有栖川夏葉=松浦果南説

有栖川夏葉=松浦果南説

 強烈な日差しが突き刺さるような8月。夏休みということもあってか、沼津の海は観光客でごった返していた。「初めて来たところだけれど、こんなにも先客がいるだなんて予想外ね。」久々の長期休暇に沼津を訪れた夏葉だったが、あまりの人の多さに思わず嘆息を漏らした。  「仕方がないわね。」そう呟いた夏葉は砂浜から一歩退き、海岸沿いの道を歩き始めた。すると、「タッタッタッタッ…」。砂浜の喧騒ではなく、むしろ心地よさすら感じるような軽快な足音が近づいてくるのを感じた。ふと後方に目をやると、青い髪を後ろで束ねた1人の少女が夏葉の隣を走り抜けていった。「タッタッタッタッ…」。一定のリズムを刻みながら、息を乱すこともなく、その少女は颯爽と駆け抜けていく。  「あの子…こんな暑いのにランニング…?」そんな疑問が夏葉の脳をよぎった。だが、その瞬間、「カツン…カツン…カツン…カツン…」、夏葉も自然と身体が動いていた。走るには似つかわしくない靴であることに違いはないが、それよりも彼女を追いかけようという探究心が夏葉を突き動かしたのだ。  …結局、謎の少女に追いつくことはできなかった。だが、「…あれは?」。夏葉がふと目をやると、とあるダイビングショップのテラスに潮風を浴びる少女がいることに気がついた。間違いない。先ほどの青髪の少女だ。すると、少女も夏葉に気がつき、「いらっしゃいませ。ダイビングのお客様ですか?今の時間は予約も入ってないので、すぐにご案内できますよ。」…それが、松浦果南との出会いだった。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm40748834