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<マル激・後半>【特別番組】あえて最悪のシナリオとその対処法を考える
出演:飯田哲也氏(NPO環境エネルギー政策研究所所長)、小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)、矢ヶ崎克馬氏(琉球大学名誉教授)、松井英介氏(元岐阜大学医学部助教授)、青木理(ジャーナリスト)、宮台真司(社会学者、首都大学東京教授)、神保哲生(ビデオニュース・ドットコム代表)
作業員が被曝し、タービン建屋内の水から通常の1万倍の放射能が検出されするなどの事態を受け、遂に原子力安全・保安院は25日、福島第一原発3号機で「原子炉のどこかが損傷している可能性が十分にある」ことを認めたが、実際は津波や相次ぐ爆発、海水注入や放水などの影響で、ほとんど全ての計器類が止まっているため、政府も東電も肝心の原子炉が現在どのような状態にあるのかを正確には把握できていないのが実情のようだ……。
不必要なパニックは避けなければならないことは言うまでもない。しかし、人体や環境に長期にわたり不可逆的かつ深刻な被害をもたらす原発事故は、予防原則の立場に立ち、常に「最悪の事態」を想定して対応する必要があることも事実だ。
そこで、今週のマル激では特別番組(無料生放送)として、ここまで確認された情報をもとに、あえて現在の原子炉がどのような状態にあり、そこから想定し得る「最悪の事態」は何なのかを、専門家らとともに検証する。また、そのような「最悪の事態」にどう対応すべきかについても、放射線の専門家らに意見を聞く。
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<マル激・後半>5金スペシャル あの政権交代は何だったのか
5回目の金曜日に特別企画を無料放送する5金スペシャル。総選挙公示直前の収録となった今回は、政治学者の中野晃一氏と民主党政策調査会長の細野豪志氏らをゲストに迎え、「あの政権交代は何だったのか」をテーマに3年前の政権交代の教訓とこれからの政治課題などについて議論した。
まず、第一部は「なぜ政権交代は失敗したのか」をテーマに、海外の政治事情に詳しい政治学者の中野晃一さんに、ジャーナリストの神保哲生が話を訊いた。
2009年総選挙での政権交代は、選挙によって有権者の意思が明確に示された結果の政権交代という意味で、日本の憲政史上においても画期的なできごとだった。しかし、海外の政治事情に詳しい中野氏は日本の政治体制が「自由民主主義」であることを指摘した上で、3年前の政権交代はそれまで自民党政権に固定化されてきた政治の「自由化」が進んだ結果ではあったが、十分な「民主化」が伴っていなかったのではないかと指摘する。憲政史上画期的なできごとが起きたにもかかわらず、政権交代の実現に喜んだ民衆が池に飛び込んだり、道端で一斉に車のクラクションを鳴らすようなシーンは終ぞ見られなかったからだ…。
今さら言うまでもないことだが、政権党として実績を残せなかった民主党の認識の甘さは厳しく批判されて当然だ。おそらく選挙でも厳しい審判が下ることになるだろう。しかし、同時にわれわれ日本人は、自由民主主義の「自由」の部分だけでなく、「民主」の部分も引き受けていく覚悟をしなければならないのではないか。3年前の政権交代で政治の「自由化」が進んでしまった今、「おまかせ」が続く限り日本の政治は民意に裏付けられた安定的な状態を取り戻すことはできないのではないか。中野氏と考えた。
続いて第二部では、民主党・政策調査会長の細野豪志氏を招き、社会学者の宮台真司も加わって、「政権交代失敗の教訓」をテーマに議論した。
民主党に対する失望は個々の政策の失敗もさることながら、「民主党はどれだけ社会を知っているのか、リアリティと価値を知っているのか分からない」(宮台)という有権者の不信・不安に大きな根本原因があるのではないか。政権を託すにあたって、民主党を「大人」として見て良いのか、という戸惑い、裏を返せば、民主党はまだまだ「子ども」ではないのか、というあきらめである…。
