羊の夢と桜の意志005

羊の夢と桜の意志005

まず最初に謝らなければならない。当時はVTuberについての理解が浅く、ファンとアンチと運営という、実にわかりやすい構図で話を進めてしまいました。実際にはもうひとり「お客様」という集団を定義してやる必要がある。「お客様」とは、極端な話、自分のためにしか行動しない迷惑な生き物のことである。自分が幸せになるためなら「ファン」にも「アンチ」にもなるそういう集団のことである。この三者にVTuberを追いかけることによって発生する幸せな時間がどのくらいあるか考えてみよう。一番幸せになれないのは「アンチ」である。VTuberを不幸にするためにどれほど苦労しているか考えれば当たり前である。次に幸せになれないのは「ファン」である。推しのVTuberがなかなか幸せにならないのは苦痛でしかないだろう。だから一番幸せなのは「お客様」であり、ほとんどの人間がこれに属するのである。「お客様」は、常に勝者である。自分が幸せになるためにVTuberの配信を見ているのだから、見ているVTuberが駄目になったらさっさと切り捨てて次へ行けばいいのである。勢いがあるVTuberの配信では「ファン」とともに騒ぎ、問題を起こしたVTuberには「アンチ」とともに叩く。だから敗北はありえないのである。これだけ見れば「お客様」は敵にも味方にもなりうる存在のように思えてくるだろうが、実際のところ敵でしかない。確かに数字を盛るには「お客様」の存在は必要不可欠なのだが、数字が増えて喜ぶのは「お客様」だけである。「ファン」は数字が増えて推しのVTuberが喜んでいることに喜ぶことはあるかもしれないが、「お客様」にとっては数字そのものが喜びでり、数字さえ伸びればVTuberがどうなろうが知ったことではないのである。そして「お客様」は「アンチ」の敵であることは間違いない。「アンチ」がアイドル部を仕留めきれなかったのも「お客様」が好き勝手やったせいである。もし、「アンチ」が「お客様」と一緒に夜桜たまに集中攻撃できていたらたまちゃんは二度とV界に戻ってこなかっただろう。アイドル部総出のお気持ち表明に「お客様」はまんまと食いつき、アイドル部が致命傷で済んだばかりか、もっとも倒しにくいたまちゃんは、ほぼノーダメージで逃してしまったのである。よって、「お客様」は自分が幸せになることしか考えていないので、美味しい話があるとすぐに食いついてしまう。だから「マスコミ」がアイドル部を見捨てなかったのは不幸中の幸いだったと言える。何千年も馬鹿を相手に情報だけで戦っているのだから「お客様」の扱いも十分心得ているというわけである。だから、今後アイドル部が持ち直すことがあるのであれば「お客様」は断固拒否しなければならない。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm36718075