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<マル激・後半>本来は厳格なはずの日本の政治資金規正法の下で政治とカネの問題が後を絶たない理由/孫斉庸氏(立教大学法学部准教授)
問題は法律そのものではなく、法の運用と意図的に作られた抜け穴にある。
未曾有の政治不信を引き起こしている裏金問題を受けて、国会で政治資金規正法の改正審議が始まった。しかし、残念ながら不祥事の当事者である自民党は、本気で実効性のある改正を行う気はさらさらないようだ。
そもそもここまで自民党から出てきている案は、おおよそ政治不信を払拭できるような踏み込んだものではない。しかも、与党内で公明党と調整した上で提出することになる与党案をゴールデンウィーク明けまで引き延ばしてしまった。これは4月28日の3補選の前に法案を出し渋ったからだろう。これでは、有権者を納得させられるような厳しい改正案を出す気がさらさらないことを、法案提出の前に宣言しているようなものだ。
政治とカネの問題は日本のみならず、多くの国が頭を悩ませてきた問題だ。政治活動が選挙運動や政策立案などに一定の資金を必要とする一方で、一歩まちがえば、カネは政治腐敗を生んだり、政策を歪めるような癒着といった、民主主義の屋台骨を揺るがすような問題を引き起こす可能性を孕んでいるからだ。かと思えばアメリカのように、政党や政治家に寄付をすることは国民の「政治意思の表明」という意味で表現の自由という憲法上の権利として保護されなければならないと考えられている国もある。
日本は今国会で政治資金規正法の改正を審議することになる。何ら実効性のない自民党案は論外としても、この審議は有権者として注視する必要がある。それは、いたずらに政治資金に対する規制を厳しくしても、政治とカネの問題の根本的な解決方法にならないことが明らかだからだ。
政治学者で立教大学法学部准教授の孫斉庸氏は各国の政治資金規制を、企業献金が認められているか、どこまで報告・公開を課しているかなど40以上のカテゴリーで詳細に比較した上で、それぞれの国の政治資金規制の厳格さをランク付けしている。それによると、実は日本の政治資金規正法は国際的に見ても厳しい部類に入るのだという。例えば、スイスやスウェーデンなど民主主義が成熟していると見られる国の多くでは、政治家個人への企業・団体献金が認められていたり、収支報告の公開義務さえない国もある。
興味深いのは、日本よりも政治資金に対する規制が厳しい国はメキシコやチリ、ポーランドなど過去に政治腐敗が指摘されたり汚職事件が多く起きている、いわばまだ民主主義が成熟していない国が多い。孫氏は政治資金規制が厳しいということは、法律を厳しくしなければ有権者の政治不信を払拭することができないような政治が行われていたり、過去に汚職や疑獄などが頻発していることの反映であり、これは必ずしも誇れることではないと指摘する。
確かに日本では政治家個人への企業・団体献金は禁止されているし、一定額以上の寄付に対しては寄付者の公開義務も課されている。民主政の国々、とりわけ北ヨーロッパの国々の中には、この程度の制限すらない国が多い。どうやら日本の政治とカネ問題の本質は法律の条文にあるのではなく、本来は制限されているはずの政治資金に多くの抜け穴があったり、実際にカネが物を言う選挙や政治が行われているところに根本的な問題があると言えそうだ。
日本の政治資金規正法は1948年の制定以来、過去に主に9回の改正を繰り返してきた。孫氏はそのたびにほぼ今回と同じような問題が指摘されてきたが、結果的に自民党は本質的な問題を解決せずに、弥縫策で切り抜けてきたと語る。
例えば、企業献金は仮に認めるにしてもその出と入をガラス張りにしなければ、経済政策が歪められる恐れがあることは誰にでもわかることだ。しかし、過去の自民党の政治とカネ問題はほぼ例外なく企業や業界団体からの違法献金だった。今回のパーティ券裏金問題も、そもそも政治資金パーティ自体が企業献金の抜け穴として作用しているものだ。自民党は企業献金が問題になるたびに、これを「企業・団体献金」などと呼ぶことで労働組合などからの献金と並立させたり、「赤旗」のような政党の機関誌からの収入もその範疇に入れるべきなどと主張することによって、野党や世論を揺さぶることで結果的に企業献金を生き残らせることに成功してきた。
国際的には日本は政治家個人への企業や団体からの献金は禁止されているため、OECD加盟国の中でも政治資金規制が「厳しい国」に分類されているが、実際は政党や政党支部への企業献金は1億円まで認められていることに加え、政治資金パーティのパーティ券購入という、一見最もらしいが明らかに脱法的な寄付行為によって、企業献金が政党のみならず政治家個人にも渡っていたことが、今回の裏金スキャンダルで白日の下に晒された。二階幹事長に党から5年間で50億円近い資金が流れていたことが明らかになっているが、政党から政治家個人への寄付や政治団体間の資金移動に制限はなく、しかもその資金が「政策活動費」の名目で全く使途を明らかにされないまま闇から闇へ消えている。このようなことが許されている国が、先進国の中でも政治資金規制が「厳しい部類に入る」などということがあり得るわけがない。
つまり、今日本が集中すべきは、いらずらに政治資金規正法を厳格化するのではなく、今ある制度の下で多くの政治家が当たり前のように使っている「抜け穴」を一つ一つしっかりと埋めていくことだ。さもなくば、このままでは日本は、「世界で最も厳しい政治資金規制がありながら、もっとも政治が腐敗している国」という不名誉な称号が与えられることになりかねない。
抜け穴については、先週のマル激でもご紹介している通り、上脇博之・神戸学院大学教授が理事を務める政治資金センターと、ビデオニュース・ドットコムで「ディスクロージャー・アンド・ディスカバリー」の司会を務める三木由希子氏の情報公開クリアリングハウスが共同で提出した意見書にある17項目の改正・修正が最低でも必要だ。これはいずれも制度そのものの改正ではなく、現行法の運用の改善やより高度な透明化(ガラス張り化)を求めるもので、仮にこの改正をすべて行っても、日本の政治資金規制の厳しさランキングが今よりあがることはないだろう。
有権者は形ばかりの厳格化に騙されてはならない。繰り返すが、必要なのは厳格化ではなく、今ある制度の下で堂々とまかり通っている抜け穴を一つ一つ埋めていくことなのだ。
孫氏は今の政治不信は日本にとっては大きなチャンスにもなり得ると、期待を込めて指摘する。日本、とりわけ万年与党たる自民党は、ここまで政治資金スキャンダルが起きるたびに意図的に抜け穴を残したまま弥縫策で誤魔化してきたが、ここにきていよいよそれが誤魔化しきれなくなっている。これを奇貨とすることで日本が、例えばAIを活用した政治資金収支報告書のデジタルデータ化を導入するなどして、世界の各国の模範となるような優れた、そして透明性の担保された政治資金規制を確立することは十分に可能だと孫氏は言う。そして、その成否はわれわれ有権者にかかっている。
国際的に見て政治資金規制が厳しいはずの日本で政治腐敗が止まらないのはなぜなのか、なぜあからさまな抜け穴が放置され続けてきたのか、誰が政治資金の透明化を阻んできたのか、日本の政治が有権者の信頼を取り戻すためにはどのような政治資金制度の改正が求められているのかなどについて、立教大学法学部准教授の孫斉庸氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
前半はこちら→so43713936
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・前半>本来は厳格なはずの日本の政治資金規正法の下で政治とカネの問題が後を絶たない理由/孫斉庸氏(立教大学法学部准教授)
問題は法律そのものではなく、法の運用と意図的に作られた抜け穴にある。
未曾有の政治不信を引き起こしている裏金問題を受けて、国会で政治資金規正法の改正審議が始まった。しかし、残念ながら不祥事の当事者である自民党は、本気で実効性のある改正を行う気はさらさらないようだ。
そもそもここまで自民党から出てきている案は、おおよそ政治不信を払拭できるような踏み込んだものではない。しかも、与党内で公明党と調整した上で提出することになる与党案をゴールデンウィーク明けまで引き延ばしてしまった。これは4月28日の3補選の前に法案を出し渋ったからだろう。これでは、有権者を納得させられるような厳しい改正案を出す気がさらさらないことを、法案提出の前に宣言しているようなものだ。
政治とカネの問題は日本のみならず、多くの国が頭を悩ませてきた問題だ。政治活動が選挙運動や政策立案などに一定の資金を必要とする一方で、一歩まちがえば、カネは政治腐敗を生んだり、政策を歪めるような癒着といった、民主主義の屋台骨を揺るがすような問題を引き起こす可能性を孕んでいるからだ。かと思えばアメリカのように、政党や政治家に寄付をすることは国民の「政治意思の表明」という意味で表現の自由という憲法上の権利として保護されなければならないと考えられている国もある。
日本は今国会で政治資金規正法の改正を審議することになる。何ら実効性のない自民党案は論外としても、この審議は有権者として注視する必要がある。それは、いたずらに政治資金に対する規制を厳しくしても、政治とカネの問題の根本的な解決方法にならないことが明らかだからだ。
政治学者で立教大学法学部准教授の孫斉庸氏は各国の政治資金規制を、企業献金が認められているか、どこまで報告・公開を課しているかなど40以上のカテゴリーで詳細に比較した上で、それぞれの国の政治資金規制の厳格さをランク付けしている。それによると、実は日本の政治資金規正法は国際的に見ても厳しい部類に入るのだという。例えば、スイスやスウェーデンなど民主主義が成熟していると見られる国の多くでは、政治家個人への企業・団体献金が認められていたり、収支報告の公開義務さえない国もある。
興味深いのは、日本よりも政治資金に対する規制が厳しい国はメキシコやチリ、ポーランドなど過去に政治腐敗が指摘されたり汚職事件が多く起きている、いわばまだ民主主義が成熟していない国が多い。孫氏は政治資金規制が厳しいということは、法律を厳しくしなければ有権者の政治不信を払拭することができないような政治が行われていたり、過去に汚職や疑獄などが頻発していることの反映であり、これは必ずしも誇れることではないと指摘する。
確かに日本では政治家個人への企業・団体献金は禁止されているし、一定額以上の寄付に対しては寄付者の公開義務も課されている。民主政の国々、とりわけ北ヨーロッパの国々の中には、この程度の制限すらない国が多い。どうやら日本の政治とカネ問題の本質は法律の条文にあるのではなく、本来は制限されているはずの政治資金に多くの抜け穴があったり、実際にカネが物を言う選挙や政治が行われているところに根本的な問題があると言えそうだ。
日本の政治資金規正法は1948年の制定以来、過去に主に9回の改正を繰り返してきた。孫氏はそのたびにほぼ今回と同じような問題が指摘されてきたが、結果的に自民党は本質的な問題を解決せずに、弥縫策で切り抜けてきたと語る。
