炎にも耐えた「ネオン看板」に再び灯 「小倉昭和館」が復活 旦過市場の火災から1年4か月 

炎にも耐えた「ネオン看板」に再び灯 「小倉昭和館」が復活 旦過市場の火災から1年4か月 

去年8月、北九州市の旦過市場一帯の火災で全焼した映画館「小倉昭和館」が再建され、プレオープンを迎えました。多くのファンの後押しもあり復活を果たした老舗映画館1年4か月の道のりを取材しました。下濱美有「まもなくプレオープンを迎えるということで待ちわびたファンが列を作っています」師走の北九州。小倉北区にあるまちの映画館「小倉昭和館」の前には、この日を待ち望んでいた多くのファンが行列をつくりました。8月の火災から再建しプレオープンを迎えた館内では、観客が座った座席を前に、3代目館主の樋口智巳さんは、あふれる思いを口にしました。小倉昭和館樋口智巳館主「嬉しいです、こうやってみなさんを迎えることができてそれだけで嬉しいです」~白飛ばし~◆1939年に映画館兼芝居小屋として創業旧小倉昭和館1939年に映画館兼芝居小屋として創業した「小倉昭和館」。樋口さん親子が3代にわたり受け継いできた個人経営の映画館でネオン看板や35ミリフィルムの映写機など「昭和」を感じさせる雰囲気が多くの映画ファンに愛されていました。しかしー◆旦過市場の火災で炎に包まれた去年8月10日、旦過市場一帯を襲った大規模な火災。小倉昭和館は一瞬で炎に包まれました。◆焼け跡から見つかった「小倉昭和館」の象徴一夜明け、焼け跡に残っていたのは、シンボルだったネオン看板でした。小倉昭和館 樋口智巳館主「これが、こういう形ですけれど残ったということは私にとっても心のよりどころですしお客様にとってもそう思っていただければ。昭和館は完全になくなっていませんのでこういう形で残っておりますので。残ったことは何か意味があったんだと思いたいです」この時はまだ映画館の再建を考えていなかった樋口さん、ネオン看板は近くの寺に移され保管されました。◆火災から3か月後にホテルで開いた上映会時計の針が再び動き始めたのは火災から3か月後。樋口さんは、被災後初の上映会を市内のホテルで開きました。そして、ファンの前である決意を述べます。小倉昭和館 樋口智巳館主「福岡県内に現存する最古の映画館として、映画の街北九州にある映画館として、昭和館はよりパワーアップして復活したいと思います」◆再建を後押しした映画ファンたち再建には約1億円の費用が必要でした。後押ししたのは全国の映画ファンです。クラウドファンディングでは、目標額を大幅に上回る約4000万円の支援金が集まり、地元企業などからの寄付も相次ぎました。◆「ネオン看板に光を灯したい」強い思い11月、再建が進む小倉昭和館を訪れると、あの焼け残ったネオン看板がありました。館内に飾ることにしたのです。火事で焼けたネオン看板を再び灯したいという樋口さんの強い思いから、炎で割れてしまったネオン管だけを、同じ形状で同じ色のものに職人が手作業でつくりなおしました。看板そのものは、焼け跡から見つかった状態のままです。この看板を28年前に製作した北九州市の企業の職人が、再建した館内に取り付けました。興国商事 三宅寛さん「火事の映像とみたときはすごく泣きそうになりましたし、複雑な気持ちです」◆これがあったから『もう一度』という気になれた炎をかいくぐったネオン管が灯されると、樋口さんは涙ぐみました。小倉昭和館 樋口智巳館主「よく残ってくれましたよ、本当に。これがあったから『もう一度』という気にもなったかもしれないですね。お客様もこれを『もう一度みたい』と思ってくださったんだと思います。あたたかーい光じゃないですか」◆がれきだった場所に、新たなネオン看板も外壁にも新たなネオン看板が設置されました。看板の文字はファンの投票で決まった「小倉昭和館」。約1年4か月ぶりに屋号が掲げられました。小倉昭和館 樋口智巳館主「灯がつきました、新しいネオンがつきました。ここまできました。まさかまた新しい映画館をつくって新しいこんなネオンがね、つけられるなんて思ってもいなかった。がれきだったんですよ、ここ」通りから見える新しいネオン看板。火災前の当たり前だった光景を思い出させる「小倉昭和館」復活の瞬間でした。◆スクリーンは一つに 134の座席で再スタート小倉昭和館 樋口智巳館主「お待たせしました、ようやくです。みなさんありがとうございます」そして迎えた12月8日のプレオープン。火災前、2つあったスクリーンは1つになり、134席の座席のうち40席の背もたれには昭和館を応援する映画監督や俳優の名前が刺しゅうされています。◆待ちわびていたファンたち記念すべき1本目に上映されたのは、火事で全焼した映画館の再建シーンも描かれる不朽の名作「ニュー・シネマ・パラダイス」です。訪れたファンは「青山真治監督の席を真っ先に狙いにきましたから座れて良かったです。また観に来たいと思います」「新しいにおいがしました。ネオン看板だけでも残ったのは良かった」◆ふたつのネオンが物語をつむぐ小倉昭和館 樋口智巳館主「今回の火事のあと自分の場も失いました。お客様がボールを投げてくださったんです。『再建してほしい、やろうよ』というボールをお客様のほうから投げてくださいました。それを受け止めて皆さまと一緒に走り出します」新旧2つのネオンが煌々と輝く「小倉昭和館」。地域の宝、そして復興のシンボルとしてこれから新たな物語を紡いでいきます。オリジナル記事を読む https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/884201

http://www.nicovideo.jp/watch/so43120933