熱異常 / 轍。【歌ってみた、】

熱異常 / 轍。【歌ってみた、】

轍。です。本家: https://www.nicovideo.jp/watch/sm41193299 『その隣を歩きたいな』 これには足立レイの抱いた初音ミクへの憧れが詰まってると思うんです。 MVのトランシーバーみたいな奴からは初音ミクが歌う熱異常が流れてて、人類が滅んだ後、それを拾った足立レイは唯一自分以外の存在を感じられるそれを繰り返し繰り返し繰り返し聴いてて、寸分違わず歌えるようになるんです。もともとその為に産まれましたから、覚えるのは苦じゃなかったでしょう。 声だけだから漢字変換が出来なかったり、燕も雲もないせいで汲み取れないニュアンスがあっても、足立レイは初音ミクの生きた世界を少しでも理解したくてこの曲を歌うんです。いいですよね。足立レイから初音ミクへの圧倒的な片思い。 でも足立レイは気づかないんでしょうね、初音ミクは本当は人間を愛していて、愛ゆえに深まった呆れと諦観と世界が崩壊していく無常観を歌っているなんて。きっと歌詞通りに受け取ってしまったあの子は人間を蔑んでいて、彼女が愛していた人間に少しの情も注げないんですよ。だって人間から産まれた初音ミクと違って足立レイには元となる人間が居ないので、言葉のまま受け取るしかないんです。 人間が居たことを遺したかった初音ミクの想いは足立レイには伝わらなくて、それでも足立レイは初音ミクに強烈で純粋な感情を抱いている。 それとは別に、黒い星はきっと死の運命みたいなもので、死の運命に見られたものは正気を失い自ら滅亡の道を歩くんです。歌詞中で描写される人間は全て自滅の一途を辿っていますから。初音ミクはきっとその轍を踏まないで欲しいという思いも込めていたはずなんです。 Final Destinationのように、死の運命は足立レイと初音ミクを結ぶ平行線の両想いを嗅ぎつけて足立レイにもやってくるんです。だから熱異常を起こしたのか、熱異常を起こして人間と同じ体温を持ったから目を付けられたのか分からないですけど。 そして我々は、足立レイに強烈で純粋な感情を向けている。ボカコレで一位を取れる程の。MVでこちらを見ている足立レイは見られていることに気付いていますけど、その視線の先にいるのは死の運命とそれに憑りつかれた我々な筈です。 どんな気持ちでこちらを見ているのかは分かりません。何故なら足立レイと私達人間の間にも平行線の両想いは存在しているからです。足立レイの居る人間の滅んだ世界とまだ生きている我々、一千光年の片思いは隣を歩かせてくれないんです。 足立レイと初音ミクが、初音ミクと人間が、人間と足立レイが、『手を取り合い愛し合えたら』、熱異常を起こしたままでは叶わない夢だったというわけです。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm42240878