例えば、企業献金は仮に認めるにしてもその出と入をガラス張りにしなければ、経済政策が歪められる恐れがあることは誰にでもわかることだ。しかし、過去の自民党の政治とカネ問題はほぼ例外なく企業や業界団体からの違法献金だった。今回のパーティ券裏金問題も、そもそも政治資金パーティ自体が企業献金の抜け穴として作用しているものだ。自民党は企業献金が問題になるたびに、これを「企業・団体献金」などと呼ぶことで労働組合などからの献金と並立させたり、「赤旗」のような政党の機関誌からの収入もその範疇に入れるべきなどと主張することによって、野党や世論を揺さぶることで結果的に企業献金を生き残らせることに成功してきた。
国際的には日本は政治家個人への企業や団体からの献金は禁止されているため、OECD加盟国の中でも政治資金規制が「厳しい国」に分類されているが、実際は政党や政党支部への企業献金は1億円まで認められていることに加え、政治資金パーティのパーティ券購入という、一見最もらしいが明らかに脱法的な寄付行為によって、企業献金が政党のみならず政治家個人にも渡っていたことが、今回の裏金スキャンダルで白日の下に晒された。二階幹事長に党から5年間で50億円近い資金が流れていたことが明らかになっているが、政党から政治家個人への寄付や政治団体間の資金移動に制限はなく、しかもその資金が「政策活動費」の名目で全く使途を明らかにされないまま闇から闇へ消えている。このようなことが許されている国が、先進国の中でも政治資金規制が「厳しい部類に入る」などということがあり得るわけがない。
つまり、今日本が集中すべきは、いたずらに政治資金規正法を厳格化するのではなく、今ある制度の下で多くの政治家が当たり前のように使っている「抜け穴」を一つ一つしっかりと埋めていくことだ。さもなくば、このままでは日本は、「世界で最も厳しい政治資金規制がありながら、もっとも政治が腐敗している国」という不名誉な称号が与えられることになりかねない。
抜け穴については、先週のマル激でもご紹介している通り、上脇博之・神戸学院大学教授が理事を務める政治資金センターと、ビデオニュース・ドットコムで「ディスクロージャー・アンド・ディスカバリー」の司会を務める三木由希子氏の情報公開クリアリングハウスが共同で提出した意見書にある17項目の改正・修正が最低でも必要だ。これはいずれも制度そのものの改正ではなく、現行法の運用の改善やより高度な透明化(ガラス張り化)を求めるもので、仮にこの改正をすべて行っても、日本の政治資金規制の厳しさランキングが今よりあがることはないだろう。
有権者は形ばかりの厳格化に騙されてはならない。繰り返すが、必要なのは厳格化ではなく、今ある制度の下で堂々とまかり通っている抜け穴を一つ一つ埋めていくことなのだ。
孫氏は今の政治不信は日本にとっては大きなチャンスにもなり得ると、期待を込めて指摘する。日本、とりわけ万年与党たる自民党は、ここまで政治資金スキャンダルが起きるたびに意図的に抜け穴を残したまま弥縫策で誤魔化してきたが、ここにきていよいよそれが誤魔化しきれなくなっている。これを奇貨とすることで日本が、例えばAIを活用した政治資金収支報告書のデジタルデータ化を導入するなどして、世界の各国の模範となるような優れた、そして透明性の担保された政治資金規制を確立することは十分に可能だと孫氏は言う。そして、その成否はわれわれ有権者にかかっている。
国際的に見て政治資金規制が厳しいはずの日本で政治腐敗が止まらないのはなぜなのか、なぜあからさまな抜け穴が放置され続けてきたのか、誰が政治資金の透明化を阻んできたのか、日本の政治が有権者の信頼を取り戻すためにはどのような政治資金制度の改正が求められているのかなどについて、立教大学法学部准教授の孫斉庸氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
後半はこちら→so43714382
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・前半>裏金が作り放題の政治資金規正法の大穴を埋めなければならない /上脇博之氏(神戸学院大学法学部教授)、郷原信郎氏(弁護士、元検事)
政界を揺るがしてきた一連の裏金疑獄は、これから最も重要な局面を迎える。そもそも不正を引き起こした法律上、制度上の原因を探り、必要となる法改正をめぐる議論が国会で始まったからだ。
今回の裏金問題は元々、神戸学院大学の上脇博之教授が赤旗の取材を受けた際に、自民党の各派閥が政治資金パーティの収入を正しく報告書に記載していないことを知り、自らも調査を発展させた上で刑事告発したことが全ての発端だった。東京地検特捜部が捜査に着手すると、単なる派閥によるパーティ券収入の不記載や虚偽記載にとどまらず、多額の裏金が議員に還流されていたことがわかり、一大スキャンダルに発展していった。
その上脇氏は、現行の政治資金規正法に基づいて政治家や派閥、政党、政治団体などが提出している政治資金収支報告書は、その中身をチェックすることがとても困難なことを、自らの経験に基づいて強調する。総数にして数百万ページはあろうかという収支報告書はウェブ上で閲覧が可能になっているが、一つ一つのページがデータ化されていないPDF形式で公開されているため、検索をかけたりソート(並び替え)などができない。驚いたことに現行制度の下では、政治資金規正法が守られているかどうかをチェックするためには、数十万から数百万ページはある報告書を一枚ずつ手繰っていくしかないのだ。
上脇氏は膨大な時間をかけて、報道などで各派閥のパーティ券を大量に買っていそうな政治団体の支出と、パーティ券を売っている派閥の収入を突き合わせることで、辛うじて4,000万円あまりの記載漏れがあることを突き止め、これが今回の刑事告発につながった。しかし、赤旗による地道な調査報道と上脇氏による刑事告発がなければ、今も当たり前のように還流や裏金作りが粛々と行われていたことになる。実際、パーティ券の売り上げの還流による裏金作りは少なくとも2005年には始まっていたことが、共同通信によって報道されている。
また、収支報告書は監督する権限を与えられた省庁や第三者機関が存在しないため、実際は報告内容が正確かどうかを誰もチェックしていない状態にあるというのも驚きだ。法律に基づいてどんな規制が設けられていようが、更にその規制をどれだけ強化しようが、最終的にそれが遵守されているかどうかを誰もチェックしていないし、したくてもそれが物理的に困難ということでは、そのような法律は法の体を成していないと言わざるを得ない。これは「ザル法」だとか「抜け穴」だとか以前の問題だ。
他にも現行の政治資金規正法に基づく制度の中で、「最低でもこれだけは変えなければならない」ことを列挙したものが、上脇氏が理事を務める公益財団法人政治資金センターとビデオニュース・ドットコムの人気番組『ディスクロージャー・アンド・ディスカバリー』の司会を務める三木由希子が理事長を務める情報公開クリアリングハウスから「政治にかかわる資金の透明性確保を求める意見書」という形で公開されているが、その内容を見ると、これまで政治資金規正法がいかにザル法だったかを痛感せずにはいられない。
その上で、政治資金の野放図な実態を熟知している上脇氏は、事実上の企業・団体献金の抜け穴となっている政治資金パーティも禁止すべきだし、政党交付金も廃止すべきだと主張する。企業・団体献金そのものには賛否両論があるが、上脇氏が問題にするのは、企業は政治資金収支報告書の提出義務がないため、受け取った派閥や政治団体側が正直にパーティ券収入を報告しない限り、その実態を知る術がないことだ。どこかの企業が記載義務が生じる20万円以上のパーティ券を買っていても、あるいは150万円の上限を超えて購入していても、受け取った側がそれを記載せずにすべて裏金に回していても誰にもわからないことになる。
また政党交付金については、そもそも政治資金の規律を全く守れない政党や政治家に100億円単位の交付金を渡すことは、「盗人に追い銭」であり「依存症患者に麻薬を渡すようなもの」に他ならないからだ。
検事時代に政治家の裏金問題を捜査した経験を持つ弁護士の郷原信郎氏は、今回有権者の期待とは裏腹に裏金を貰っていた議員の摘発が3人にとどまった理由を、「政治資金規正法の真ん中に空いた大穴のため」と説明する。複数の政治団体を持っている政治家が、裏金をどの団体に入れたのかを明確にしない限り、検察は「起訴状が書けない」という刑事訴訟法上の問題が生じる。そのため政治家が政治資金の受け皿として使える団体を一つに限定するなどの法改正が必須だと指摘する。
国会では政治資金規正法の改正案の審議が始まろうとしているが、これまで与党側が出してきた改革案はあまりにもいい加減なものばかりだ。有権者がよほどしっかりしなければ、「私たちはこれからも裏金作りに勤しみます」と宣言されているような改革案でお茶を濁されて終わってしまいかねない。
政治資金規正法はその第一条で、政治を国民の「不断の監視と批判の下」に置くことがその目的であると宣言しているが、上脇氏や郷原氏が提唱する法律の改正案はいずれもそれを実現するためには不可欠なものばかりだ。現行の法律は不断の監視はおろか、まったく監視ができない代物になっている以上、抜本的な改正が待ったなしだ。一刻も早く「金のための政治」を終わらせ、国民のために働く政治を取り戻すためには、有権者のわれわれ一人ひとりが、まずは現行制度の問題点を知ることで、デタラメな改革案に騙されないようにすることではないか。
今回の自民党裏金問題の発端となった告発をした上脇氏と、弁護士の郷原氏、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が、日本の政治に先進国として当たり前の透明性を持たせるために最低限必要となる施策とは何かを議論した。
後半はこちら→so43683908
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<マル激・後半>裏金が作り放題の政治資金規正法の大穴を埋めなければならない /上脇博之氏(神戸学院大学法学部教授)、郷原信郎氏(弁護士、元検事)
政界を揺るがしてきた一連の裏金疑獄は、これから最も重要な局面を迎える。そもそも不正を引き起こした法律上、制度上の原因を探り、必要となる法改正をめぐる議論が国会で始まったからだ。
今回の裏金問題は元々、神戸学院大学の上脇博之教授が赤旗の取材を受けた際に、自民党の各派閥が政治資金パーティの収入を正しく報告書に記載していないことを知り、自らも調査を発展させた上で刑事告発したことが全ての発端だった。東京地検特捜部が捜査に着手すると、単なる派閥によるパーティ券収入の不記載や虚偽記載にとどまらず、多額の裏金が議員に還流されていたことがわかり、一大スキャンダルに発展していった。
