「あなただけの特注旅行を考えます」1人での外出が難しい人をサポート 福岡市のNPO法人

「あなただけの特注旅行を考えます」1人での外出が難しい人をサポート 福岡市のNPO法人

車椅子を利用する高齢者や障害者など、移動に支障がある人たちは旅行や外出を気軽にすることはできません。「旅行や外出を諦めることなく笑顔ですごしてほしい」との願いを込め、オーダーメイドの手厚いサポートを提供するNPO法人を取材しました。◆「能古島で色とりどりの花を見たい」一面に広がる満開のコスモス。10月18日、福岡市西区の能古島は多くの観光客でにぎわっていました。Q.お花がお好きなんですね。岸川小夜子さん「大好きです」車椅子で島を訪れたのは岸川小夜子さん(81歳)。同行しているのは、岸川さんの家族ではありません。高齢者や障害者など、1人での外出が難しい人を介助しながら同行するサービスを提供するNPO法人「あすも特注旅行班」の代表理事、大橋日出男さんです。「能古島で色とりどりの花を見たい」という岸川さんの要望を受け、日帰りの旅行を企画しました。「あすも特注旅行班」代表理事 大橋日出男さん「やっぱり、ご利用者さんが楽しんでいるシーンに一緒にすぐ横にいることができる、お供させてもらえるのが私の喜びですよね」◆「少しのサポートがあれば外に行けるのでは」大橋さんがこのサービスを始めたのは9年半前。九大病院で看護師として勤務していた時に、自宅に帰ることもできずに入院したまま亡くなる患者の姿を多く目にしたことがきっかけでした。大橋日出男さん「入院したまま亡くなってしまう方々も、少しのサポートがあれば外に行けるんじゃないか、おうちに帰ったりきれいな景色を見たりご家族と一緒にご飯を楽しんだりできるんじゃないか、と思っていました」◆利用者に合わせて電動車椅子を準備「あすも特注旅行班」の外出サポートは、入念な事前準備から始まります。大橋日出男さん「この車椅子だと押す人が大変だし、危ないかな」足を悪くして車椅子での生活を余儀なくされた岸川さんは、現在、福岡市内の老人ホームで生活しています。岸川小夜子さん「膝は悪いし、あっちもこっちも悪くて…」岸川さんの状況を聞き取った大橋さんは、急な坂道や段差が多い能古島での滞在を快適なものにするため、電動アシストの車椅子を準備しました。説明を受け、岸川さんの期待も高まったようです。岸川小夜子さん「周りが海でしょ。だから気持ちも晴れるし、きれいなお花も見てね。楽しみにしてますよ」◆「子供のころに帰ったみたい」と喜んだ利用者大橋日出男さん「おはようございまーす」旅行当日。大橋さんは老人ホームまで岸川さんを迎えに行き、タクシーに乗り込みました。「ゆっくりでいいですよ」タクシーやバス、地下鉄などの公共交通機関を利用する時も、丁寧にサポートします。能古島では、準備した電動アシスト車椅子が大活躍しました。大橋日出男さん「私たちも楽だし、お客様にとっても快適・安全。正解だったんじゃないかな。ちょっと自画自賛。ふふふ」手厚いサポートを受けた岸川さん。コスモスを眺めたり、テラス席で食事を取ったりと、久々の外出を終始笑顔で楽しんでいました。岸川小夜子さん「お天気もよくて景色もよくて、お花もよかったし。(外での食事も)気持ちいいです。子供のころに帰ったみたい。遠足の時(を思い出す)」◆「外出を諦めずに楽しさを味わって」「あすも特注旅行班」では、これまでに900件を超えるお出かけをサポートしてきました。父との旅行を依頼した女性「医療行為を受けながら、旅行に行くプランがすごく印象的で」こちらの女性は2023年2月に、末期がんを患っていた父親との最後の家族旅行として、「あすも特注旅行班」のサービスを利用しました。父親は旅行の1か月後に亡くなってしまいましたが、諦めずに行った最後の旅行は大切な思い出になっています。父との旅行を依頼した女性「(旅行後に)温泉とかって言葉はもう出なくなっていましたけど、『またお風呂に行こうね』と言いながら。行ってなかったら相当後悔したんだろうなと思います」サービスを通してたくさんの人の笑顔を見てきた大橋さん。今後もさまざまな人に「外出を諦めずに楽しさを味わってほしい」と話します。あすも特注旅行班大橋日出男代表理事「介護の認定、障害者手帳のあるなしに関わらず、サービス提供とができます。困りごと、不安、心配があるかも知れませんが、そこをちょっとだけ乗り越えていただいて、ぜひどしどし出かけてもらえたら」オリジナル記事を読む https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/811941

http://www.nicovideo.jp/watch/so42968046