「バッハのパン屋」ドイツ人夫妻が中国の聴覚障害者を支援

「バッハのパン屋」ドイツ人夫妻が中国の聴覚障害者を支援

中国中部の湖南省に暮らすドイツ人夫婦は、20年近く障害のある子供たちを支援してきた。聴覚障害者をパン職人に育て上げ、9年前からはベーカリーを経営している。 「バッハのパン屋」という名前のベーカリーは湖南省長沙市の小さな路地に位置している。経営者のUwe BrutzerとDorothee Brutzer夫妻は、「呉正栄」と「杜雪輝」という中国名も持っている。 夫妻は、2002年にドイツの民間慈善団体が支援した聴覚障害児救済プロジェクトのために長沙にやって来た。 中国に18年間滞在する中で、夫の呉正栄さんことUweさんは流暢な中国語を身に付け、地元では「呉おじさん」と親しみを込めて呼ばれている。 「バッハのパン屋」で売られているパンの多くは、耳の聞こえない従業員や見習いスタッフが手作りで焼き上げたもので、お馴染みのお客さんはその大きさや風味で「バッハのパン屋」のパンだと見分けることができる。 ここ数年の利益はなかなか厳しいものがあったというが、聴覚障害者に居場所を提供するという目的は達せられた。 「今は8人の正社員と2人の見習いがいる。そのうち6人は聴覚障害者だ。私たちは彼らに実用的な技能を学んでもらうために、このベーカリーをオープンした。『バッハのパン屋』は今年9年目を迎えた。長沙に来たのは18年前のことで、半分近くの時間をパン屋で過ごしたことになる」と呉さんは話した。 夫妻はこれまでに500人近くの障害児を支援してきた。口話訓練や学校への入学をサポートする中で、夫婦は聴覚障害児が社会に出るようになっても仕事の選択肢は非常に限られていることに気づいた。 そこで彼らは聴覚障害者が実用的なスキルを身につけて自分の生活を改善できるように、2011年にパン屋を開きたいと考えた。 夫妻はドイツ人のパン職人を雇って訓練をはじめ、これまでに20人が一人前のパン職人となって就職の夢を果たしている。 呉さんは「面白い話がある、昔支援した聾唖学校の女の子が私たちのところでパン作りを習いたいと言ってきた。でも私たちは彼女を見分けられなかった。彼女は当時10歳ぐらいで、お店で再会したときはもう18歳になっていたから」と話した。 「バッハのパン屋」は最初、長沙の繁華街に店を構えた、しかしわずかな利益では家賃が払えず、静かな路地に引っ越している。 今年は新型コロナウイルスの流行が店の経営に大きな打撃となった。しかし呉さんは、自分の店の従業員が他の場所では簡単に仕事を見つけることができないのではないかと心配し、人員削減に踏み切ることはなかった。

http://www.nicovideo.jp/watch/so37343078