引き続き第九の第3楽章をお送りします。誰の言葉か忘れましたが、「もしベートーヴェンが、生涯の間に、この第九の第3楽章1曲だけしか作曲しなかったとしても、彼の名は音楽史上に燦然と輝いたであろう」という言葉があります。それほどこの楽章は美しく、人々の心に訴えかけるものがあります。ところで、ベートーヴェンはアイディアマンで、色々と聴衆を飽きさせない工夫をしています。特に曲の出だしは工夫をしていて、第九も4つの楽章すべて「意表を突く」出だしです。この第3楽章の始めも、ファゴットとクラリネットが神秘的なハーモニーを奏でます。また楽器の特徴を生かす工夫も随所に見られ、中間部の第4ホルンのソロの部分は見事です。ではごゆっくりとお楽しみください。