フクキタマイム

フクキタマイム

フクキタルと共に駆け抜けた3年間が終わり、トレーナーはフクキタルと共に、彼女の実家に来ていた。彼女の両親への挨拶が終わると、案内したい場所があるとフクキタルに連れられて近くの公園に来た。トレセン学園の設備にはさすがに劣るが、ウマ娘用の芝コースがある大きな公園だ。「お姉ちゃんはよくここで走っていたんです」いつになく、しんみりした様子でフクキタルは話し始める。「有馬記念で勝ったことは嬉しいです。でも、思うんです。それはお姉ちゃんを超えた証明にならないって」フクキタルは内ラチに手を置いて、ぽつりと呟く。「お姉ちゃんなら、私よりもっと速くなれたんじゃないかって」トレーナーがそれを否定しようとしたとき、フクキタルは顔を上げ、コースの10バ身先を見て目を見開いた。そこには、無から湧いて出たように、一人のウマ娘が立っていた。二人に背中を向けて、走り出す。フクキタルは固まったように動かない。追え!追うんだ!トレーナーが本能で叫ぶと、フクキタルは我に返り、遠ざかる背中に向かって走り出す。速い。この3年間で数々のレースに勝ったフクキタルでさえ、なかなか距離を詰められない。それでも、それでもフクキタルはコーナーで徐々に距離を詰めていく。第二コーナーを過ぎた時の差は、3バ身。直線はほぼ互角。最終コーナーにもつれ込む。フクキタルの持ち味である、刺し穿つような加速でさらに距離は縮まる。2.5バ身……2バ身……1バ身。その時、フクキタルは相手の走り方に見覚えがあるのを感じた。あまりにも遠い憧憬。かつて理想に抱いたあのフォーム。鋭い刃物のような加速、色のついた風の速さ。幼き頃の決して超えられぬ壁が、目の前にある。最終直線。ハロン棒が残像を描く。ラストスパート。フクキタルの豪脚が芝をえぐる。0.5バ身、アタマ、ハナ。内側からフクキタルが差しこむ。差す。差しきる。「ん゛り゛ゃああああああああああ!!!」突っ込むように、ゴール盤を過ぎる。フクキタルは地面に倒れこむ。トレーナーが駆け寄ると、フクキタルは聞いた。「私の……勝ちですか?」トレーナーはゆっくりと頷く。アタマ差でフクキタルの勝ちだ、と。フクキタルは大声で泣き出した。トレーナーは、フクキタルを抱きしめながら、あのウマ娘が消え去った先を見た。芝を揺らす穏やかな風が、誰も知らない存在の残滓となって、二人を包み込んでいた。まずは短距離をしっかり走れるようになれと、シラオキ様のお告げがあったので2番煎じの2作目です。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm38870247