【神道シリーズ・シーズン3】第9回・秋葉・祇園・天満宮・白山の廃仏毀釈

【神道シリーズ・シーズン3】第9回・秋葉・祇園・天満宮・白山の廃仏毀釈

明治の神仏分離政策で多くの寺院が破却され、その寺院がそのまま神社に改変されることにより寺院の神社化が次々と進められて行った。稲荷大社、春日大社、住吉大社、鹿島大社などの氏神の系統の神社を除けば、それ以外のすべての神社は明治時代に寺院を廃してそのまま神社化したケースや、寺院が管理する権現社、明神社、堂宇、宮などを神社にしてしまったケースのどちらかに属している。つまり、伊勢神宮の系列、および上記の氏神系神社の系列を除けば現在存在する神社のほぼすべては明治前までは寺院ないし寺院の管理する仏教系の神々を祀る社であったのである。秋葉信仰は、明治前までは秋葉寺が中心となった火消しの神・秋葉三尺坊の信仰が続いていたが、明治になると秋葉寺は新政府により廃寺にされ、秋葉寺は仏像仏具を取り除かれ、そのまま新設の秋葉神社に改変改装されたが、今でも秋葉山の信仰は火消しの神、秋葉三尺坊大権現の信仰のままであり、秋葉山の祭祀やお祭りも秋葉寺や曹洞宗の寺院・可睡斎が中心で行われており、明治に新設された秋葉神社にはまったく存在感がない。一方、京都の八坂神社は明治前までは天台宗の寺院・観慶寺の感心院の境内に設けられた仏教の神・牛頭天王を祀る社殿で、祇園社と呼ばれていた。牛頭天王は播磨の廣峯社を中心に蘇民将来説話の武塔天神と同一視され薬師如来の垂迹とされ、また、中国の道教神の天刑星とも習合した仏教神で、その信仰は、京都祇園も含め全国に点在するように広がっていた。祇園社では、牛頭天王とその妻、ハリサイニョと、8人の息子たち八王子を祀っていたが、明治政府は、それをスサノオとクシナダヒメとスサノオの8人の息子たちに置き換え、祇園社を八坂神社と言う神社にしてしまった。しかしながら、現在でも八坂では祇園祭が行われており、全国でも牛頭天王を祀っていた現神社元寺院の地域では現在でも各地で天王祭が行われている。北野天満宮は元道真を祀る天台宗の朝日寺の曼殊院門跡であり、大宰府天満宮は大宰府の真言宗の寺院・安楽寺であった。十一面観音を本尊とし、雷神と道真の御霊が習合した天神信仰を、明治政府はこれを北野神社と改めたが、今でも天満大自在天神社と「大自在天」の名称が残っている。そして、北野も大宰府も今でも祭神は道真のみで記紀の神は充てられていない。白山を囲む三つの白山神社はもともといずれも平泉寺、長瀧寺、白山寺という天台系の寺院で、明治政府はこれらの寺院を強引に神社に変えたものの、今でも平泉寺白山神社、長瀧白山神社と、寺院の名称を残し、修験道的な神事を残している。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm40264239