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【神道シリーズ・シーズン3】(思想編)第56回・谷口雅春と生長の家(その③)
谷口雅春の思想変遷は、浄土真宗の正信偈を何度も何度も棒読みさせられた少年時代から、トルストイの復活の中で提起された原罪と贖罪の問題、さらにオスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」の中で描かれる堪能的で耽美的で退廃的な世界への魅了との間で揺れた青春時代と、いかに生きるべきかという問題を抱えつつ、神霊治療に興味を持ったことがきっかけで入信した大本教では、霊界物語での霊界の世界と万教同根の思想を学びながらも、神仏など絶対的な存在と自分と言う個はどう関わりあうべきかという問いの答えは見つからぬまま大本脱会後も自分の問題意識は彷徨い続けていた。
貧困の中、宗教雑誌の翻訳などで糊口を凌いでいた谷口は、武者小路実篤の「新しき村」や西田天香の一燈園など、自らの私財をつぎ込んで建設したユートピア村に興味を示したが、武者小路の丸投げ式で失敗した「新しき村」や、自己犠牲を強いる西田の一燈園など、いずれにももろ手を挙げて賛同できぬまま、トルストイが投げかけたキリスト教の原罪と贖罪と人の生き方という問題は解決せぬまま再び原点に戻ってしまっていた。
そこで西田が出会ったのが、当時アメリカで一世風靡していたニューソートと言うキリスト教プロテスタント反カルバン派から発生した思想で、これは、西田にとってはコロンブスの卵に匹敵するほどの画期的な発想であった。
18世紀に北欧スウェーデンの科学者・スウェーデンボルグが自らの瞑想の中で見て来た霊界の世界では聖書に書かれてることとはまったく異なる世界で、そこでは創造神は全知全能でもなければ
特別な意識を持った存在ではなく太陽の光であり、その光はイエスも含めすべての人が平等に持っており、人はみな神の子であり、自身の中にある神をいかに生かして充実した人生を送るかが重要だと唱えた。このニューソートの思想は19世紀にはアメリカ大陸に伝わり、北米で一世風靡するが、20世紀の大正時代には日本にも伝わり、谷口にとってもこれまで持ち続けたキリスト教への問いの大きな答えを与えてくれるものになったのである。
【神道シリーズ・シーズン2】第10回・山王神道(天台密教と星辰信仰による神道理論)
山王神道については以前に神道シリーズ・シーズン1で数回に渡って説明しましたが、今回はもっと深く突っ込んで、天台神道とも言われた山王神道の形成された時代的背景や天台密教理論および天台星辰信仰も絡めてさらに深い解説をして行きたいと思います。
【神道シリーズ】第14回・本地垂迹説(日本のすべての神々(朝鮮渡来の神々および人工神)は仏の眷属の化身とされる)
宇佐八幡(八幡大菩薩)シリーズの第三話に進む前に、この本地垂迹説、つまり、日本の神々(元は朝鮮半島・新羅から)は仏の眷属(仲間たち)の化身であるとする思想をよく理解しておく必要があると思い、この一話を挿入することにしました。
八幡大菩薩が釈迦如来(本地)の化身(垂迹)だとされたのは9世紀後半で、本地垂迹説の先駆けだと言われます。
その後、11世紀、12世紀を通じて日本のすべての神社の神々は仏の眷属の化身であるとされるようになり、各神社に設置された神宮寺(神社を支配する寺)が中心となり各地独特の神仏習合文化を形成して行きます。
そして、これは一時期明治政府により否定され、神宮寺は破壊されたものの、この神仏習合思想は今日まで全国各地のお祭りや祭祀にまで生き続けています。
神社本庁を解体して全国神宮寺を復活させることこそが真に日本を取り戻すことだと思います。