世界初 ブラックホールの輪郭撮影に成功

世界初 ブラックホールの輪郭撮影に成功

2019年4月10日 0:20極めて強い重力で光も吸い込む天体、ブラックホールの輪郭を撮影することに世界で初めて成功したと日本などの国際研究グループが発表し、画像を公開しました。世界各地の電波望遠鏡をつないで地球サイズの巨大な望遠鏡を構築したことによる成果で、ブラックホールの存在を直接示すものだとして世界的に注目されています。これは、日米欧などでつくる研究グループが世界6か所で同時に会見し明らかにしました。撮影したのは、地球から5500万光年離れたおとめ座の「M87」と呼ばれる銀河の中心にあるブラックホールです。ブラックホールは極めて強い重力で光や電波も吸い込み直接見ることができないため、研究グループはブラックホール周辺のガスやチリが出す電波を観測しました。観測は南米チリにあるアルマ望遠鏡など世界6か所の電波望遠鏡をつなぐことで、口径がおよそ1万キロという地球サイズの巨大な望遠鏡を構築し、人間の目のおよそ300万倍というこれまでにない解像度を実現して行われました。そして得られたデータをもとに画像化した結果、世界で初めて「ブラックホールの影」と呼ばれる黒い輪郭をとらえることに成功したとして画像を公開しました。研究グループによりますと、ブラックホールの周囲のガスやちりなどが出す強い電波が赤や白のドーナツ状の輪として示され、その内側には重力の影響で電波が観測できない「ブラックホールの影」が黒い穴のように見えています。この画像から「ブラックホールの影」は直径がおよそ1000億キロメートルと太陽系がすっぽりと入る大きさでブラックホールの質量は太陽のおよそ65億倍に達する超巨大なものだとわかったということです。ブラックホールは宇宙に多く存在するとされますが地球から遠いことなどから、これまでは強い重力の影響を受けたほかの天体の動きなどをもとに、存在する場所を推定したり、想像図を描いたりすることしかできませんでした。研究グループでは今回の画像は、ブラックホールが存在することを直接示す成果だとしていて、ブラックホールを直接観測する道が開かれたことで銀河や宇宙の成り立ちに深く関わるブラックホールの謎の解明が進むと期待されています。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm34948880