【ただのレラさん】リンク【オリジナル】

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 承諾したはいいが彼らを思うとあまり気の進む話ではなかった。緯度の低いこの街は秋だというのにまだ微温い風を纏っている。スポットライトに当たり続けていると尚更だろうそれでも僕らが使命に似た感覚を持って旅をすることに時折疑問を感じてしまう。 誰かの為というのは偽善だろうきっと彼らへの言い訳でしかない。彼らの信頼もまた同じだろう。生きていく理由を探す哲学者のような螺旋に、そうしてまた。嵌る。 アンコールの拍手が鳴り響く。最初から決まっていた最後の曲をボクは指揮する。ふと最前列の少女と眼が合った。それは父の背中を見る幼い自分だった。 理由なんかない。そこにあるのただ、ボクがタクトを振っているということ。慰。そしてまた懲りもせずボクは明日を繰り返している。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm15922585