シューベルト 交響曲第8番 ハ長調「グレート」第2楽章 Symphony No.8 by F. Schubert "The Great Symphony" 2nd Movement

シューベルト 交響曲第8番 ハ長調「グレート」第2楽章 Symphony No.8 by F. Schubert

シューベルトの交響曲第8番ハ長調「通称:ザ・グレート」の第2楽章をお送りします。この曲は、以前は第7番、あるいは第9番などと呼ばれて混乱していますが、現在では第8番と呼ばれることが多いようです。世界的に、その長大さから「The Great Symphony」という愛称で親しまれています。要するにベートーヴェンと違って、シューベルトは自分の交響曲に番号をつけて出版するということがなかったうえ、有名な「未完成交響曲」のように未完成の曲も多かったので、何番目の交響曲かということはあまり問題になりません。それよりなにより、この曲はシューベルトが全身全霊をかけて創った最後の大作であるにもかかわらず、その楽譜は、いったんウィーン学友協会に提出されたものの、一回も演奏されなかったと思われています。こんなに美しい名曲をシューベルト自身は一回も聴くこともなく世を去ったとは!その楽譜はシューベルトの死後、お兄さんの机の引き出しに眠っていて忘れ去られましたが、シューベルトの死後10年以上たって、シューマンがお兄さんのところを訪れた際に「発見」され、メンデルスゾーンの式で初めて音になりました。さて、シューベルトは「歌曲王」として知られていて、この曲のような大オーケストラの長大な作品はあまりシューベルトらしくないと思われがちです。しかしシューベルトがこの曲にかける意気込みは並々ならぬものがあります。この曲が作曲されたとおもわれる1825年は、ちょうどベートーヴェンの「第九」が初演された後で、シューベルトも「第九」を聴いて感動し、みずからもそのような大交響曲を書くことを決意したと思われます。実際この交響曲の第4楽章には、「第九」の歓喜の歌そっくりのメロディーが出てきます。しかし、結果として出来上がった曲は「第九」とは似ても似つかぬシューベルトそのものの曲になりました。この曲の魅力を一言でいうと、「メロディーと和声の美しさ」に尽きると思います。とりわけこの第2楽章はシューベルト独特の転調や和声の「隠し味」は、まさに「天国的な美しさ」といってよいでしょう。中間部はさらに精緻な美しさを持っており、オーボエとクラリネットのソロは涙なしには聴くことができません。もう一つオーケストレーションに関してこの曲の特徴は、「トロンボーン」の効果的な使用にあります。トロンボーンというと大音量のところに使われると思われがちですが、シューベルトはピアノの部分にもトロンボーンを極めて効果的に使っています。そのあたりの美しさが、このMusescoreで再現できたでしょうか?

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