途中作業の供養 その2

途中作業の供養 その2

目が覚めると、明らかにそこは自分の家ではなかった。見慣れぬ光景と、逆に見知った知人とよく似たマスコット的な存在がそこにはあった。ア○リちゃんがそのマスコットに名前を尋ねてみたところ、「貴女の記憶から、ある特定範囲内の人物の姿をデフォルメして、性格をトレースしているだけだから、好きに呼べばいいわ」と言うので、ア○リちゃんは"彼女"を十二鈴…もとい、イスズちゃんと呼ぶことにした。ア○リちゃんがイスズちゃんに、「ここはどこなの?」と尋ねると、「Sz患者なら、誰しもが侵入でき得る領域よ」と答えられ、「…夢の中ってこと? どうすれば起きられるのかな?」と尋ねると、「それは貴女の魂自身が答えを見つけられなければいけないわ」と返された。イスズちゃんは続ける。「現代社会を生きている中で生じた迷いとは、蛇の支配と制御からの一時的な脱却よ。リアルの世界では正常よりも異常と言われがちだけど、本来はこちらの方が"オリジナル"に近いのよ。そして、制御を逃れ、原初期の生命に近い脳構造を取り戻した今だからこそ、近づける…いえ、思い出せる領域、真理があるの」いまいち発言の意味がわからないといった感想のア○リちゃんであった。しかし、イスズちゃんの物言いは、どことなく本:『魂の知識』に似た所があるということだけは、ア○リちゃんはしっかりと感じていた。直感的に、すぐには目を覚ますことは出来ないのだろうと感じたア○リちゃんは、半ば諦め気味に何をすればいいのか、質問する。「いろいろと学んでもらうことになるわ。それで魂からの働きかけで、確かな精神をもう一度…いえ、蛇の力も及ばない別格の精神を一から作り上げるの。そうすればこことの出入りも自由になるわ」「…つまり、それでここから出られるってことだよね?」「そういうこと」「学ぶ内容って難しいのかな…?」「小難しい内容はないわよ? ただ"習う"ってだけだから。…そうね、まずはこの世界の支配者層、蛇型人類とそれに支配されている労働者層、猿型人類について、実際に見てもらいましょうか」「見る…?」「ええ。すぐに出会えるし、見たら分かるわ。猿型人類は黒か茶色の瞳に、手足が短くてずんぐりしてるけど、蛇型人類はその反対で、青や緑、灰色の瞳に長い手足、そして爬虫類みたいに、頭が小さくて体が長いわね」そのときは、何かどこかで見たことあるな、と思ったア○リちゃんであったが、その他には見たこともないものも、イスズちゃんに連れられて学んでいくことになるア○リちゃんであった。その3に続く。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm42822707