【初音ミク】垂直落下都市 Vertical fall city

【初音ミク】垂直落下都市 Vertical fall city

廃マンションの屋上。 私は錆びた鉄の柵の前に独りで立っていた。どう見てもこれから飛び降りようとしているように見える。そんな私を止めようと、一人の女が話かけてくる。小学生の頃からの友達。父が小さい頃に亡くなり、人に飢えていた私の唯一の友達。 いや、友達だった人。小学生の時は毎日一緒にいたのに、中学に上がって彼氏ができてからというもの、私に構ってくれなくなった。 無理もない。彼女は優等生でお金持ち。私は片親の凡人。 彼女がいなくなってから、私は孤独になった。そりゃそうだ。私は人と関わるのが得意じゃない。それから私はどんどん落ちていった。独りで通学した。独りで本を読んだ。独りで帰った。独りで過ごした。独りで泣いた。高校でも独り。人と関わろうとして失敗し、勉強や部活でも失敗し、挙句の果てにはいじめられた。母は忙しく、先生も助けてくれない。罵声を浴び、殴られ蹴られ、持ち物はほとんど盗まれ、そのたび先生に私が無くしたんだと怒鳴られる。 でも学校に行かなきゃ、母に迷惑がかかる。 独りで通学した。皆にいじめられた。独りで本を読んだ。目の前で破かれた。独りで帰ろうとした。皆に捕まった。独りで過ごそうとした。脅されて奢らされた。 独りで泣いた。もう疲れた。だからここにいる。 そんな私を見つけて止めようとしているのが、かつて私を見捨てた女。「お願い、やめて。」もともとぐちゃぐちゃになっていた私の頭の中が、もっとぐちゃぐちゃになった。 思い出す、捨てたはずの彼女との思い出。「ねぇ、ねぇ」いつも、私のこの言葉で、会話が始まった。彼女はそういうと、いつも笑って「なぁに?」と返してくれる。そんな、当たり前だった光景。でも、彼女から話しかけてくることは一度たりともなかった。そうか。 全部、私のせいだ。彼女と話さなくなったのは、彼氏との時間が少し増えた彼女に、私が話しかけられなくなったから。いじめられたのも、私の空気を読まない言動で、場をかき乱したから。私を追い詰めていたのは、私だった。ああ、そうか。もう、私はこのマンションの階段を、下ることはない。垂直落下。私の人生と、私の終焉。午前6時、霞んだ白線、暗い色の住宅街。ここは大したことのない町。でも、アタシのせいで、今からきっと、賑やかになるね。きっと、この場所は、『垂直落下都市』作詞作曲 SAnd Teaうた 初音ミク感想お待ちしております。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm42640903