その上脇氏は、現行の政治資金規正法に基づいて政治家や派閥、政党、政治団体などが提出している政治資金収支報告書は、その中身をチェックすることがとても困難なことを、自らの経験に基づいて強調する。総数にして数百万ページはあろうかという収支報告書はウェブ上で閲覧が可能になっているが、一つ一つのページがデータ化されていないPDF形式で公開されているため、検索をかけたりソート(並び替え)などができない。驚いたことに現行制度の下では、政治資金規正法が守られているかどうかをチェックするためには、数十万から数百万ページはある報告書を一枚ずつ手繰っていくしかないのだ。
上脇氏は膨大な時間をかけて、報道などで各派閥のパーティ券を大量に買っていそうな政治団体の支出と、パーティ券を売っている派閥の収入を突き合わせることで、辛うじて4,000万円あまりの記載漏れがあることを突き止め、これが今回の刑事告発につながった。しかし、赤旗による地道な調査報道と上脇氏による刑事告発がなければ、今も当たり前のように還流や裏金作りが粛々と行われていたことになる。実際、パーティ券の売り上げの還流による裏金作りは少なくとも2005年には始まっていたことが、共同通信によって報道されている。
また、収支報告書は監督する権限を与えられた省庁や第三者機関が存在しないため、実際は報告内容が正確かどうかを誰もチェックしていない状態にあるというのも驚きだ。法律に基づいてどんな規制が設けられていようが、更にその規制をどれだけ強化しようが、最終的にそれが遵守されているかどうかを誰もチェックしていないし、したくてもそれが物理的に困難ということでは、そのような法律は法の体を成していないと言わざるを得ない。これは「ザル法」だとか「抜け穴」だとか以前の問題だ。
他にも現行の政治資金規正法に基づく制度の中で、「最低でもこれだけは変えなければならない」ことを列挙したものが、上脇氏が理事を務める公益財団法人政治資金センターとビデオニュース・ドットコムの人気番組『ディスクロージャー・アンド・ディスカバリー』の司会を務める三木由希子が理事長を務める情報公開クリアリングハウスから「政治にかかわる資金の透明性確保を求める意見書」という形で公開されているが、その内容を見ると、これまで政治資金規正法がいかにザル法だったかを痛感せずにはいられない。
その上で、政治資金の野放図な実態を熟知している上脇氏は、事実上の企業・団体献金の抜け穴となっている政治資金パーティも禁止すべきだし、政党交付金も廃止すべきだと主張する。企業・団体献金そのものには賛否両論があるが、上脇氏が問題にするのは、企業は政治資金収支報告書の提出義務がないため、受け取った派閥や政治団体側が正直にパーティ券収入を報告しない限り、その実態を知る術がないことだ。どこかの企業が記載義務が生じる20万円以上のパーティ券を買っていても、あるいは150万円の上限を超えて購入していても、受け取った側がそれを記載せずにすべて裏金に回していても誰にもわからないことになる。
また政党交付金については、そもそも政治資金の規律を全く守れない政党や政治家に100億円単位の交付金を渡すことは、「盗人に追い銭」であり「依存症患者に麻薬を渡すようなもの」に他ならないからだ。
検事時代に政治家の裏金問題を捜査した経験を持つ弁護士の郷原信郎氏は、今回有権者の期待とは裏腹に裏金を貰っていた議員の摘発が3人にとどまった理由を、「政治資金規正法の真ん中に空いた大穴のため」と説明する。複数の政治団体を持っている政治家が、裏金をどの団体に入れたのかを明確にしない限り、検察は「起訴状が書けない」という刑事訴訟法上の問題が生じる。そのため政治家が政治資金の受け皿として使える団体を一つに限定するなどの法改正が必須だと指摘する。
国会では政治資金規正法の改正案の審議が始まろうとしているが、これまで与党側が出してきた改革案はあまりにもいい加減なものばかりだ。有権者がよほどしっかりしなければ、「私たちはこれからも裏金作りに勤しみます」と宣言されているような改革案でお茶を濁されて終わってしまいかねない。
政治資金規正法はその第一条で、政治を国民の「不断の監視と批判の下」に置くことがその目的であると宣言しているが、上脇氏や郷原氏が提唱する法律の改正案はいずれもそれを実現するためには不可欠なものばかりだ。現行の法律は不断の監視はおろか、まったく監視ができない代物になっている以上、抜本的な改正が待ったなしだ。一刻も早く「金のための政治」を終わらせ、国民のために働く政治を取り戻すためには、有権者のわれわれ一人ひとりが、まずは現行制度の問題点を知ることで、デタラメな改革案に騙されないようにすることではないか。
今回の自民党裏金問題の発端となった告発をした上脇氏と、弁護士の郷原氏、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が、日本の政治に先進国として当たり前の透明性を持たせるために最低限必要となる施策とは何かを議論した。
前半はこちら→so43684512
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<永田町ポリティコ> 必要な改革から逃げ続ける岸田首相の「鈍感力」にわれわれはいつまで付き合わされるのか
昨年来政権の足を引っ張ってきた自民党の裏金問題は党内の処分も決着し、後顧の憂いなく晴れ晴れとした気分で国賓としてのアメリカ訪問に臨んだ岸田首相はバイデン大統領との蜜月関係をアピールしたり、元レーガン大統領のスピーチライターが執筆したとされる議会演説で万来の拍手を受け、ご満悦の表情で帰国の途に着いた。しかし、スタンディングオベーションで迎えてくれたアメリカ議会での「日本の国会でこんな優しい扱いを受けたことがない」とのジョークとも泣き言ともつかない発言の通り、今週から政治資金規正法の改正審議が本格的に始まる日本の国会では、首相にとって厳しい政局が待ち受けている。
しかし、政治資金規正法の改正をめぐっては、残念ながらと言うべきかやはりと言うべきか、岸田政権も与党自民党も、本気で政治資金規正法の実効性のある改正を行うつもりは無さそうだ。
そもそも現行の政治資金規正法は、その第一条で高らかに謳っている「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため」の法理をまったく満たしていない。この条文は、政治資金に量的な規制をかけるのではなく、とにかくすべてをガラス張りにすることで、政治を常に国民の監視の下に置かなければならないという、同法の基本的法理を表したものだ。しかし、実際には政党から政治家への寄付が無制限に認められているなど、ど真ん中に大穴が空いていることに加え、政策活動費の名目を掲げれば資金の使途をまったく明らかにしなくてもいいことになっていたりする。しかも、その収支報告の公開方法がWEB上でPDF方式で行われているだけなため、有権者が政治家や政治団体の資金の動きをチェックするためには、何十万、あるいは何百万ページもあるPDF化された政治資金収支報告書を一枚一枚手繰っていくしかない。これは要するに、有権者が政治家の政治活動に対して「不断の監視」を行うことなど事実上不可能になっているというこだ。
今回、神戸学院大学の上脇博之教授が膨大な時間をかけて、このPDFを一枚一枚手繰っていく作業を続けた結果、自民党の各派閥がパーティ券の売り上げを過小申告していることを掴み、それを刑事告発したことが裏金問題のすべての発端だった。しかし、そもそも億単位の報告漏れがあったにもかかわらず、政治資金問題のプロ中のプロである上脇教授が何ヶ月もかけてようやくその氷山の一角を捕まえたが、プロが何ヶ月もかけてそれだけ特殊な作業を続けなければ、ちょっとした不正を見つけることさえできないほど、現在の政治資金規正法とそれに基づく収支報告書の公開方法は国民を小馬鹿にしたような運用が行われているのだ。
これから政治資金規正法の改正をめぐる論議が国会で始まるが、例えどれだけ規制を厳しくしようとも、そもそもその法律が守られているかどうかをチェックすることが不可能な法律など、法律の体を成していない。まずはどんな改正案を審議するよりも前に、現行の政治資金収支報告書の公開方法を、岸田政権が好きな「デジタル化」、つまり現行のPDF方式ではなく、政治家名や政治団体名や寄付者名がデータとして入力され、それが検索やソート(並び替え)などが可能な状態にする必要がある。
そもそも総務省が管理している国会議員の政治資金収支報告書については、単にPDF状態のものをデータ化する「デジタル化」であれば、法改正も必要がないはずだ。岸田首相が総務大臣に「やれ!」と命じればいいだけのことだ。もちろんそのための予算をつける必要はあるが、昨今の予算には毎年膨大な予備費が積まれているので、収支報告書のデータをデジタル化するくらいの費用は簡単に捻出できるはずだ。地方公共団体の選挙管理委員会に提出された地方議員や地方の政治団体の収支報告をデジタル化するためには、法改正が必要になるだろうが、最初に総務省が中央で管理している収支報告書をデジタル化してしまえば、各自治体も遅ればせながらこれに従わざるを得ないだろう。
PDFデータのデジタル化から逃げた状態での政治資金規正法改正論議には何の意味もないことを、まずわれわれは厳しく認識する必要がある。
4月28日には3選挙区で補欠選挙が行われる。そのうちの2つは、自民党の現職の不祥事による辞任を受けたものだ。また、3つ目の島根1区の補選も、突出して裏金が多かった清和会の会長を務めた細田博之前衆院議長の死去を受けたものとなる。細田氏は非常に親しい関係にあったとされる統一教会との関係についても、きちんと説明責任を果たさないまま亡くなっている。自民党は不戦敗も含め全敗に終わる可能性が濃厚だが、自民党内には岸田体制への不満は充満しているものの、岸田おろしを仕掛けられるような状態にはないとの見方が有力だ。岸田政権や自民党の支持率が多少でも復活すれば6月の会期末解散の可能性は残るが、総理は得意の「鈍感力」で解散をせずに内閣改造程度の弥縫策で9月の総裁選に臨む可能性もある。
そうなった場合は、次の総選挙がいつ行われるにしても、日本の未来はもっぱら有権者の良識に委ねられることになる。
政治ジャーナリストの角谷浩一とジャーナリストの神保哲生が、4月28日の補選とその後の政局、そして今回の裏金疑獄をきっかけに日本の政治が変わる可能性などについて議論した。
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<永田町ポリティコ> 岸田政権は自民党の、そして日本の存亡がかかっていることが、未だに理解できていないようだ
自民党の二階俊博元幹事長は3月25日、次期衆院選に出馬しない意向を表明した。4月初旬にも予定されている裏金議員に対する処分の先手を打った形だが、早くも自民党内では二階氏に対する処分を見送る方針が取り沙汰されているという。
どうやら岸田政権も自民党も、今回のパーティ裏金疑獄が党の存亡に関わる重大な問題であることが未だに認識できていないばかりか、もしかすると、それを理解する能力を失ってしまっているように見える。
今回明らかになった裏金問題は政治の根幹に関わる。一つは裏金がどのように使われたのかを考える時、日本が21世紀になった今も金権政治、つまり金で政策や政治的決定が左右されるような後進国並の政治が横行していたことだ。