途中、湯浅誠氏(自立生活サポートセンター・もやい代表)、清水康之氏(自殺対策NPO・ライフリンク代表)の電話出演を交えながら、民主党の失敗の原因とその教訓を問い直し、政権の責任に正面から向き合う本物の政党が日本でも存在可能なのかを考えた。
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<マル激・後半>5金スペシャル映画特集・『鬼滅の刃』が突きつける人間の本来あるべき姿とは
月の5回目の金曜日に特別企画を無料でお届けする5金スペシャル。今回は定番になりつつある映画特集で、以下の4作品(関連を含めて7作品)をジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
・『鬼滅の刃 無限列車編』
・『TENET』(同作品との関連で『メメント』)
・『スパイの妻』(同作品との関連で『マリアンヌ』)
・『異端の鳥』
・『生きちゃった』(同作品との関連で『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』)
鬼滅の刃については、同作品がコロナ禍で苦境に陥っていた映画界にあって、空前とも呼ぶべき大ヒットとなり、大人も子供のこれを涙しながら見ている理由やその背景などに迫った。
TENETについてはこの作品のモチーフを正しく理解するためにはクリストファー・ノーランの初期の作品『メメント』を見ている必要があるため、『メメント』も取り上げて、この作品が「逆回しのフェチ」ノーランの長年の念願が成就したものであることなどを紹介した。
その他、黒沢清監督作品『スパイの妻』とロバート・ゼメキス監督、ブラッド・ピット、マリオン・コティヤール主演のスパイ映画『マリアンヌ』との対比や、チェコ・ウクライナ映画『異端の鳥』に描かれた美しい景色の中で生きる生身の人間の、まるで鬼のような残酷な本性、石井裕也監督作品『生きちゃった』とジェイク・ジレンホール、ナオミ・ワッツ、クリス・クーパー、ジュダ・ルイスらの豪華キャストでジャン=マルク・ヴァレ監督によって描かれた『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』が見せる、自分にとっての損得を前提にした行動しか取れなくなっている人間の悲しい姿などを議論した。
番組冒頭では直前に迫ったアメリカ大統領選挙の最新状況について、激戦州の動静と、実は今回、大統領選挙に匹敵するほど重要な意味を持つ上院議員選挙で民主党による過半数奪還のカギを握るノースカロライナ州のユニークな背景を持つ2候補の最新状況などを確認した。
【プロフィール】
宮台 真司 (みやだい しんじ)
東京都立大学教授/社会学者
1959年仙台生まれ。東京大学大学院博士課程修了。社会学博士。東京都立大学助教授、首都大学東京准教授を経て現職。専門は社会システム論。(博士論文は『権力の予期理論』。)著書に『日本の難点』、『14歳からの社会学』、『正義から享楽へ-映画は近代の幻を暴く-』、『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』、共著に『民主主義が一度もなかった国・日本』など。
神保 哲生 (じんぼう てつお)
ジャーナリスト/ビデオニュース・ドットコム代表 ・編集主幹
1961年東京生まれ。87年コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。クリスチャン・サイエンス・モニター、AP通信など米国報道機関の記者を経て99年ニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を開局し代表に就任。著書に『地雷リポート』、『ツバル 地球温暖化に沈む国』、『PC遠隔操作事件』、訳書に『食の終焉』、『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』など。
【ビデオニュース・ドットコムについて】
ビデオニュース・ドットコムは真に公共的な報道のためには広告に依存しない経営基盤が不可欠との考えから、会員の皆様よりいただく視聴料(月額500円+消費税)によって運営されているニュース専門インターネット放送局です。(www.videonews.com)
