新造船「橘丸」で行く三宅島=ゆったり船旅、島巡り

新造船「橘丸」で行く三宅島=ゆったり船旅、島巡り

 東海汽船が6月に就航した新造船「橘丸」。ディーゼルエンジンと電動駆動のアジマス推進器も搭載するハイブリッド型の推進システムを採用して低燃費を実現したエコシップに乗船し、伊豆七島の一つ、三宅島に向かった。 東京・竹芝客船ターミナルを午後10時半に出港。同船は三宅島、御蔵島を経由して八丈島を結ぶ航路を毎日運航。三宅島までは南に約180キロ、6時間半の船旅だ。新造船だけあって真新しい船内は、客室やレストランも含め最新設備が整う。シャワーとトイレ付きの特1等和室(定員4人)でくつろぎながら島巡りの予習を済ませて一眠り。夜明け前の午前5時、船は島南西の錆ケ浜港に接岸した。 三宅島は中央に雄山(おやま)を有する火山の島。島西側の阿古地区には、1983年の噴火による溶岩流で埋没した小・中学校跡が当時の状態のままに残されている。その溶岩原を貫く木製の遊歩道は、玄武岩質の黒い溶岩流の凄まじさを間近に感じ取れる貴重なジオスポットだ。 国の天然記念物であるアカコッコやカラスバトなど多くの野鳥が棲む三宅島は、別名「バードアイランド」と呼ばれる。島の南側にある「アカコッコ館」では、日本野鳥の会のレンジャーが常駐し、野鳥に関する写真や資料を展示、望遠鏡を備えた観察スペースも設けられている。隣接する大路池は火山爆発によってできた火口湖で、日本を代表するバードウオッチングのポイント。「キィキィキィ、キョキョキョ」。照葉樹林が残された湖畔の小径を行くと、野鳥たちのさえずりが耳に心地良い。 島唯一の温泉施設「ふるさとの湯」では、太平洋を望む源泉掛け流しの温泉でゆっくり。露天風呂からは海に沈む夕陽も楽しめる。焼酎蔵である三宅島酒造に立ち寄り、2000年の噴火で製造が中止され、08年に復活した麦焼酎「雄山一」を試飲し、土産に購入した。 この日の復路は、東岸の三池港から午後1時35分に出港。帰りは日中なので、海に囲まれた火山島の全景を改めて確かめることができる。北上する船からは、左舷に新島や大島の島影が望め、その間からは富士山も。外海から東京湾に入るころには、デッキに人が集まり出す。西の海上に深いオレンジ色をした大きな夕陽が沈んでいった。

http://www.nicovideo.jp/watch/so24799977