私はうちの鎮守府の索敵役を務めている。そのせいで色々と規格外の強敵を見てきたけれど見えてしまうからこそ、理解できてしまうからこそ伝わる恐怖というものはあると思うのよ。荒潮も言っていたわ。知ってしまうことで生まれる恐怖もあるって。
けれど本当に怖いのはやっぱり知らないことだと思う。私はね、ホラー映画で怖いと思うことはあんまりないの。けどホラーを見た後に一人でお風呂に入るのとかはすごく怖い。恐怖って不思議なものよね。目に見えるお化けよりも、目に見えない気配とかのほうが怖いと感じる場合もあるのだもの。
理解できる存在ならそんなに怖くない。結局はそういうことなのかしらね?」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」4-3-③ 疑心の中で
由良「・・・・・・初めは耳を疑いました。だってそれは余りにも危険すぎる策だったから。
けれど同時に理解もした。私たちは負けるわけにはいかないんだということを。たとえどれだけ危険であろうともうてる保険は全て打たなければいけないのだということを。負けてからでは言い訳できない。死んでからでは言い訳できない。私たちは勝ち、生き残ることでしか自分たちの正義を示すことはできないのだから。
もうどこにも私達の想いを届けてくれる人はいないのだから」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」 after story-③ 戦の始まり見えぬ意図
川内「紅い海。それは私達が戦っていた時代にはなかった現象。
私達艦娘が護る海域は蒼、深海棲艦が護る領域は紅。いつの頃からか、海はそう変わっていた。紅い海とはいっても、別段成分に異常はないらしい。ただこの紅い海の上で戦っていると――このまま永遠に、戦い続けるのも悪くないんじゃないかって、そう思う瞬間がある。
そして蒼い海に帰ってくると、そんなことを考えた自分が怖くなる。深海棲艦と永遠に殺しあうことを心のどこかで望んだ自分が怖くなる。本当の自分が分からなくなって・・・怖くなるんだよ」
前 sm31502048 次 sm31701489 マイリスト mylist/46293193
【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」4-1-② 北方鎮守府演習編
球磨「ふっふっふー。北方鎮守府クマー。内乱中はそれどころじゃなかったから中々じっくり話せなかったけどようやく愛すべき妹たちに会えるクマー。感動の姉妹の再会、たーっぷりと遊んであげなきゃいけないクマ。
まさか内乱が終わって身体がなまってたりするクマ?ふふーん、ま、球磨の妹共はみんな優秀だからちょーっと遊んでやればすぐに勘を取り戻すクマ!
・・・・・・たっぷりと遊んでやるクマ。またしばらく会えなくても、寂しくないように。戦場で倒れそうになった時、ねーちゃんの背中を思い出して、もう一度立ち上がる勇気を、奮い立たせてやるために」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」 after story-⑨ 深海の想い
電「役者が少しずつそろってくるのです。常々思いますが、暁ねぇの人脈は本当にすごいと思います。今回は電達の鎮守府による個人戦ではなく、とにかくいつだって数に頼る戦い。そうなると暁ねぇの独壇場なのです。
戦争は数だと言います。けれどここでいう数とは、単純な戦える頭数だけではないと思うのです。安心して背中を任せられる人の数、言わずとも自分たちで考えて動いてくれる人の数、戦う理由を持った人の数。そういう人数を、増やさないと意味がないのです。さて司令官さん・・・どうでしょう?もう反撃をするのに十分な数は、集まったのですか?」
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【MMD艦これ】「もう一つの艦これ」Last Operation-⑤ 提督救出戦
五十鈴「勝ち目のない戦いなんていつものことだけど、今日ほど勝ちたいと思った戦いは初めてだ。
不思議ね。提督と共に死ぬ覚悟を決めてたあの春の防衛線の時も、沈む仲間を次々と見届けたあの冬の夜の戦いの時も恐怖はそれほどなかったのに。今は・・・怖い。理由は分かる。共に生きたいから・・・怖いのよね。
涙を浮かべ見送ってくれた明石の前では言えなかったけど、正直勝てる気はしていない。けれど奇跡は―― 願い、努力した者の前にだけ訪れるって相場は決まってんのよ」
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