川崎市の自宅で死去した漫画家藤子不二雄Aさんは2021年4月6日、東京都豊島区立トキワ荘マンガミュージアムで記者会見し、60年以上前にトキワ荘で共に暮らした宮城県登米市出身の石ノ森章太郎さん(1938~98年)ら仲間との思い出話を披露していた。藤子Aさんは石ノ森さんについて「天才的な人だった」と評価。石ノ森さんが宮城・佐沼高時代、雑誌「漫画少年」に投稿し掲載された作品を読んでいたといい、「絵もいいしセンスもいい。すごいなと(コンビを組んでいた)藤本(弘)君(藤子・F・不二雄さん)とうわさしていた」と語った。石ノ森さんは、藤子Aさんらが入居した2年後の56年に引っ越してきた。初めて会った時のことを「洗練された漫画のイメージと違い、ずんぐりむっくりしていてびっくりした。貫禄があるというか、ただ者じゃない雰囲気があった」と目を細めた。文学青年だった藤子Aさんは、石ノ森さんの世話をするため上京した姉小野寺由恵さんに本を貸したエピソードにも触れ「僕らが駄目になっても、石ノ森さんは成功するよと言ったらホッとしていた。弟思いの人だった」と懐かしんだ。