JR九州で働く平成ヒトケタ入社の女性たち 博多駅長は「プライベート充実」を目標に掲げた

JR九州で働く平成ヒトケタ入社の女性たち 博多駅長は「プライベート充実」を目標に掲げた

九州最大の駅、JR博多駅で現在駅長を務めるのは、平成ヒトケタに入社した鐘ヶ江理恵さん(49)です。制度が今ほど整っていなかった時代に「傷を舐め合いながら」仕事を続けてきた世代。多くの部下を束ねる立場になった今、職場のリーダーとして大切にしていることは何でしょうか。◆女性としては二代目「辞令に驚いた」九州の玄関口、JR博多駅。2年半前にJR九州の博多駅長になった鐘ヶ江理恵さん。最初は駅長の辞令に驚いたそうです。JR九州博多駅長 鐘ヶ江理恵さん(49)「絶対そんなことないと思っていましたし、私の頭の中に博多駅長っていうのは、まったくゼロ%だったので、ただただびっくりして。無理って思いました。」◆経理や財務、新規事業から博多駅長に1987年に国鉄から分割民営化したJR九州は、当初、新幹線もなく、赤字路線を多く抱えていたことから、鉄道以外の新規事業に力を入れてきました。現在では鉄道以外の収入が6割を超えています。鐘ヶ江駅長は、それまで経理や財務と企画、新規事業を担当してきました。JR九州博多駅長 鐘ヶ江理恵さん(49)「ここにきて鉄道会社に入社した、鉄道会社の仕事をしていたことを、改めて体で思い出したというか、鉄道事業というのはやっぱり地道にコツコツと働いている縁の下の力持ちがたくさんいて成り立っている事業なので、そこがよく見えて一緒に働くことができて今は良かったと思っています」◆かつての上司は「背中を押しました」2018年からJR九州リテールに出向。土産ものを扱う専門店事業の本部長を務めました。JR九州リテール 本郷譲社長「お菓子屋さんを買収するとか、新しい業態をはじめるという当社としては珍しいことを彼女は3年間の間にやってきましたね。これはやっぱり特筆すべきことだと思います。男性女性という概念なく抜擢もしましたし、彼女もそれに応えたと思いますね。あの年齢でまったく違う事業本部、まして博多駅長なんていうのはもうピカピカのポストですから、そこに行くっていうことについては背中を押しました」◆バックヤードの通路脇に設けたコーナー140人が在籍するJR九州、博多駅のバックヤード。通路脇にコーナーがありました。JR九州博多駅長 鐘ヶ江理恵さん(49)「このコーナーはみんな教養を深めようということで、私が自分が読み終わった日経ウーマンとか、ま、本は色んな人が出してますけど、あとは日経新聞も自分が読み終わった分ですが置いています。」◆掲げた目標 「プライベートも充実させないと」JR九州博多駅長 鐘ヶ江理恵さん(49)「仲間を大切にし、仕事を楽しむ前例にとらわれず、日々変革。選ばれる人財となるために、日々自分を磨く。『年休を5日間連続でとろうよ運動』をやっています。やっぱり人間は仕事を一生懸命やるためにはプライベートも充実させないと、そして色んなものをみて見聞を深めるのは大事だよって話をしています。連続してとると他の人がカバーしないといけないので、他の人のカバーをするということも大事なことですので、そういうことをみんなでやっていこうという思いでやっています。」「私が入社した時は、改札が有人改札だったんですね、人が立っていてお客様から切符をいただいました。まさかこんなに全部機械になっているっていうこと、想像できなかったことがいま起こっていて、本当に30年後どんな世界になっているかっていうのは分からないので、自分の仕事がずっとあるわけではない。そう考えると、自分で生きる道は自分でちゃんと作っていかなければならないから、ほかのことも勉強するんだよっていうふうに言ってます」◆部下の社員は「行動力ある」鐘ヶ江駅長について、部下の社員たちは、どのように見ているのでしょうか。副駅長 前田圭輔さん「行動力がある、我々社員を導いてくれる上司だなって日々思ってますので、我々は必死にくらいついていってるって感じです」助役 山本大海さん「ゴールを示してくれて、それに向かって全員で同じ方向を向いて働ける環境を作ってくれているなと日々思ってます。非常に尊敬しています」◆平成ヒトケタ入社の女性たち「色々な意味で苦労した」この日、鐘ヶ江さんが出席した宴会。JR九州に1991年から97年の間に入社した女性社員たちが集う、「平成ヒトケタ入社の女性の会」です。10年ほど前から年に1度集まるようになりました。立ち上げ当時、社長だった唐池恒二相談役はゲストです。唐池恒二相談役「10年続くこの会に、当時副社長だった渡辺晴一朗さん(現・JR博多シティ会長)と私が選ばれて高い競争率を勝ち抜いてこの会に臨んでおります」JR九州の女性社員の割合は16・3%、管理職は6・4%と高くはありませんが、常勤で3人の女性役員がいます。3人のうち、常務の赤木由美さんは91年入社。この世代の女性たちは互いに傷をなめあいながら頑張ってきた、と話します。JR九州 赤木由美常務「初期で入った女性たちは、色んな意味で苦労したので、まだまだ制度がない中、がんばってきました。今は育児も含めて色んな制度ができましたけど、その中では傷をなめあいながら頑張ってきたので、愚痴も上司の悪口もたくさん出ます。でも楽しい会です」◆職場のリーダーに必要なことは?JR九州 赤木由美常務「やっぱり一番大事なのは、部下をどんなふうに育てるかっていうことなので、そこに関しては駅長の鐘ヶ江がいちばん力を入れてると思いますし、それは男性女性関係なく、後輩たちに自分の姿をみせながらひっぱっていっているので、後輩が彼女の背中を見ながら大きくなってくれれば十分だと思います」1997年入社の鐘ヶ江駅長は、入社3年目と12年目に1年と1年半、それぞれ育児休暇をとっています。◆転機は、1回目の育児休暇の取得後JR九州博多駅長 鐘ヶ江理恵さん(49)「1回目の産休育休をとるまえは、あんまり仕事まかせてもらえないところがありまして、育休とって戻ってきたら、『この人なんかちゃんと働くんだな』って思ってもらったのか、そこから普通に男性と同じように仕事をまかせてもらえたような気がしたんですね。だから逆に『がんばんなきゃな』って思ったんです。今、うちの職場では男性が育児休業5ヶ月とったりとか普通にします。普通がこれなんだっていうのを根付かせるということが大事かなと思っています」「女性が」ということではなく、男女を問わず、働きやすい職場にする。鐘ヶ江駅長のもと、その環境づくりが進められています。オリジナル記事を読む https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/981822

http://www.nicovideo.jp/watch/so43357129