【小酒井不木 傑作選】ジェンナー伝

【小酒井不木 傑作選】ジェンナー伝

いまからおよそ百五十年前のことです。英国南部のバスという市まちで、ある夜盛大せいだいな晩餐会が開かれました。集まったものは、政治家、実業家、医師、軍人など数十人、いわゆるそのまちおよびその付近で、名をあげている人ばかりでありました。当時まだ電燈は発明されておりませんでしたから、いく本かの美しい装飾をほどこした銀色の燭台しょくだいが、テーブルの上に立て並べられ、こうこうたる光のもとにいとも静粛に、食事がすまされました。食後人々はテーブルをかこんだまま、紅茶こうちゃをすすりながら、いろいろの話にふけりました。と、いつのまにか、すみの方で議論めいた口調で話すものがありましたので、一同は、言いあわせたように、口をつぐんで、その議論に耳を傾かたむけました。「無論、私わたくしは炎ほのおの中の方が熱いと思います」とひとりの紳士しんしがいいました。「そうじゃありませんよ。やっぱり炎を少しはなれたところの方がかえって熱いですよ」と、他の紳士が反対しました……★文字起こし:  http://urban-legend.tsuvasa.com/fuboku-jenner

http://www.nicovideo.jp/watch/sm38040976