また、もう一つは裏金の原資となっている多額の企業団体献金によって、政府の政策による既得権益企業や団体、あるいは本来であれば護られるべきではない利権をもった企業や団体の保護が続いていることがうかがえることだ。これが、世界各国が次々とIT化や脱カーボン化を進める中、日本は相変わらず旧態依然たる企業が時価総額のトップ10を占めるなど、一向に産業構造を改革できていないことの少なくとも一要因になっている可能性が高い。
その意味で裏金問題は今の日本が直面する国家存亡に関わる諸問題の根幹に関わる。
ところが岸田政権としては、4月初旬に発表される処分案で除名や離党勧告まではいかないまでも、党員資格停止などそこそこ厳しい措置を取れば、世論の怒りはある程度は抑えられると見ているのだろう。そこで4月に国賓として渡米し外交の岸田よろしくバイデン大統領との蜜月ぶりをアピールした上で、4月の賃上げで庶民の懐が暖まった中で5月にゴールデンウィークを迎えることができる。そして、6月に定額減税、7月にはパリ五輪で日本選手の活躍に国中が沸き上がれば、裏金問題は過去の物になるだろう。そんな感じで高を括っているように見える。
しかし、果たして日本の有権者はそんなに無知蒙昧で寛容だろうか。賃上げといってもそれは大企業などほんの一部のことだ。定額減税分と合わせても、とてもではないが昨今の物価高を吸収できるとは思えない。また、オリンピックで日本選手が活躍すれば、本当に岸田政権や自民党の支持率が回復するのだろうか。
今回の裏金問題とその後の自民党の対応能力の無さは、自民党という政党が根っこから腐りきっているとの印象を多くの有権者に与えている。過去には一時的に政権の支持率が下がっても、目先で弥縫策を講じれば、政権支持率は再浮上していた。しかし、それは根底に自民党という政党に対する信頼があったからではないか。信頼さえ残っていれば、自民党が時に弛んでいたり傲りが見えた時は、お灸を据えて反省してもらおうという感覚だった。
しかし、今回は自民党と有権者の間の根本的な信頼関係が傷ついてしまった。どうも鈍感力がウリの岸田首相には、それがわからないらしい。
先にあげた4月以降の政治日程は、有権者の良識が問われることにもなる。果たして日本の政治がこれまでのような隠蔽体質と既得権益の擁護を繰り返し、日本の国際的な地位を低下させ先進国から脱落させていくことを許すのか、それとも有権者の良識によって日本の政治を先進国と呼ばれるに相応しいレベルに変えることができるのか。
与党もダメだが野党もダメだなどとわけ知り顔で言っている人は、この国会で野党の提出した法案を一つでも読んだことがあるのか。自民党政権が続いてくれた方が何かと都合がいい既存メディアの土俵の上で踊らされていないか。
この4月からの数カ月、自民党の存亡が問われると同時に、有権者の良識も問われている。そしてそれは日本の未来が問われていることも意味している。
政治ジャーナリストの角谷浩一とジャーナリストの神保哲生が議論した。
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<永田町ポリティコ> 日本は自浄能力を失った自民党に失望している場合ではない
自民党に新たなパーティ問題が持ち上がっている。
そもそも今年の政局は自民党派閥の政治資金パーティ裏金問題をめぐり、年初から大紛糾を続けている。その最中に、今度は自民党和歌山県連が主催するパーティに過激な衣装を身にまとったダンサーを呼び、口移しでチップを渡すシーンの写真などが流出して、あらためて炎上している。このパーティが開かれた昨年11月18日は、東京地検特捜部が政治資金裏金問題をめぐり、会計責任者に事情聴取を開始した日だった。しかし、自民党内ではこの捜査に戦々恐々とするどころか、どこ吹く風とでも言わんばかりにこんなセクシーパーティが開かれていたのだ。危機感はおろか、政治家としての最低限の常識や倫理観が問われる事態となっている。
そもそもこのパーティの費用がどこから支払われたか。自民党の梶山弘志幹事長代行は8日の記者会見で「公費が出ていないことだけは確認できている」と発言しているが、そもそもおカネに色は付いていないし、自民党は政党交付金として160億円の税金が投入されている公党だ。もし本当に公費が使われていなかったとなると、全額会費で賄われたのでなければ、裏金から捻出したのではないかという疑念も浮上する。
前回のポリティコでも議論してきたが、政治資金規正法には大穴が空いている。しかも、現行の政治資金収支報告書の公開制度では、公開データがすべてデータ化されていないPDF形式のため、検索やソートができず、何十万ページあるのか何百万ページあるのかもわからない膨大な量の収支報告書を厳しくチェックすることは物理的、時間的に不可能だ。
その一方で、自民党は総裁選でも未だに票集めのために実弾(現金)が飛び交うとされるし、選挙の際に票集めに動いてくれる地方議員への資金提供のためにも、裏金はいくらあっても足りない。
だから政治資金規正法の明らかな欠陥を正しつつ、誰もが簡単に政治家やその政治団体の資金状況や大口の寄付者が調べられるように収支報告書をデータ化する一方で、金がモノを言う前時代的な総裁選や選挙運動の仕組みを変えない限り、政治と金の問題はこれからも繰り返されることは必至だ。
自民党は4月の衆院補欠選挙の前に、裏金問題の議員に対する党内処分を行うことを決めたが、党規約で定める1~8段階の処分のうち一番厳しい除名を決断できるかどうかが、自民党の本気度を推し量るバロメーターになるだろう。これだけ不祥事を拡大させておきながら、除名もできないとすれば、もはや自民党は完全に自浄能力を失った烏合の衆と断じざるを得ない。
今回の裏金問題と、それを受けた自民党の目も当てられないようなお粗末な対応は、自民党政治が実は未だに金権政治でしかなく、そのような政党には決して政権を担う資格も能力もないことを露呈させた。当然、自民党や岸田政権の支持率は低下し続けているが、その一方で、反自民の受け皿とならなければならない野党の支持率は必ずしも上がっていない。自民もダメだが野党にも期待できないというのが、今のところの多くの有権者の思いだろう。
しかし、もし自民がダメだというのなら、われわれは野党を育てていかなくてはならない。結局のところ、自民党をここまで堕落させたのは、野党が政治に緊張感をもたらすことができなかったからであり、それはイコール有権者が野党を育てる努力を怠ってきたからだ。
与野党が拮抗する緊張感のある政治を再興させない限り、30年間停滞し続けている日本の復活は期待できない。国際情勢が大きく激動する中で、日本は金権政治スキャンダルなどでのたうちまわっている場合ではない。
政治ジャーナリストの角谷浩一とジャーナリストの神保哲生が「自民党もダメだが野党もダメだ論」をぶった切った。
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
政治資金不記載問題についての一考察-D
自民党清和会、二階派、岸田派等の政治資金不記載問題を巡る検察捜査と、自民党再生への提言。
座談会締めの要点
①不記載問題は自民党再生の契機になり得る(有元氏)
②清和会のこの間の危機管理にあたっていたのは塩崎彰久、鈴木英敬両氏(有元氏)
③自民党の問題は「パックス・アベーナ」が続いていたことの弛緩(石橋氏)
④自民党再生のヒントは安倍氏の天下取りが参考になる。力の源泉は派閥ではなく中堅・若手を囲い込んだ勉強会(石橋氏)
⑤小池知事は確実に総理に出る確証があれば国政に舞い戻る(石橋氏)
⑥次期総理には小野寺元防衛大臣、木原防衛大臣に期待
⑦自民党は早期解散ならそれ程負けない(石橋氏)
政治資金不記載問題についての一考察-C
政治資金不記載問題に対する法務・検察による捜査と、捜査終結後の余波と政局。指導力を全く発揮していない“政界のパワハラ部長”とポスト岸田を巡る動乱はいつか?!
座談会中後半部分の要点-
①そもそも自民党各派閥に中選挙区時代のような力はない(石橋氏)
②岸田総理の問題は万事世論に右往左往する姿勢(高井弁護士)
③清和会幹部離党論の火付け役は“政界のパワハラ部長”(有元氏)
④パワハラ部長はこの間全く指導力を発揮していない(有元氏)
⑤元々平成研は一枚岩ではなく参議院が強い。小渕氏離脱劇もその流れから(石橋氏)
⑥自民党にとって真の悪夢は萩生田氏が集団離党し維新に行くシナリオ(石橋氏)
⑦件の不記載問題に対しては二階氏は相当責任を感じている。派閥解散もその文脈から(石橋氏)
⑧今後の政局のキーマンは菅前総理
⑨政局が一気に動くとすると会期末の6月(有元氏)
⑩この状況下で仮に北朝鮮□□などが軍事行動を起こせば日本は対応できるのか?!(高井弁護士)
政治資金不記載問題についての一考察-B
年を跨ぐ形で行われた法務・検察による、政治資金不記載問題捜査。結果、公判請求に至ったのは清和会,二階派,岸田派の各派閥の会計責任者までで派閥幹部は何れも立件を断念。一連の法務・検察の捜査の在り方に問題はなかったのか?! それと同時に不記載問題の杜撰さを、派閥の弊害に飛躍させることは筋が違うのではないかとの提起は傾聴に値する。とりわけ、後半部分で石橋氏が指摘する民主党政権下の小沢一郎氏の専横は「執行部独裁」。仮に派閥を否定すれば総理と執行部に対する歯止めがなくなる。
座談会中盤の要点
①検察官はあくまで組織として動く。検察官個人は匿名性があっていい(高井弁護士)
②ロッキード事件と比較し、検察官の質の劣化は明らか(高井弁護士)
③岸田総理は政局にはそれ程強くないが、一種の野生の勘はある(石橋氏)
④>「野生の勘」とは恐怖心。政治生命の危機を感じたら思いがけない行動に出る(石橋氏)
⑤仮に派閥解消なら清和会が率先して実行しなければならない(有元氏)
⑥塩谷氏は資質も資格もない(有元氏)
⑦自民党の党改革中間案骨子
⑧派閥の資金パーティを禁止しても議員個人のパーティーが継続される以上、集金力のある議員はより強大化する
⑨派閥を完全に排除すれば総理大臣と執行部の独裁に直結する。その一例が議員立法を即禁止した民主党政権下の小沢一郎氏だ(石橋氏)
⑩派閥が悪なのではなく、中選挙区制が派閥を悪にする(石橋氏)
11小泉政権以降、派閥が人事に口を出す余地は少なくなっている。大臣人事で唯一意向を聞いたのは福田氏のみ(石橋氏)
12生前の安倍元総理の話によると、二階氏は全く大臣人事の要求はしない人(石橋氏)
政治資金不記載問題についての一考察-A
年を跨ぐ形で行われた、政治資金不記載問題に伴う法務・検察による一連の捜査。法務・検察は通常国会開会前に、清和会、二階派、岸田派の会計責任者を立件する傍ら、清和会幹部らの立件を断念。これにより不記載問題に対する捜査は終結。法務・検察が公判請求を断念する際の「嫌疑なし」は法的には「無実」を意味する。
座談会内の要点として,
①法務・検察が旨としているのは「検察ファッショ批判」。これは明治憲法下の「帝人事件」に対する反省がある。
②捜査終結の結論として「嫌疑なし」は当然(高井弁護士)。
③疑惑を報じたのは「朝日」、反対に立件断念を報じたのは「毎日」(これは森友と全く一緒)。
④1月10日の朝日の記事は清和会憎しでしかないのでは?!
