福島第一原発の凍土壁 汚染水への効果“限定的” 維持費などに年十数億円

福島第一原発の凍土壁 汚染水への効果“限定的” 維持費などに年十数億円

東京電力は3月1日、福島第1原子力発電所の建屋を取り囲むように地下に築いた氷の壁「凍土壁」による高濃度汚染水の発生量の低減効果が1日95トンだと発表した。汚染水増加を抑える切り札として造ったものの、巨額の国費を投入した割には遮水効果は限定的だった。福島第1では廃炉に向けた様々な作業が予定される。費用対効果を問われるケースが相次ぐ可能性がある。凍土壁は地下水が1~4号機の原子炉建屋に流れ込んで汚染水が増えるのを抑える対策だ。汚染水は浄化処理が必要で、処理しても取り切れない放射性物質もある。発生を抑えることが重要だ。 そこで対策の切り札として2013年に凍土壁建設を決めた。建屋の周囲1.5キロメートルに1568本の凍結管を埋め地下を凍らせる。16年3月に凍結を始め17年11月におおむね凍結を終えた。建設に345億円を投じた。 東電は、凍結前は1日あたり約490トンだった汚染水発生量が、18年2月末までの3カ月平均で約110トンに減ったと説明した。減少分は380トンで、95トンの凍土壁の効果は約4分の1との見方もできるが、東電は「前提条件が異なり単純に比較できない」と話している。より詳しい解析結果を来週にも示す方針だ。1日記者会見した東電の増田尚宏・福島第1廃炉推進カンパニー最高責任者は「凍土壁は機能している。減少分の汚染水をためるタンクが不要になるなどお金に換算すれば大きな額になる」と強調した。 これに対し京都大学の嘉門雅史名誉教授は「(凍土壁が)投じた費用分の貢献をしているとは思えない」と指摘する。原子力規制委員会も凍土壁の効果に疑問を投げかけていた。 むしろ別の汚染水対策の方が効果が出ている。建屋の周辺で地下水をくみ上げる井戸「サブドレン」などだ。凍土壁は維持費などに年十数億円がかかるとされる。東電は凍土壁を汚染水対策に必要な期間が終わるまで運用する予定で、今後も負担が続く。 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27585220R00C18A3CR8000/

http://www.nicovideo.jp/watch/sm32819999