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(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・田代元検事の告発状の受理が意味すること
ゲスト: 八木啓代氏(健全な法治国家のために声をあげる市民の会代表)
・大飯原発は本当に「活断層なし」なのか
ゲスト: 渡辺満久氏(東洋大学社会学部教授)
・最高裁、婚外子相続差別に「違憲」の判断
なぜ立法府は自ら動こうとしないのか
<マル激・前半>5金スペシャル映画特集・映画が警告する相互不信が生む暴力
月の5回目の金曜日に神保哲生と宮台真司が特別企画を無料放送でお届けする5金スペシャル。今回も恒例となった映画特集をお送りする。
今回取り上げたのは、『福田村事件』(森達也監督)、『キリング・オブ・ケネス・チェンバレン』(デビッド・ミデル監督)、『サタデー・フィクション』(ロウ・イエ監督)の3作品。それに加えて、最近話題となったTBSドラマの『VIVANT』も論評した。
『福田村事件』は、関東大震災から100年の節目となる今年公開された、1923年9月6日に千葉県福田村で実際に起こった虐殺事件を描いたもので、マル激ではお馴染みのドキュメンタリスト森達也氏による初の劇映画。事件そのものは香川から来た行商人9人が村人によって虐殺された事件だが、関東大震災の混乱の中では、井戸に毒を入れたのではないかなどのデマによって数千人の朝鮮人が虐殺された。その中で、福田村のように朝鮮人と間違われて殺された日本人もいた。大震災によって秩序が崩壊した地域に住む日本人の間では、朝鮮併合以降朝鮮人たちを侮蔑し差別してきたことの仕返しに、震災の混乱の中で朝鮮人が日本人を攻撃してくるのではないかというパラノイアが蔓延したという。この映画では集団的パラノイアが暴走し始めたとき、どのような悲惨なことが起き得るかが克明に描かれている。
『キリング・オブ・ケネス・チェンバレン』も、実際に2011年に起きた白人警察官による黒人殺害事件を描いた作品だ。心臓病と双極性障害をもつケネス・チェンバレンは、医療用の通報装置を誤作動させてしまう。安否確認にやってきた警官に間違いだと伝えても信じてもらえず、不信感を抱いた警官がついにアパートのドアを壊してまで突入し、その勢いでケネスを射殺してしまうという悲惨な事件だ。黒人のケネスはドア越しに複数の白人警官の姿を見たとき、白人に対する不信感から何があっても彼らをアパートに入れてはならないと考えた。その一方で、黒人といえば犯罪に関わっているに違いないという先入観に強く毒されている白人警官たちは、頑なにドアを開けようとしないケネスに対して、誰か監禁しているのではないかとか、違法な物を隠し持っているのではないかといった不信感を抱く。ドア越しにお互いに対する不信感が増幅する中で、最後は警察官の実力行使が悲劇的な結末を迎える。心に闇を持つケネスが感じた恐怖と次第に行動をエスカレートさせていく警官側の行動の異常さが、息つく暇もないほどの緊迫感で描かれているが、やはりこの作品でも集団的パラノイアの怖さが強調されている。
『サタデー・フィクション』はロウ・イエによる2019年の作品。日本による真珠湾攻撃の1週間前、当時「魔都」と呼ばれた上海の外国人租界を舞台に、日本の攻撃目標を探り当てたい連合国側の諜報員と、むしろ日本がアメリカの奇襲攻撃に成功することでアメリカを戦争に引っ張り込みたい中国の国民党、共産党両政府のスパイ、そして高度な暗号を使って日本軍の計画を軍関係者に周知させようとする日本軍の情報将校との間で繰り広げられる謀略が巧みに描かれている。昔からの仲間たちがそれぞれ異なる勢力によってリクルーティングされた結果、誰が誰のために働いているのかが誰にもわからないという異常な空気感の中、お互いに対する疑心暗鬼はやはりこの映画でも悲惨な結末を迎える。女優にしてフランスのスパイ役を演じたコン・リーの熱演が光る。日本では11月3日から公開予定だ。