⑤かつてのロッキード捜査は法務・検察にとっても生きるか死ぬか。当時は双方に緊張感があった。
⑥捜査は公正。問題は情報漏洩を伴っていること(高井弁護士)。
⑦法務・検察を軽々に信用するのは危険。小泉政権下のあの「人権擁護法案」の仕掛け人は法務・検察だ(石橋氏)。
<マル激・後半>現行の政治資金制度のここを変えなければ疑獄事件は何度でも繰り返される/郷原信郎氏(弁護士、元検事)
裏金欲しさにわざと話をすり替えているのではないか。そう言わざるを得ないほど、ここまで出てきている政治と金に対する自民党の対応は見事なまでに急所を外している。
年末から大規模態勢で行われた東京地検特捜部による政治資金パーティ裏金事件の捜査は、国会議員3人と会計責任者や秘書7人が起訴されたことで事実上終結した。自民党の各派閥は各議員へのキックバックが政治資金収支報告書に記載されていなかったとして、報告書の訂正を行い、現時点では政倫審などでいかに裏金議員の責任追及を行うべきかなどに焦点が移ってきている。無論責任追及は重要だが、より重要なのは今回の事件で明らかになった現行制度の欠陥や問題点を精査した上で、それを今後にどう活かすかだ。しかし、ここまで出てきた改革案は派閥の解散やパーティの禁止など、今回の裏金疑惑とは直接関係のないものばかりで、このままではまた政治と金の疑獄事件が繰り返されることが避けられそうにない。
そもそも今回の裏金疑惑とは何だったのか。リクルート事件や佐川事件、日歯連事件などを受けて改正された現行の政治資金規正法では、政治家個人や政治家の団体への企業・団体献金は禁止されているが、その抜け穴として使われてきたのが政治資金パーティだった。自民党の各派閥、とりわけ今回解散に追い込まれた清和政策研究会(旧安倍派)は20年前から主に企業や団体に対して所属議員にパーティ券を売らせ、ノルマを超えた分を議員にキックバックさせていた。本来、派閥から政治家の政治団体への寄付は、両者が適切に収支報告書に記載していればそれ自体は違法ではない。今回の裏金問題も、元はと言えば神戸学院大学の上脇博之教授が、パーティ券を購入した政治団体が収支報告書に記載していた支出が、派閥の報告書に収入として記載されていないことを発見し、刑事告発したことから始まった、単なる「不記載事件」だった。
収支報告書への不記載については、検察の捜査とその後の自己申告などにより、最終的に100人近い議員が裏金を受け取りながらそれを収支報告書に記載していないことが明らかになったわけだが、最終的に派閥側でパーティ収入や裏金の支出を適切に申告しなかった罪で3つの派閥の経理責任者が立件された他は、裏金の金額が4,000万円を超えていた3人の議員とその秘書と、3,500万円を超えていた二階俊博議員の秘書が立件されただけで、残りの議員は少なくとも法的には全員不問に付されることとなった。そもそもまず、そこに現行の政治資金規正法の明らかに重大な欠陥がある。
現行制度の下では政治家は複数の政治団体を持つことができるため、仮に裏金を受け取っても、それをどの団体に入れたのかが明らかになっていなければ、報告書への不記載で立件ができない建付けになっていると弁護士で検事として裏金事件の捜査に当たった経験を持つ郷原信郎氏は言う。郷原氏によると、どの団体がその資金を受け取ったのかが明らかになっていないと「起訴状が書けない」のだそうだ。政治資金収支報告書の不記載罪で立件するためには、起訴状に受け取った団体名を明記した上で、その団体が本来は記載しなければならない資金を記載しなかった事実が指摘されていなければならないからだ。
この理屈は民間に置き換えると、例えば2つの会社を経営する経営者は、収入をどちらの会社に入れるかを決めていなければ申告しなくても脱税に問われないことになってしまうようなもので、一般の常識ではにわかには信じがたい解釈だが、これが現行の政治資金規正法の不記載罪を適用する上での大きな欠陥であり、「真ん中に空いた大穴」なのだと郷原氏はいう。
まずは何を措いても、その大穴を埋めない限り、今回の裏金スキャンダルから何ら教訓を得ていなかったことになってしまうが、今のところその大穴を埋めるための改革案はどこからもまったく提案されていない。これは政治家が複数のお財布を持つことを認められているために起きている問題なので、政治資金を入れられる団体を一つに限定する法改正を行うか、もしくは郷原氏が提案しているような、どこの団体にも入っていない分も含めた「政治資金収支総括報告書」の提出を義務づけるかのいずれかの改正が早急に必要だ。その大穴は今も空いたままになっているのだ。
もう一つの大穴は現行法の下では政治家個人への寄付が禁止されているにもかかわらず、政党による寄付だけは例外的に許されていることだ。そして、それを受け取った政治家がその資金を政策活動費として使ったと言ってしまえば、その使途さえ公開しないでいいことになっている。これが二階幹事長が党から50億もの金を受け取っていながら、それが何に使われたのかがわからないというようなあり得ない事態を生んでいたことも今回明らかになった。これを解決するためには、政治家個人への寄付を禁止している政治資金規正法22条におまけのように付け加えられた第2項の「ただし政党からの寄付を除く」という条文を削除すると同時に、政策活動費と名乗れば一切使途を公開しなくてもいいという現行制度を変える必要がある。岸田首相は政策活動費の使途公開について「政治活動の自由が損なわれる」との理由から反対の意向のようだが、そもそも表に出せない資金を用いた政治活動とは何なのか。
もう一つ、待ったなしであり、最優先で取り組まなければならない問題が、現行の政治資金収支報告書の公開方法だ。日本には政治資金収支報告書を提出している政治団体が少なくとも6~7万団体以上あり、それそれが数ページから数十ページ、政党にいたっては数百ページから千ページを超える政治資金収支報告書を提出している。これは毎年提出されている報告書の総ページ数が恐らく数十万から数百万ページに及ぶことを意味している。収支報告書は総務省のホームページなどでオンライン閲覧が可能となっているが、これが何とすべてPDF形式でしか公開されていない。PDF形式ではデータ化されていないため検索やソートができない。そのため例えば政治家の名前から、その政治家の持つ政治団体名を検索することもできないし、寄付者の名前からその人物や団体が誰にいくら寄付をしているかも逆引きすることもできない。そしてそもそも数百万ページはある収支報告書のすべてを誰も確認も監視もしていない。アナログ方式で何百万ページもの報告書を確認などできるわけがないのだ。・・・
まず政治資金収支報告書のデジタル化を実行することが、すべての改革に先立って行われなければならない。なぜならば政治資金規正法はその第一条で政治を国民の不断の監視と批判の下に置くために同法があることを高らかに謳っているからだ。政治資金を完全にガラス張りにすれば、派閥の機能も政治資金パーティや企業・団体献金の功罪もすべて白日の下に晒され、自ずと常識的な制度に落ち着くはずだ。
むしろ最も基本中の基本と思われるこの改革を行わないまま、派閥を解散させたりパーティや企業献金を禁止し、連座制の適用などの厳罰化などを行えば、政治資金はより深く地下に潜り、政治資金規正法の目的とは逆の方向に政治が向かってしまう可能性が高い。それはひいては政治を劣化させ、国民の期待に応える政治が行われにくくなってしまうことを意味する。
パーティ券裏金問題の本質とは何だったのかを再確認した上で、政治不信を助長する疑獄事件を繰り返さないためには現行の政治資金制度の何を変えなければいけないのか、また何は変えるべきではないのかなどについて、元検事の郷原弁護士とジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
前半はこちら→so43444794
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・前半>現行の政治資金制度のここを変えなければ疑獄事件は何度でも繰り返される/郷原信郎氏(弁護士、元検事)
裏金欲しさにわざと話をすり替えているのではないか。そう言わざるを得ないほど、ここまで出てきている政治と金に対する自民党の対応は見事なまでに急所を外している。
年末から大規模態勢で行われた東京地検特捜部による政治資金パーティ裏金事件の捜査は、国会議員3人と会計責任者や秘書7人が起訴されたことで事実上終結した。自民党の各派閥は各議員へのキックバックが政治資金収支報告書に記載されていなかったとして、報告書の訂正を行い、現時点では政倫審などでいかに裏金議員の責任追及を行うべきかなどに焦点が移ってきている。無論責任追及は重要だが、より重要なのは今回の事件で明らかになった現行制度の欠陥や問題点を精査した上で、それを今後にどう活かすかだ。しかし、ここまで出てきた改革案は派閥の解散やパーティの禁止など、今回の裏金疑惑とは直接関係のないものばかりで、このままではまた政治と金の疑獄事件が繰り返されることが避けられそうにない。
そもそも今回の裏金疑惑とは何だったのか。リクルート事件や佐川事件、日歯連事件などを受けて改正された現行の政治資金規正法では、政治家個人や政治家の団体への企業・団体献金は禁止されているが、その抜け穴として使われてきたのが政治資金パーティだった。自民党の各派閥、とりわけ今回解散に追い込まれた清和政策研究会(旧安倍派)は20年前から主に企業や団体に対して所属議員にパーティ券を売らせ、ノルマを超えた分を議員にキックバックさせていた。本来、派閥から政治家の政治団体への寄付は、両者が適切に収支報告書に記載していればそれ自体は違法ではない。今回の裏金問題も、元はと言えば神戸学院大学の上脇博之教授が、パーティ券を購入した政治団体が収支報告書に記載していた支出が、派閥の報告書に収入として記載されていないことを発見し、刑事告発したことから始まった、単なる「不記載事件」だった。
収支報告書への不記載については、検察の捜査とその後の自己申告などにより、最終的に100人近い議員が裏金を受け取りながらそれを収支報告書に記載していないことが明らかになったわけだが、最終的に派閥側でパーティ収入や裏金の支出を適切に申告しなかった罪で3つの派閥の経理責任者が立件された他は、裏金の金額が4,000万円を超えていた3人の議員とその秘書と、3,500万円を超えていた二階俊博議員の秘書が立件されただけで、残りの議員は少なくとも法的には全員不問に付されることとなった。そもそもまず、そこに現行の政治資金規正法の明らかに重大な欠陥がある。
