129億光年離れた星の観測に成功、宇宙誕生の「夜明け」に存在

129億光年離れた星の観測に成功、宇宙誕生の「夜明け」に存在

 国際的な研究グループは、米航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡を使って、129億光年離れた恒星「エアレンデル」を発見したと発表した。発見された単独の星でこれまで最も遠かったのは90億光年離れた「イカロス」だったが、この記録を大幅に塗り替えた。 この星は、古英語で明けの明星を意味する「エアレンデル」と名づけられた。宇宙誕生の「夜明け」頃に存在した星だからだ。  ジョンズ・ホプキンス大学の天文学者、ブライアン・ウェルチ氏は、次のように話す。 ジョンズ・ホプキンス大学 ブライアン・ウェルチ氏 「通常、私たちが非常に遠い天体を見るとき、私たちが見ているのは銀河全体からの光だ。つまり無数の星の光が混ざり合っている。われわれはさらに遠くまで見ることができるようになった。 しかし今回は、前景にある巨大な銀河団のおかげで、この1つの星の光が非常に大きく拡大され、より遠くにあるこの1つの星を見ることができた」  宇宙の始まりであるビッグバンから、約9億年後に誕生した「エアレンデル」。研究者によると質量は太陽の50―100倍と推定され、明るさは数百万倍だったと考えられている。その光は地球に到達するまで129億年もの間、旅をしてきたのだ。 NASAの天文学者 ミシェル・ターラー氏 「この発見は、素晴らしい宇宙の偶然によるものだ。すべてが完全にそろっていたのだ。 近くの銀河団がレンズのように宇宙を曲げて、自然の望遠鏡を形成していた。そこへこの星が完璧に並んだ。そして星の明るさが、本来の明るさの何千倍にも拡大された」  エアレンデルのように遠い天体を観測する時、研究者たちは遠い過去を見ている。その星から光が地球に届くまで膨大な距離があるためで、言わばハッブル宇宙望遠鏡をタイムマシンとして使っているのだ。 これまで発見された最も遠い恒星は、エアレンデルから40億年後に存在した「イカロス」だった。 現在、研究者らがその光を見ることができても、エアレンデルはすでに存在しない。ウェルチ氏によれば、このような巨大な星は比較的寿命が短いという。エアレンデルは超新星爆発によって死ぬまで、数億年間存在したと考えられている。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm40258742