solitude

ああ、あれはきっと亡霊だ。どんよりと空を覆う雲に息を詰める。灰色がかった景色に去来する感傷もなく、吐瀉物のような水溜まりを踏み越えるその度に無機質で最低限な僕らの生活は摩耗する。道端に打ち捨てられた空き缶、それを蹴飛ばした人一人の値段。打算にまみれた借り物の人生観、相対的な僕らの幸福の比較計算。希望的観測の袋小路、悲観主義者の断定的な嘲笑。雑居ビル、舌打ち、LEDの直光。濡れたローファー、水分を含んだ爪先。悴んで感覚の消えた指先、死んだ感受性。反響する独り言、反芻する恨み言。暫し、佇む屋根の下で振り返る先に探す、面影。面影。面影。雨は、まだ止まない。前→ prelude sm40512865 次→ interlude sm40513305 つくったものたち→  mylist/73219577

http://www.nicovideo.jp/watch/sm40513292