J.C.F.フィッシャー:アリアドネ・ムジカ(音楽のアリアドネ)

J.C.F.フィッシャー:アリアドネ・ムジカ(音楽のアリアドネ)

Youtubeからの転載です( https://www.youtube.com/watch?v=MYgJFQZU264 )。ドイツにおいてザクセン=ラウエンブルク公国やバーデンの宮廷楽長を歴任したバロック音楽の作曲家ヨハン・カスパール・フェルディナント・フィッシャー(1656 - 1746)は、1702年にオルガン曲集「アリアドネ・ムジカ(音楽のアリアドネ)」を出版しました。この作品は20の異なる調性に基づいた前奏曲とフーガ(長調11曲、短調9曲)で構成されています。題名の由来は、ギリシャ神話ミノタウロスの迷宮に閉じ込められた英雄テセウスを救出したアリアドネーにちなんだもので、様々な調性による曲集を「音楽によって作られた迷宮」に見立てた、といわれています。バロック音楽の全盛期であった17世紀末~18世紀初頭には「全ての調性を網羅した小曲集」が一種の流行になっていたようですが、そういった作品の中でフィッシャーの「アリアドネ・ムジカ」は音楽史において重要な地位を占めています。それは、29歳年下のバッハが本作に触れたことが、傑作「平均律クラヴィーア曲集」を生み出すきっかけになったと推測されているからです。バッハは本作から「前奏曲とフーガ」という様式を採用したのみならず、そのうち数曲のフーガの主題を「平均律」のフーガに引用した(第5番→第1巻第16番、第8番→第2巻第9番、第10番→第1巻第11番など)と考えられています。後に「平均律」から着想を得た多くの作曲家が「24の前奏曲」を作曲していることを考えると、これら「全調性を網羅した前奏曲」という構成の大元が「アリアドネ・ムジカ」に由来するともいえ、後世に極めて大きな影響を及ぼした始祖的作品であることは間違いありません。ヴォルフガング・バウムグラッツ(オルガン)

http://www.nicovideo.jp/watch/sm34711305