戦没者の遺骨 DNA鑑定の対象拡大 遺族の申請あれば鑑定実施へ

戦没者の遺骨 DNA鑑定の対象拡大 遺族の申請あれば鑑定実施へ

2021年8月11日 22時58分太平洋戦争で犠牲となった戦没者の遺骨について、厚生労働省はことし10月から身元を特定するDNA鑑定の対象を拡大します。遺骨が収集されたすべての地域で、遺留品などの手がかりがなくても遺族の申請があれば鑑定を実施することにしています。太平洋戦争による海外での戦没者は、沖縄と硫黄島を含めておよそ240万人に上り、国はこのうち128万人の遺骨を収集しています。平成15年度からはDNA鑑定を開始し、身元が特定できた遺骨については遺族のもとに返しています。ただし、当初は印鑑や名前の入った万年筆といった遺留品が見つかるなど、身元につながる手がかりのある遺骨に限って鑑定を行ってきました。すべての遺骨にDNA鑑定を実施すると膨大な労力と時間がかかるためです。こうした状況のなかで、これまでにDNA鑑定で身元が特定されたのは、まだ1200人ほどにとどまっています。最近は遺留品が残っている遺骨も少なくなっていて、遺族などからは「対象を拡大してほしい」という声も上がっていました。このため、国は4年前の平成29年度から沖縄で、また、昨年度からは硫黄島と太平洋にあるキリバス共和国で見つかった遺骨について、手がかりがなくても広く鑑定を行う方針に切り替えました。この結果、これまでに硫黄島で2人、キリバスでも2人と合わせて4人の遺骨の身元が判明しました。これを受けて厚生労働省は、ことし10月をめどに遺骨が収集され検体が保管されているすべての地域で、手がかりがなくても遺族から申請があればDNA鑑定を行う方針を打ち出しました。一方で、DNA鑑定の制度自体を知らない遺族も多く、試行的に公募が行われた沖縄では、戦争でおよそ19万人が亡くなりましたが、この4年間に申請した遺族は1130人です。国は、対象を拡大するだけではなく鑑定制度の周知を徹底し、遺族に広く申請を呼びかけていく必要があります。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm39167143