日本人形と風鈴【ゆっくり朗読】

日本人形と風鈴【ゆっくり朗読】

何とも不思議なことがあったからここに書いておく。ウチの婆ちゃんはかつて神社で巫女さんをやっていた人で、自宅の庭にはいつも清めの塩が撒かれていた。なぜかというと、よく霊が見えたそうなんだ。婆ちゃんは病により家で大半の時間を過ごしていて、病弱で口数も少なかった。そんな婆ちゃんが、ある日「紙人形を作ってきてくれ」と頼んできた。「どんな形がいいの?」と聞いたら、「女の子の形、それを庭の木に吊るして」と言う。「え、それってなんか厄除けか何か?」と尋ねると、「・・・」と黙ったままだった。とりあえず、婆ちゃんの頼み通りに、人形を作り、庭の桜の木に吊るした。それから、婆ちゃんはその人形を見つめる時間が長くなった。そうこうしているうちに、また「風鈴をつけてくれ」と言う。「なんで風鈴が?」と聞いたら、「・・・あれが来るから」とだけ答えた。理由は分からなかったが、婆ちゃんのために、風鈴を人形の近くに吊るした。しばらくしたある日、婆ちゃんの体調が急に悪くなり、救急車で病院へ運ばれた。最後の時が来たんだろう、と思っていたとき、婆ちゃんは「あの人形、私が逝ってからも一年はそのままにしておいてほしい」と言ったんだ……

http://www.nicovideo.jp/watch/sm42384618