現行制度の下では政治家は複数の政治団体を持つことができるため、仮に裏金を受け取っても、それをどの団体に入れたのかが明らかになっていなければ、報告書への不記載で立件ができない建付けになっていると弁護士で検事として裏金事件の捜査に当たった経験を持つ郷原信郎氏は言う。郷原氏によると、どの団体がその資金を受け取ったのかが明らかになっていないと「起訴状が書けない」のだそうだ。政治資金収支報告書の不記載罪で立件するためには、起訴状に受け取った団体名を明記した上で、その団体が本来は記載しなければならない資金を記載しなかった事実が指摘されていなければならないからだ。
この理屈は民間に置き換えると、例えば2つの会社を経営する経営者は、収入をどちらの会社に入れるかを決めていなければ申告しなくても脱税に問われないことになってしまうようなもので、一般の常識ではにわかには信じがたい解釈だが、これが現行の政治資金規正法の不記載罪を適用する上での大きな欠陥であり、「真ん中に空いた大穴」なのだと郷原氏はいう。
まずは何を措いても、その大穴を埋めない限り、今回の裏金スキャンダルから何ら教訓を得ていなかったことになってしまうが、今のところその大穴を埋めるための改革案はどこからもまったく提案されていない。これは政治家が複数のお財布を持つことを認められているために起きている問題なので、政治資金を入れられる団体を一つに限定する法改正を行うか、もしくは郷原氏が提案しているような、どこの団体にも入っていない分も含めた「政治資金収支総括報告書」の提出を義務づけるかのいずれかの改正が早急に必要だ。その大穴は今も空いたままになっているのだ。
もう一つの大穴は現行法の下では政治家個人への寄付が禁止されているにもかかわらず、政党による寄付だけは例外的に許されていることだ。そして、それを受け取った政治家がその資金を政策活動費として使ったと言ってしまえば、その使途さえ公開しないでいいことになっている。これが二階幹事長が党から50億もの金を受け取っていながら、それが何に使われたのかがわからないというようなあり得ない事態を生んでいたことも今回明らかになった。これを解決するためには、政治家個人への寄付を禁止している政治資金規正法22条におまけのように付け加えられた第2項の「ただし政党からの寄付を除く」という条文を削除すると同時に、政策活動費と名乗れば一切使途を公開しなくてもいいという現行制度を変える必要がある。岸田首相は政策活動費の使途公開について「政治活動の自由が損なわれる」との理由から反対の意向のようだが、そもそも表に出せない資金を用いた政治活動とは何なのか。
もう一つ、待ったなしであり、最優先で取り組まなければならない問題が、現行の政治資金収支報告書の公開方法だ。日本には政治資金収支報告書を提出している政治団体が少なくとも6~7万団体以上あり、それそれが数ページから数十ページ、政党にいたっては数百ページから千ページを超える政治資金収支報告書を提出している。これは毎年提出されている報告書の総ページ数が恐らく数十万から数百万ページに及ぶことを意味している。収支報告書は総務省のホームページなどでオンライン閲覧が可能となっているが、これが何とすべてPDF形式でしか公開されていない。PDF形式ではデータ化されていないため検索やソートができない。そのため例えば政治家の名前から、その政治家の持つ政治団体名を検索することもできないし、寄付者の名前からその人物や団体が誰にいくら寄付をしているかも逆引きすることもできない。そしてそもそも数百万ページはある収支報告書のすべてを誰も確認も監視もしていない。アナログ方式で何百万ページもの報告書を確認などできるわけがないのだ。・・・
まず政治資金収支報告書のデジタル化を実行することが、すべての改革に先立って行われなければならない。なぜならば政治資金規正法はその第一条で政治を国民の不断の監視と批判の下に置くために同法があることを高らかに謳っているからだ。政治資金を完全にガラス張りにすれば、派閥の機能も政治資金パーティや企業・団体献金の功罪もすべて白日の下に晒され、自ずと常識的な制度に落ち着くはずだ。
むしろ最も基本中の基本と思われるこの改革を行わないまま、派閥を解散させたりパーティや企業献金を禁止し、連座制の適用などの厳罰化などを行えば、政治資金はより深く地下に潜り、政治資金規正法の目的とは逆の方向に政治が向かってしまう可能性が高い。それはひいては政治を劣化させ、国民の期待に応える政治が行われにくくなってしまうことを意味する。
パーティ券裏金問題の本質とは何だったのかを再確認した上で、政治不信を助長する疑獄事件を繰り返さないためには現行の政治資金制度の何を変えなければいけないのか、また何は変えるべきではないのかなどについて、元検事の郷原弁護士とジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
後半はこちら→so43444796
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
「政治資金規正法の穴」を枕詞のように使っているようにさえ思う。 穴があると言うと、裏金問題がさも適法であるかのように聞こえる。今の法律でも違法は、違法だ。穴に逃げるな。 原口一博 2024-02-26
Youtubeの動画に同時配信のニコ生のコメントを載せた動画を作っています
[放送URL] lv344438758
https://www.youtube.com/watch?v=WltGDpHet9s
#0:25 1億3千万円使途明細なし 自民茂木氏、棚橋氏後援会
yahooニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/2ecf679a352ec11ef37ed5e4ec32c7cb015a9331
共同通信 https://nordot.app/1134455350625583276
#検索用 自民党 茂木敏充 1億3千万円 使徒明細なし 議員立法 政治資金規正法 ホテルオークラ 麻生太郎
<マル激・前半>政治資金をガラス張りにできない政治では日本の統治を担えない/牧原出氏(東京大学先端科学技術研究センター教授)
昨年末から政界を揺るがしてきた自民党の裏金問題の材料が概ね出揃ったようだ。しんぶん赤旗のスクープと上脇博之・神戸学院大学教授の独自の調査によって明らかになった政治資金パーティ収入の不記載問題は、安倍派に所属する大臣の辞任と自民党主要派閥の解散、そして最終的には現職国会議員3人の起訴にまで発展した。
一連の疑獄の発端はパーティ券収入の記載漏れだった。政治資金規正法は同一者からの20万円を超えるパーティ券収入については、収支報告書に氏名や住所、職業とともに金額を記載して提出することを義務づけている。今回は安倍派だけでも5年間で6億円以上、二階派は2億円以上、岸田派は3年間で3,000万円以上の不記載があったことが明らかになった。
また、今回はパーティ券収入の不記載に加え、記載されなかった分が裏金となって議員に還流されていたことも明らかになった。しかし、現行の政治資金規正法は裏金の不記載だけでは立件が難しい建て付けとなっている。この点を含め、今回明らかになった政治資金規正法の抜け穴については、法改正を含めしっかりとした手当が必要なことは言うまでもない。
ところが、自民党の政治刷新本部が中間取りまとめとして出してきた法と制度の改正案は、ガラス張りとはほど遠い内容になっている。行政学、日本政治史が専門の牧原出・東京大学先端科学技術研究センター教授は自民党はまだ政治の裏舞台で億単位の裏金が使われていたことに対する国民の怒りが理解できていないのではないかと訝る。
昨年10月にインボイス制度と電子帳票制度が導入されたため、多くの国民が1円単位まですべての領収書を丁寧に保管し、確定申告や決算の際に逐一計上しなければならなくなった。そうしなければ仕入れや経費分の消費税の控除が受けられなくなったからだ。これに対して政治の世界では寄付は5万円、パーティ券は20万円までは報告書に記載する義務が免除され、しかもそれが政策活動費の名目であれば、領収書を添付して目的を明示する必要がない。無論すべての政治資金は非課税だ。もともと政治家はこの資金管理に関しては、あり得ないほど優遇されてきたのだ。そこに、更に億単位の裏金が横行していたとなれば、国民の怒りを買うのも当然のことだ。
政治資金規正法が1条で謳うような政治に対する国民の不断なき監視を可能にするためには、政治資金の流れをガラス張りにするほかない。今回は現行の政治資金規正法がガラス張りとは程遠い状態にあることが明らかになった。国民の怒りを鎮めるためにはこの際、政治家に対しても一般国民と同等の報告義務を課すことが不可欠になるが、しかし肝心の政治家、とりわけ自民党はどうやらまだそれが理解できていないようだ。
政治資金を完全にガラス張りにしたくないことをごまかすためなのか、あるいはそもそも問題の本質がどこにあるのかを理解できていないからなのかは定かではないが、裏金が横行したのは派閥が悪いからだとして、岸田政権はここに来て唐突に派閥の解散を持ち出してきた。たしかに資金集めパーティも派閥を中心に行われてきたのは事実だし、派閥が資金集めや党内人事、政府人事の圧力源となってきたのも事実だ。それが企業・団体献金の抜け穴になっていたり、裏金が物を言う政治風土を醸成してきたことは間違いない。
しかし、派閥自体が完全に解散になれば、日本の統治構造まで変えることになりかねないため、注意が必要だ。今のところ茂木派と麻生派だけは派閥として残る構えを見せているが、派閥解散が一つの禊となった今、派閥を残したまま国民の怒りに抗えるかは微妙な情勢だ。仮に自民党が派閥と完全に訣別することになれば、何がどう変わるのか。そもそも1955年に自由党と民主党という2つの大きな党が大同団結して結成された自民党は、それ以来、派閥抗争を繰り返してきた。自民党の歴史が派閥抗争の歴史と言っても過言ではないほどだ。その自民党から派閥が一掃された時、自民党はこれまでのような統治能力を維持できるのか。
