劇場実験【550ml の憂鬱 3話】日常の隙間に存在するホラーギャグ的な閲覧注意(全6話)

劇場実験【550ml の憂鬱 3話】日常の隙間に存在するホラーギャグ的な閲覧注意(全6話)

何故なら、その路地は一定の間隔で柳の木が植えられ、一瞬、風情や趣のある心情豊かな路地なのかと錯覚したが、ユラユラとした長い枝葉が催眠効果を催すが如くにぼくの平行感覚を微妙に狂わせ、揺らいでいる葉に同期して身体は小刻みに振れ動き、吐き気と共に歩行が困難になってしまったのだ。しかも、敷石を良く見ると、年代や、名前が彫り込まれ、それが墓石を再利用したものであることが分かった。確かに使えるものは何でも再利用すべきだとは思うが、あまり気持ちの良いものではなかったし、いつまでもここにいると、墓石に自分の名前が刻み込まれてしまうのではと危惧させ、路地の片隅に点在するように無数の素焼きの壷が置かれ、まさか骨壷ではと思わせる薄気味の悪さを感じた。これは、イヨイヨ幽霊でも出るんじゃないかと思いかけると、次第にうぶ毛は逆立ち始め、大気の僅かな動きに敏感になった。一丸キッカのホラーとも倒錯した恐怖の短編小説もう、すっかり冬の様相を示し冷たい風が染み入るほどに心の奥深くへと浸食する。それでも、何かを抱え、感じながらも生きてゆく意味を問いかけて歩き始めた12月の土曜日の夜です……20221203

http://www.nicovideo.jp/watch/sm41457440