Video 291 李登輝元台湾総統「新・台湾の主張」より ●ネズミより肝っ玉が小さかった当時の日本外交 ●ブレる権力者を正しい方向に戻すのは議会 ●政治的指導者には信仰が必要である

Video 291  李登輝元台湾総統「新・台湾の主張」より ●ネズミより肝っ玉が小さかった当時の日本外交 ●ブレる権力者を正しい方向に戻すのは議会 ●政治的指導者には信仰が必要である

1999年に発行された現役総統時代の李登輝氏が著した「台湾の主張」に続いて、2015年に「新・台湾の主張」が出版された。2015年というと、著者の李登輝氏は既に92歳である。多くの人のサポートがあって本ができたのだろうが、ここまでエネルギッシュな知識人はそういないと思う。私も50年後、死んでなければこんなオジイチャンになりたいものだ。 李登輝氏が総統を退任した2000年から2008年まで、反中国の陳水扁氏が総統だったが、腐敗が続き彼の所属する民進党は選挙に負け、国民党に政権交代することになる。その後2016年まで台湾は親中派の国民党政権が総統・議会をコントロールしていたが故に、中国大陸との友好関係が殊更目立った時期だった。しかし、台湾の有権者の間ではこのままでは中国に飲み込まれるのではないか、という不安が日に日に増大していく。中台間の経済強化を目論んだ「サービス貿易協定」に怒った学生達が台湾の国会議事堂を占拠したのが2014年3月。私もその当時台湾に住んでいたのであり、そんな政治状況の中で書かれた本なのだ。 私が今李登輝氏の著書をもう一度読み返してみようと思った理由は、自分が市議会議員になったのもあるのだが、李登輝氏の語る言葉に何か哲学的なもの、キリスト教を土台とした信仰に支えられているものがあると感じるからだ。優秀な政治家には能力や利害関係を超越した、何か「目に見えないもの」を重視する力が必要であると、李登輝氏は指摘する。彼自身キリスト教プロテスタントであり、自由・民主という価値観と弱者救済を何よりも重視している政治家である。能力や利害関係といった「目に見えるもの」しか信じない物質主義的な政治家は、「経済的利益のために中国の言うことを聞いておこう」「ここは権力を持っているあの人に気に入られる必要があるので、迎合しておこう」という考えを持つにいたる。しかし、そのような姿勢では民衆のために大きな改革を断行することはできないのである。 李登輝氏は「指導者は常に信仰を持たねばならない。強い信仰がなければ、あらゆる問題に恐れをなし、それを突破することに対して躊躇する。指導者の信念を支える原動力は信仰に他ならない」と言い切る。(p162)私も一応キリスト教徒で毎週教会に通ってはいるが、今自分の信仰も問われていると思う。李登輝氏が言うように、民主社会の指導者は、権力や特定の個人に囚われてはならず、悪質な金権政治の芽を摘み取っていかなければならないのだ。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm37109631