牧原氏は自民党がすべての派閥を解散すれば、下手をするとかつての民主党のようにばらばらになり、まとまらない党になる恐れもあるという。しかしその一方で、派閥は「政策集団」と名前を変えて、実質的には存続する可能性も高いと牧原氏は言う。いずれにしても、泣いても笑っても今年9月には自民党の総裁選があるので、そこで派閥単位で票が動くのかどうかを見極める必要があると牧原氏は言う。
そもそも今回の裏金問題は、政治資金規正法に大きな抜け穴がいくつもあり、赤旗と上脇教授がそれを乗り越えて独自の調査を行った結果、不正が明らかになった。なので、まずは何をおいても政治資金規正法の抜け穴を塞ぐことが最優先されなければおかしい。派閥を解散するよりも、政治資金パーティや企業団体献金を禁止するよりも、まずは政治資金の流れをガラス張りにすることだ。そうすることで、派閥やパーティの功罪が有権者によりはっきりと見えるようになる。パーティや企業団体献金、派閥の解散などは、資金の流れをガラス張りにした上で、どうすべきかを決めるのが常識的な順序のはずだ。
むしろ、真にガラス張りな制度を作りたくないがために、国民の目をごまかす目的で派閥解散だのパーティ禁止だのと騒ぎ立てているように見えなくもない。しかも、もし本当に派閥が解散されれば、政治家自身が考えている以上の影響を日本の統治構造に与える可能性すらあり、そこにはもう少し丁寧な検証が必要ではないか。
また、このまま政治資金をガラス張りにできず、他の弥縫策に終始した場合、政府から1円単位まで搾り取られて政治に怒っている国民から、自民党は完全に愛想をつかされてしまう可能性すらある。そうなった場合もまた、日本の統治構造が根本から変わる可能性がある。
政界を揺るがすパーティ裏金問題の本質は何か、なぜ本質とは関係のない話がどんどん膨らんでいるのか、それは日本の統治構造にどのような影響を与える可能性があるのかなどについて、東京大学先端科学技術研究センター教授の牧原出氏とジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
後半はこちら→so43377093
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・後半>政治資金をガラス張りにできない政治では日本の統治を担えない/牧原出氏(東京大学先端科学技術研究センター教授)
昨年末から政界を揺るがしてきた自民党の裏金問題の材料が概ね出揃ったようだ。しんぶん赤旗のスクープと上脇博之・神戸学院大学教授の独自の調査によって明らかになった政治資金パーティ収入の不記載問題は、安倍派に所属する大臣の辞任と自民党主要派閥の解散、そして最終的には現職国会議員3人の起訴にまで発展した。
一連の疑獄の発端はパーティ券収入の記載漏れだった。政治資金規正法は同一者からの20万円を超えるパーティ券収入については、収支報告書に氏名や住所、職業とともに金額を記載して提出することを義務づけている。今回は安倍派だけでも5年間で6億円以上、二階派は2億円以上、岸田派は3年間で3,000万円以上の不記載があったことが明らかになった。
また、今回はパーティ券収入の不記載に加え、記載されなかった分が裏金となって議員に還流されていたことも明らかになった。しかし、現行の政治資金規正法は裏金の不記載だけでは立件が難しい建て付けとなっている。この点を含め、今回明らかになった政治資金規正法の抜け穴については、法改正を含めしっかりとした手当が必要なことは言うまでもない。
ところが、自民党の政治刷新本部が中間取りまとめとして出してきた法と制度の改正案は、ガラス張りとはほど遠い内容になっている。行政学、日本政治史が専門の牧原出・東京大学先端科学技術研究センター教授は自民党はまだ政治の裏舞台で億単位の裏金が使われていたことに対する国民の怒りが理解できていないのではないかと訝る。
昨年10月にインボイス制度と電子帳票制度が導入されたため、多くの国民が1円単位まですべての領収書を丁寧に保管し、確定申告や決算の際に逐一計上しなければならなくなった。そうしなければ仕入れや経費分の消費税の控除が受けられなくなったからだ。これに対して政治の世界では寄付は5万円、パーティ券は20万円までは報告書に記載する義務が免除され、しかもそれが政策活動費の名目であれば、領収書を添付して目的を明示する必要がない。無論すべての政治資金は非課税だ。もともと政治家はこの資金管理に関しては、あり得ないほど優遇されてきたのだ。そこに、更に億単位の裏金が横行していたとなれば、国民の怒りを買うのも当然のことだ。
政治資金規正法が1条で謳うような政治に対する国民の不断なき監視を可能にするためには、政治資金の流れをガラス張りにするほかない。今回は現行の政治資金規正法がガラス張りとは程遠い状態にあることが明らかになった。国民の怒りを鎮めるためにはこの際、政治家に対しても一般国民と同等の報告義務を課すことが不可欠になるが、しかし肝心の政治家、とりわけ自民党はどうやらまだそれが理解できていないようだ。
政治資金を完全にガラス張りにしたくないことをごまかすためなのか、あるいはそもそも問題の本質がどこにあるのかを理解できていないからなのかは定かではないが、裏金が横行したのは派閥が悪いからだとして、岸田政権はここに来て唐突に派閥の解散を持ち出してきた。たしかに資金集めパーティも派閥を中心に行われてきたのは事実だし、派閥が資金集めや党内人事、政府人事の圧力源となってきたのも事実だ。それが企業・団体献金の抜け穴になっていたり、裏金が物を言う政治風土を醸成してきたことは間違いない。
しかし、派閥自体が完全に解散になれば、日本の統治構造まで変えることになりかねないため、注意が必要だ。今のところ茂木派と麻生派だけは派閥として残る構えを見せているが、派閥解散が一つの禊となった今、派閥を残したまま国民の怒りに抗えるかは微妙な情勢だ。仮に自民党が派閥と完全に訣別することになれば、何がどう変わるのか。そもそも1955年に自由党と民主党という2つの大きな党が大同団結して結成された自民党は、それ以来、派閥抗争を繰り返してきた。自民党の歴史が派閥抗争の歴史と言っても過言ではないほどだ。その自民党から派閥が一掃された時、自民党はこれまでのような統治能力を維持できるのか。
牧原氏は自民党がすべての派閥を解散すれば、下手をするとかつての民主党のようにばらばらになり、まとまらない党になる恐れもあるという。しかしその一方で、派閥は「政策集団」と名前を変えて、実質的には存続する可能性も高いと牧原氏は言う。いずれにしても、泣いても笑っても今年9月には自民党の総裁選があるので、そこで派閥単位で票が動くのかどうかを見極める必要があると牧原氏は言う。
そもそも今回の裏金問題は、政治資金規正法に大きな抜け穴がいくつもあり、赤旗と上脇教授がそれを乗り越えて独自の調査を行った結果、不正が明らかになった。なので、まずは何をおいても政治資金規正法の抜け穴を塞ぐことが最優先されなければおかしい。派閥を解散するよりも、政治資金パーティや企業団体献金を禁止するよりも、まずは政治資金の流れをガラス張りにすることだ。そうすることで、派閥やパーティの功罪が有権者によりはっきりと見えるようになる。パーティや企業団体献金、派閥の解散などは、資金の流れをガラス張りにした上で、どうすべきかを決めるのが常識的な順序のはずだ。
むしろ、真にガラス張りな制度を作りたくないがために、国民の目をごまかす目的で派閥解散だのパーティ禁止だのと騒ぎ立てているように見えなくもない。しかも、もし本当に派閥が解散されれば、政治家自身が考えている以上の影響を日本の統治構造に与える可能性すらあり、そこにはもう少し丁寧な検証が必要ではないか。
また、このまま政治資金をガラス張りにできず、他の弥縫策に終始した場合、政府から1円単位まで搾り取られて政治に怒っている国民から、自民党は完全に愛想をつかされてしまう可能性すらある。そうなった場合もまた、日本の統治構造が根本から変わる可能性がある。
政界を揺るがすパーティ裏金問題の本質は何か、なぜ本質とは関係のない話がどんどん膨らんでいるのか、それは日本の統治構造にどのような影響を与える可能性があるのかなどについて、東京大学先端科学技術研究センター教授の牧原出氏とジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
前半はこちら→so43377604
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
【2023年12月の会見】裏金問題で揺れる岸田政権に真紀子節をお見舞いする田中真紀子
にゃんちっちさんのポストより引用
東京都目白の旧田中角栄邸が火事
先月、田中真紀子が
裏金疑惑で揺れる政権に“真紀子節”を
久しぶりに見せてくれたばかりでの
この事件...
何かあるとしかおもえないのは
わたしだけ?
https://t.co/YdqB9e1vDL
https://twitter.com/bindu_musica45/status/1744301915637497869?t=Rg6NZPjp03jHJm3kLok4IA&s=19
東京都目白の旧田中角栄邸が火事
現在(1/8当時)、消火活動中
東京都文京区目白の旧 #田中角栄 邸で #火事。日本時間16時現在、ポンプ車19台が出動し、消火活動中
動画のソースはSNS
https://t.co/YIGy28icr0
機窓から見た旧田中角栄邸の火事、相当遠くまで煙がたなびいていました
https://t.co/FhCLQd7zpC
火災に田中真紀子氏 線香消し忘れ
旧田中角栄邸で火災 真紀子氏「線香消し忘れ」夫婦とも無事 目白台
news.yahoo.co.jp/pickup/6487572
ろうそくならともかく
「線香の消し忘れで火事」なんて聞いたことないな
そもそも消すものじゃないと思うし…
浄土真宗の場合、線香は折って寝かせるし…
https://twitter.com/mizunokotom/status/1744499625011343757?t=ecP_pe0vpmFyyf_H1mHCcg&s=19
田中眞紀子
田中角栄
線香
全焼
火災
放火
自民党
議員報酬
国会
裏金問題
官房機密費
税金
文通費
税金の無駄使い
お土産代
役職手当
裏金
献金
パーティー券
政治資金収支報告書
政治資金規正法
政治資金規正法違反
1ヶ月200万円以上何に使うの?
