【聖戦の系譜】#18琴葉姉妹が聖戦に巻き込まれるようです。【ファイアーエムブレム】

【聖戦の系譜】#18琴葉姉妹が聖戦に巻き込まれるようです。【ファイアーエムブレム】

sm37646651   mylist/68640421  次 sm37675786   琴葉葵は夜のセイレーン城に響く旋律に目を覚ました。どこからか聞こえる弦楽器の物悲しい音色は不思議なほど夜に馴染み、まるで最初からそこにあったようにすら感じる。葵がベッドの上で体を起こすとつられるように茜も起き上がった。窓から差し込む月明りに照らされた廊下は深夜だというのに蝋燭がいらないほどに明るい。二人は誘われるように音のする方へ歩き出した。「悪い、起こしてしまったか」ギターにもハープにも見える楽器を演奏する手を止めてレヴィンは謝った。昼間は城下町を見渡せるバルコニーからは今は満天の星々が望めた。葵は月光にまぶしそうに目を細めるレヴィンに言った。「文句を言いに来たんじゃなくて逆です。もっと近くで聞きたくてここまで。ね、おねーちゃん」「せやな。さすが王子ほっぽり出して音楽で食っていこうとしてただけあるで。一曲聞きたいなー? おひねりは出んけど」そう言うとレヴィンは一瞬驚いた顔をしてから苦笑した。「ははっ、誉め言葉として受け取っておくぜ。美人姉妹にそうせがまれちゃおれだってやる気になるさ」レヴィンは楽器のペグを回しチューニングをする。「レヴィン王子って好きな人いるんですか」何気なく放たれたその一言にレヴィンは硬直し茜はすごい勢いで首だけ回して葵を見た。「フュリーさんもシルヴィアさんもきっとレヴィン王子のことが好きですよ。それにたぶんマーニャさんも」葵の言葉にレヴィンは手すりにもたれて空を仰ぎ見た。視界の端で茜が安堵のため息をついていた。「おれだってわかってるさ。いつまでもこうしていられないことくらい」レヴィン王子は優しい人だ。優しすぎて誰も傷つけたくなくて国を出たのだ。だから恋人を決めるのもつらいのだろう。誰かを選ぶことは誰かを選ばないことだからだ。レヴィンは返事の代わりに弦を弾いた。それはシレジアの星空のように美しく、降り積もる雪のように切ない音色だった。この姉妹は恋バナで夜更かししたりしないので忘れてください。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm37662661