番組の最後に、番外編としてTBSドラマ『VIVANT』を取り上げた。ドラマでは、警視庁公安部と陸上自衛隊の秘密組織とされる「別班」が、人知れずテロから国を守るために活動しているというストーリーで、国家への忠誠心と使命感に溢れる自衛隊の別班メンバーと公安警察が歴史の裏側で大活躍をしているという設定になっている。ドラマ自体は面白く、非常に完成度も高いものだが、現実の社会では真反対のことが起きている点が少し気がかりだ。
現実の社会では、公安警察は活躍の場面がなく予算や人員を減らされることへの焦りから、中国への輸出が禁止されている機械を販売したとの嫌疑を無理やり作り上げ、大川原化工機の社長らを逮捕した。そこから先はいつもの人質司法によって被疑者を長期勾留することで無理やり自白に追い込み、実際にはありもしない事件をでっち上げようとしたが失敗。最後は起訴の取り下げに追い込まれるという醜態を演じたばかりだ。
また、一方の自衛隊は入隊希望者が集まらず定員割れが続く中、女性自衛官に対するセクハラ裁判が世間の耳目を集めるという体たらくだ。そうした現実を前に、自衛隊の秘密部隊や公安警察のエリートたちが陰ながら日本を支えているという舞台設定は、「こうであったらいいのに」という希望や期待を描いたものと見ることもできなくはないが、それにしてもあまりにも大きな現実とのギャップはブラックユーモアの感さえ否めない。むしろ日本の問題は、実際に日本が直面している問題は山積していながら、それをテーマにしたドラマがほとんど見当たらないところではないか。現実とは真反対といっていい設定のドラマが人気を博することこそが、今の日本のやばさを反映しているのかもしれない。
なお、番組冒頭では、日本代表が10月8日に決勝ラウンド進出をかけてアルゼンチンとの決戦にのぞむラグビーワールドカップの見どころと、10月1日から始まるインボイス制度の問題点についても触れた。インボイス制度については、制度の妥当性を論じる前に、まずは嘘に嘘を塗り重ねてきた消費税という制度の本質を理解することが何よりも重要なのではないだろうか。中曽根政権下の1987年、売上税とともに税額が明記された「税額票」制度の導入に失敗して以来、税額票が名前を変えただけの「インボイス」の導入は財務省にとっては36年来の野望だった。そもそも売上税を消費税と名前を変えるだけでその導入に成功し、今また税額票をインボイスと名称変更することで、制度化を強行しようとしている。制度自体に賛成でも反対でも、言霊を利用したその騙しのテクニックだけは、市民一人ひとりが正しく受け止めておく必要があるだろう。
後半はこちら→so42829657
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・一票の格差・最高裁の「違憲状態」判決が意味するもの
ゲスト:升永英俊氏(弁護士・一人一票訴訟代理人)
・秘密保護法案続報
修正協議という名の茶番
・神保哲生のフィリピン・レイテ島報告
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・特定秘密保護法
西山太吉がわれわれに残した宿題と政治家の問題意識を問う
西山太吉氏(元毎日新聞記者)、町村信孝氏(党PT座長)、海渡雄一氏(弁護士)
・山本太郎議員の手紙問題
現政権に「天皇の政治利用」を批判する資格があるか
<マル激・前半>5金スペシャル映画特集+α ・ジャニーズを「サンクチュアリ」(聖域)化し、ジャニー喜多川を「怪物」にしたものとは/松谷創一郞氏(ジャーナリスト)
その月の5回目の金曜日に特別企画を無料でお送りする5金スペシャル。
3月以来3ヶ月ぶりとなる今回は、映画や芸能に詳しいジャーナリストの松谷創一郞氏をゲストに招き、5金恒例となった映画特集とジャニーズ性加害問題のダブルタイトルをお送りする。
取り上げる映画はずばり、現在ネットフリックスで配信中の『サンクチュアリ-聖域-』とカンヌでも話題となった是枝作品『怪物』の2つ。そして、それと同時に、ジャニーズ事務所の性加害問題とその背景にある日本の芸能界やスポーツ界に蔓延る人権無視の前時代的な風土とそれに平然と乗っかって商売をし続けるメディアの責任などを議論した。