さらに不正政治資金パーティー
さらに献金裏金
【安藤裕】異例の国会スタート~実のある議論にするための野党への提言[桜R6/1/30]
国を想う国会議員達が、国会中継だけでは伝えられない政治の動きを、ビデオレターで国民の皆様にお伝えするシリーズ。今回は、施政方針演説に先んじて集中審議から始まった、異例の国会に向けての提言をしていただきます。
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【教えて!ワタナベさん】派閥のパーティー券問題と、派閥がこれからどうなるのか?[R6/1/27]
5分間ニュースクッキングとは?
今注目の作家・渡邉哲也氏が、世間を賑わす話題のニュースの本質やポイントを5分で分かり易く解説!
出演:渡邉哲也(経済評論家)
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【断舌一歩手前】政党に派閥は在って当然、なければ独裁政党だ[桜R6/1/23]
今回は、大衆迎合が聡過ぎて、却ってファッショに陥っている岸田総理の「派閥解体論」の安直さを批判していきます。
出演:三輪和雄(日本世論の会会長)
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【安藤裕】ヘソで風呂を沸かす議論~菅グループの派閥批判と政治資金規正法改正[桜R6/1/23]
国を想う国会議員達が、国会中継だけでは伝えられない政治の動きを、ビデオレターで国民の皆様にお伝えするシリーズ。今回は、岸田総理が先陣を切り、菅元総理が尻馬に乗った、自民党内の派閥解体論について批判していただきます。
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【R5/12/29】視聴者の皆さま、今年一年ありがとうございましたm(__)m/令和5年を振り返って・・・天下の悪法LGBT法成立、自民党女性局パリ研修旅行、岸田総理暗●未遂事件等々
☆YouTubeの元動画 https://www.youtube.com/watch?v=AGcFsg-ntKs&t=0s
<ニュース・コメンタリー>裏金もさることながら表金こそが問題だ パーティ裏金疑惑で抜け落ちている重要な視点
現職議員に対する強制捜査にまで発展している自民党派閥のパーティ券裏金問題。政治資金規正法に違反して支出や収入を収支報告書に記載しないことで資金を裏金化することはもちろん大きな問題だが、世の中の目が検察の捜査に注がれる中、いくつか重要な論点が抜け落ちているのが気になる。
それは、現行の政治資金規正法では裏金もさることながら「表金」にも重大な問題があるということだ。
忘れてはならないことは、今回は政治資金収支報告書の不記載や虚偽記載が問題になっているが、そもそもパーティ券の販売でどれだけの寄付を集めようが、またその一部を政治家に還流させる、いわゆるキックバックを行おうが、その金額を収支報告書に記載さえすれば、現行法の下では何の問題もなかったということだ。
パーティ券収入というのは、早い話が企業・団体献金の抜け穴だ。20万円以上の寄付者については収支報告書への記載義務があり、1つの団体から1回のパーティあたり150万円までしか集められないという上限はあるが、これは早い話が1つ1つのコップには150万円という制限があるが、コップはいくつあっても構わないという制度なのだ。100社から150万円ずつ集めれば1億5,000万円の寄付を合法的に集められることになる。
そもそも現行の政治資金規正法が改正された時、政治家個人への企業・団体献金は禁止することが決まっていた。これはロッキード、リクルート、佐川急便、日歯連事件等々、過去の贈収賄事件がいずれも企業が有力政治家に資金を提供し、その影響力によって利益を得ようとしたものだったことへの反省の上に立っている。そして、企業・団体献金と引き換えに国民1人あたり250円、総額で300億円あまりの政党交付金が議席数に応じて毎年、各政党に支出されている。そもそも企業・団体献金はなくなっていたはずなのだ。
しかし、政治家個人への企業・団体献金は禁止されたものの、5年という待機期間が設けられたことで政治改革熱のほとぼりが冷め、政党と政党の資金団体に対する企業・団体献金は禁止されなかった。そして、パーティ券の販売という企業・団体献金の抜け穴まで作られた結果、企業・団体から政党や派閥に寄せられた寄付が合法的に政治家個人に還流されることが可能となってしまった。政党や派閥から政治家個人への寄付には事実上何の制限もないからだ。
企業・団体献金が罪深いのは、企業・団体は何のメリットもないのに政治に多額の寄付を行うわけがないため、そこには何らかの便宜供与というリターンが伴うことが前提にあるということだ。そして、その便宜供与のために日本の経済政策や産業政策が歪められることで、単に市場での競争が阻害されるだけでなく、日本の産業構造の改革が難しくなってしまう。実際に、競争力を失い市場で競争できなくなった企業や、本来は正当化できない利権を握っている団体ほど、政治の庇護を必要とすることは想像に難くないだろう。
1990年代の中庸まで日本は、国民1人あたりのGDPで世界でトップの座に君臨するなど、文字通り経済大国だった。しかし、その後、人口ボーナスの解消と呼応するかのように日本は経済力を失い、今や1人あたりGDPを始めとするあらゆる経済指標で先進国の最下位グループに沈んでいる。それもそのはずで日本は産業構造改革に根本的に失敗しているからだ。現在の日本の時価総額トップ10企業はいずれも高度成長期以前に創業された企業ばかりで、トップにGAFAMやテスラなどの新興企業がひしめき合うアメリカとは明らかな対照を成している。
検察にはぜひ裏金をしっかりと取り締まるようお願いしたいが、市民は特捜の捜査の推移を見守りつつも、この際、表金問題をきちんと制御するよう政治資金規正法やその他の法律や制度を整備するよう、政府をしっかりと監視する必要があるだろう。
また、もう1つ、現在の事件報道から抜け落ちている重要な視点が、われわれは検察のリークをあまりにも鵜呑みにしすぎてはいないかという点だ。中曽根、竹下元首相に安倍晋太郎、宮澤喜一、森喜朗など当時の大物政治家が新規で上場され値上がりが確実だとされたリクルートコスモス社株を大量に割り当てられていたリクルート事件は、大山鳴動よろしく大騒ぎした挙げ句、逮捕された政治家は藤波孝生元官房長官と公明党の池田克也衆院議員の2人だけだった。事件で名前があがったそれ以外の政治家はいずれも
検察のリークを記者クラブメディアが垂れ流したものだった。
ビデオニュース・ドットコムで毎週お送りしている「マル激トーク・オン・ディマンド」では、社会学者の宮台真司とジャーナリストの神保哲生が毎回のように、マックス・ウェーバーが説く政治と官僚のハルマゲドン(最終戦争)について言及している。その趣旨は民主政は、市民から選挙で選ばれた政治家が政府、つまり官僚をしっかりとコントロールすることによってのみ正常に機能するというもの。官僚は有権者から投票で選ばれたわけでなく、しかも常に予算の獲得と人事が最大の関心事である「現状維持の権化」であるため、必ずしも市民に沿った行動は取らないし、下手をすると暴走する危険性も内包している。しかし、選挙で選ばれた政治家が市民益を代表し、巨大な官僚機構を制御することで、市民の望む政府が実現するという考え方だ。そして、それが故に政治と官僚は絶えず両者の間で熾烈な権力闘争を繰り広げる宿命にある。
政治は選挙があるので市民の統制を受け、政治家が作る法律や制度に縛られる行政は政治家に弱い。その三つ巴の関係が民主政の適正なチェック・アンド・バランスを生む。
しかし、政治に対して行政が圧倒的に強くなればなるほど、政治は市民益から遠ざかる。昨今、日本の国会で審議され成立している法律のほとんどは閣法、つまり行政が作った法案であり、議員立法ではない。そもそも今の政治制度の下では、政治に独自の法案を作成する能力は皆無に等しい。日本の政治にはそれだけの資金もなければリソースもない。今日の日本のような行政が政治を事実上支配し、政治はそのうわ水の利益配分にあやかるくらいしか関われない現状が続く限り、決して市民に優しい政治は実現しない。そして記者クラブを通じて行政と一体化しているマスメディアが報道の大元を独占している限り、市民は行政の専横によってどれだけ市民益が損なわれているかを知ること自体が難しい。
違法行為は現に取り締まられなければならないし、裏金など言語道断であることは言うまでもない。しかし、それと同時に今回のパーティ裏金問題は、そもそも表で企業献金が放置され日本の経済・産業政策が歪められている実態や、政治と官僚の力関係という民主政における根本的な問題に目を向ける好機を与えてくれている。
そもそも政治資金規正法は第1条と第2条で、政治に対する寄付自体は制限されるべきものではなく、あくまでその実態を国民の不断の監視の下に置くことを目的としていることがはっきりと書かれている。検察のリークとそれを垂れ流す記者クラブメディアの報道に踊らされることなく、この際、市民一人ひとりがそもそも日本の政治にはどのような役割を望んでいるのか、日本の政治はどうあるべきなのか、政府の操縦桿を霞ヶ関の官僚に任せっきりで本当にいいのかなど、民主政のあり方を根本から再考すべき時が来ているのではないだろうか。
ジャーナリストの神保哲生がパーティ券裏金問題報道で抜け落ちている重要な視点についてコメントした。
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【R5/12/21】自民党長老・小泉純一郎氏&亀井静香&山崎拓氏「ポスト岸田は石破、進次郎、上川陽子だ」/武蔵野市長選、外国人投票権反対派候補が当選!!
☆YouTubeの元動画 https://www.youtube.com/watch?v=vRjTmuP06n4&t=0s
【安藤裕】メガトン級の経済失政を犯した2023年、納税者がそれを実感するのは年明け年度末に...[桜R5/12/26]
国を想う国会議員達が、国会中継だけでは伝えられない政治の動きを、ビデオレターで国民の皆様にお伝えするシリーズ。今回は、令和5年最後のビデオレターとして、2023年を政治・経済面から総括していただきます。
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『おかしな話が、不起訴の連続なんですよ!』東京地検特捜部は何を?
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『本丸は緊急事態条項』パー券不正の真の目的!23/12/20《免許皆伝》
皆さん、パー券不正に踊らされてる場合じゃないですよ。
清和会など会計担当を逮捕して、議員は無罪放免。
議員の対象者が広範囲すぎます。
緊急事態条項をやらせるための脅しのネタです。
ちょうど良い感じに広範囲に脅せます。
政経電論TV 佐藤尊徳さん
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【安藤裕】賃上げ促進税制は格差拡大税制?インボイスと合わせ経団連の狙い通りに[桜R5/12/19]
国を想う国会議員達が、国会中継だけでは伝えられない政治の動きを、ビデオレターで国民の皆様にお伝えするシリーズ。今回は、強制捜査でますます募る政治不信と、民営化と大企業優遇が過ぎる、新自由主義的経済政策への批判を行っていただきます。
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