「眼球うらがへる病」 (寺山修司 『新・餓鬼草紙』より)

「眼球うらがへる病」 (寺山修司 『新・餓鬼草紙』より)

(『ロック画報 07』より)ある女、まなこ裏がへりて、外のこと見えずなりたり…/とはじまるこの曲も、「母恋餓鬼」とともに「寺山修司特集」の詩朗読上演のために作曲されたものである。可笑しくも笑えない、東北の冬の日溜まりのある庭先でふと脳裏を掠めた悪戯邪鬼の口笛を聞いたような、のだかだが残酷な、ある女の何とも摩訶不思議な一生詩だ。/女、かなしめども癒えず、剃刀もて眼球をゑぐり出し、もとのように表がへさむとすれど、眼球に表なし。耐へがたきまま表なしの眼球を畑に埋めたり/…この曲も森君のいいようのないギターの旋律が、詩にさらなる効果を加えており、聞き入るほどの曲であったが、「母恋餓鬼」同様、捜査願いの行方不明曲である。この曲も1996年に打ち込み録音されたものである。

http://www.nicovideo.jp/watch/nm5747805