ウ”ェ”イ”

ウ”ェ”イ”

「ヴェイは下唇を噛み弾く様にして発音します。正面と横方から私が発音するのをよく見ておいてください。」西野修羅龍(ニシノジュラル)は侵略作戦初日ということで張り切っていたが、いきなり出鼻を挫かれてしまった。最前列で堂々とリンゴを剥いている全裸の生徒がいて注意をしようとしたがそれ以上に目を引く生徒がいた。後方窓際に座るチャージマンは左で頬杖をつき徐にグランドで行われている体育のアメリカンフットボールに夢中になっている。また、右手でアルファガンを回転させ足を組んで左足のみでレコードを流している。「えーと泉研くん、君はそんなに私の授業が退屈かね?」研はこちらを一切見ずに答えた。「先生の授業は退屈ですよ。ヴェイの発音なんて何でいろんな角度から見る必要があるんですか。」西野は人間相手に怒りを覚えてしまったことを非常に情けなく思った。個性を重んじる作戦、一人一人が自分らしさを発揮できるようなジュラル星人になりたいという自信のジュラル星人としての野望は、実は薄っぺらい理想のような気がしてしまった。しかし、まだジュラルの卵であるので態度に出さないようにすれば、後にこの様な人間に対しても本気でそれが個性であると思えるようになれば、私はまだジュラル星人としてあり続けられるだろう、そのように考えなるべく優しく諭すように言った。「そんなに気になるのなら窓からでもチャージングGOして参加してきなさい。」少し嫌味を含んだ言い方になってしまったことを後ろめたく思う暇もなく、研は動いた。「さよならー。」その瞬間、本当に100億階の窓から飛び降りてしまった。何が起きたのか理解できず、慌てて窓の外を見た。尺が余ったかのような静けさに違和感を感じたが、中指を突き立て元気にジュラル星人を虐殺していく様子に全てがどうでもよくなった。「それでは正面から私がヴェイを発音するのをよく見ておいてください。」自身の内なるタイガー・Mが呼び起こされているのを感じながら、どこぞの大胸筋サポーターのように、どう猛なサンダナパレス・アグリアスのように、そしてキチガイのような形相で勢いよくのどを鳴らした。「VEY!!」過去動画→ mylist/64565985

http://www.nicovideo.jp/watch/sm38516654