迫る津波に言葉の壁… 急増する外国人に“命を守る情報”いかに速く伝えられるか? ハード・ソフト両面で検討進む

迫る津波に言葉の壁… 急増する外国人に“命を守る情報”いかに速く伝えられるか? ハード・ソフト両面で検討進む

東日本大震災から13年。2024年1月1日に発生した能登半島地震でも、津波からの避難について課題が浮き彫りとなりました。特に、言葉の壁がある外国人に、命を守るための情報をどのように伝えればいいのか、模索が続いています。◆能登半島地震で津波 各地で観光客は震度7を記録した、元日の能登半島地震。震源近くに大津波警報と津波警報、福岡県の日本海沿岸を含む広い範囲に津波注意報が出され、北海道から長崎県までで津波が観測されました。RKB今林隆史「十分な高さのある場所で取材しています。福岡県沿岸にも津波注意報が出ていますが、海沿いには多くの人が留まっています」津波注意報は「海から上がって海岸から離れる」ことを求めるものですが、この日、多くの観光客が海辺を訪れていました。観光客「知らなかったです」「知らないです。いま車運転中に見たので分かりません」「帰ります」◆外国人観光客に「命の危険」いかに届けるか現在の区分になった99年以降、福岡県の日本海沿岸に津波注意報が発令されたのは今回が4回目。その海岸で特に目立ったのが、外国人観光客です。韓国人観光客「地震からは距離が離れているので、安全だと思っています」地震が起きたことは知っていた外国人観光客も津波注意報については把握していない様子でした。観光客だけでなく、福岡に住む外国人への防災情報の伝達も課題となっています。九州大学 杉山高志准教授「100点満点の防災をすることは難しい、だけど何もしないと0点」能登半島地震の後、地震が少ないベトナムなどにルーツを持つ人たちの間で特に不安が高まったことを受けて、勉強会が開かれました。九州大学 杉山高志准教授「能登半島地震で、多くの外国ルーツの方々に災害情報がうまく届かない、しかも災害情報についてうまく理解できていないということがよく分かりました。それゆえに、避難がうまくいかなかったり、避難先で大きなトラブルになったりという例が数件報告されていて、改めて外国ルーツの方にいかに災害情報を届けるのか、について再検討する必要がある」勉強会はハザードマップや避難所、防災グッズの活用について知ってもらうための取り組みで、福岡県も外国人住民向けの防災訓練を行っています。◆「津波の高さ」リアルタイムで把握したい一方、津波への注意喚起のために、リアルタイムで津波の高さを測定する研究を行っているのが福岡工業大学です。福岡工業大学 近木祐一郎教授「これはレーダーのアンテナになっていまして、一番上のアンテナが、電波を照射するアンテナ、海面に電波を照射するアンテナで、海面から跳ね返ってきた電波を、真ん中と下のアンテナで受信します。真ん中と下のアンテナに到達する“電波の時間差”を利用して、海面の高さを計測しています」能登半島地震のように、震源が陸地に近い地震によって引き起こされた津波の場合、到達時間が短く、正確な情報を素早く伝えるのはより難しいとされています。「津波レーダー」はその弱点を補える可能性があると近木教授は考えています。福岡工業大学 近木祐一郎教授「津波警報のシステムの課題は、近海域で起こった津波や地震に対して精度が出にくいという弱点です。レーダーで近距離海面だけにターゲットを絞って精度を上げることができますので、近距離で起こった地震などに対してかなり精度の高い、リアルタイムの津波の到来の情報を提供できるんじゃないかと思います」◆“命を守る情報”どうやって多くの人に?現在の測定範囲は150メートルですが、3キロに広げるアンテナの開発も始まっていて、将来的には30キロに拡張することを目指しています。福岡工業大学 近木祐一郎教授「できるだけ早く開発して、センサーのネットワーク網を早急に構築し、潮位の測定精度・リアルタイム性を高めて、沿岸部に住んでいる人々の行動を変えていけるようなものを作っていくことが重要だと思っています」南海トラフ巨大地震による津波被害などへの懸念が高まる中、命を守る情報をどうやって多くの人に伝えていくのか。ハード・ソフトの両面での模索が続きます。オリジナル記事を読む https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1046836

http://www.nicovideo.jp/watch/so43511644