夕日/miki、flower

夕日/miki、flower

終わってみれば3年間なんてあっという間だ。ちょっと前に、あいつからCDを借りた。嫌がりながらも、なんだかにやけていたのが気持ち悪かったが、それもそうだろう。中身はあいつの歌だ。3曲入っていたけれど、よくわからなかったから一周しか聞いてない。冬も本番に差し掛かり、毎度のことだがあれだけ嫌がっていた夏を私は惜しんでいる。「リミックスだ。」そう言って渡してきたCD。中身は以前借りたCDと一緒らしい。しかし、”りみっくす”してあるという。絶対意味は理解していない。バカだから。「まあ、バージョンアップしてんのよ」そう言って戻っていったあいつの背中を見て私は、なぜ私に渡してきたのだろうという詮索は野暮だと結論付けた。もうみんなそれぞれの扉の前に立っていて、あとは開けるタイミングを待っている状態なのだ。なんてどこかに書いてあったようなことを思っていた。今日でバイトも辞める。もう絶対会うことはないというか、もう覚えていられない人がいるということが悲しかったが、退勤のタイムカードの音は事務的でとても大人っぽく思えた。次の日、借りていたCDを渡そうと声を掛けたら、「どうだった!?」・・・遮られた。なんか聞きやすくなったと答えると「だろ?」と笑っている。「CDはやるよ。邪魔かもだけどな」そう言って彼は歩いて行った。冬の太陽は足が速く、放課後には虹がかかったような夕暮れになっている。あいつは悲観主義者なのだ。しかし、終わりは来ることも確かなのだ。だけど、卒業まではまだ、ほんの少しだけど時間は残っている。幼稚なタイトルが書かれたCDを見ながらそんなことを考えていた。あいつが作った他の曲「ダンスミュージックは現代のブルース」 https://nico.ms/sm37362348

http://www.nicovideo.jp/watch/sm35969511