BBCのドキュメンタリーをきっかけに表面化したジャニーズ事務所の性加害問題は、元ジャニーズ事務所社長の故ジャニー喜多川氏(本名・喜多川擴=2019年7月9日死去)が長年にわたりデビュー前の所属レッスン生(ジャニーズジュニア)に性的行為を繰り返していたというもの。本人が亡くなっていることもあり、また事件の内容から被害者にとっても被害を名乗り出ることに相当なリスクが伴うことから、未だ全貌は明らかになっていないが、被害者は数百人単位にのぼるともいわれ、しかもその大半が未成年だったという、前代未聞のセクハラ事件だ。
それにしてもなぜジャニーズ事務所が芸能界の中で「最大手にして異端」(松谷氏)という特異な地位を維持し、その中でジャニー氏による性加害が何十年にもわたり放置されてきたのだろうか。ジャニー氏によるセクハラ行為の噂はかなり以前から芸能界はもとよりその外にも漏れ伝わっており、ジャニーズ事務所と週刊文春との間で争われた名誉毀損裁判では、2004年に最高裁までがジャニー氏による性加害報道の「真実性」を認定していた。
松谷氏はジャニーズ事務所は時にはタレント引き上げや共演NGなどの間接的手法を使い、また時にはジャニー氏の姉でジャニーズ事務所名誉会長だった故メリー喜多川氏(本名・藤島メリー泰子=2021年8月14日死去)による強権的な手法を使ってメディアに圧力をかけることにより、ジャニーズ事務所を退所したタレントが芸能活動を継続することが困難になるような状況を作り出していたと指摘する。実際、2016年のSMAPの解散・独立騒ぎの後、ジャニーズ事務所を退所した香取慎吾、草彅剛、稲垣吾郎の3人は、それまで毎日のように出ていたテレビへの出演がぱったりなくなっていた。これは最終的には2019年にジャニーズ事務所が公正取引委員会から注意を受けている。
実はジャニーズ事務所は単に事務所を退所したタレントに対してだけでなく、ジャニーズ所属のタレントと競合する他事務所のタレントに対しても、同様の手法を使ってメディアに圧力をかけていたという。松谷氏によると、例えば沖縄出身のダンス・ボーカルグループDA PUMPはそれが理由で長らくテレビの音楽番組には出られない状況が続いていたそうだ。
公取から注意が出されたように、事務所をやめた人間がその業界で働けなくなるように圧力をかけるような行為は品位に欠けるばかりでなく、公正な競争を阻害するとして独占禁止法にも触れる。特にジャニーズ事務所は自らの影響力をそのような形であからさまに行使してきたとみられるが、ジャニーズ事務所以外でも芸能界では事務所を抜けたタレントがその後、長らく干されるというようなことは、これまで幾度となく繰り返されてきた。時にそれは露骨な圧力であったかもしれないし、また時にそれはメディア側の忖度によるものだったかもしれないが、いずれにしても事務所をやめたらその業界にいられなくなるというような慣習が放置されれば、事務所から嫌な行為を強要されたり無理難題をふっかけられても、タレントはそれを甘受せざるを得なくなる。
いやこのような慣習は芸能界だけでなく、スポーツ界にも蔓延る。ラグビーのトップリーグではつい数年前まで、選手の引き抜きを防ぐために、所属チームの承諾なくチームを移籍した選手は新しいチームで1年間試合に出さないというカルテルが存在していたし、プロ野球界にも日本でドラフトを拒否して他国に渡った選手は日本帰国後一定期間プレーできなくする「田沢ルール」なるものが存在していた。これらはそもそも職業選択の自由を奪う制度であると同時に、いずれも公正な競争を阻害するカルテルとして他の業界では禁止された独禁法違反に問われるものだが、日本では芸能やスポーツは社会的にも特別視されていたり、メディアと業界が一体化しているためにそうした問題が十分に批判に晒されなかったりしたために、そのような前時代的な制度や慣習が当たり前のように続いていた。
結局、昨今のジャニーズ問題も、そもそも社内で絶対的な権力を持つジャニー氏の逆鱗に触れれば、タレントとしてデビューするチャンスが潰えてしまうという恐れがあり、また性加害行為を嫌悪して事務所を退所しようものなら、少なくとも日本の芸能界で生きていくことがほとんど不可能になるという状況の下で、日々被害に晒されてきた練習生たちにとっての選択肢はジャニー氏のセクハラ行為を甘受するか、もしくはタレントになる夢を諦めるかの二択だったことになる。
その意味で今回の事件はまず事実関係を明らかにすることが必要だが、その上で、加害者側のジャニーズ事務所に然るべき責任を取らせると同時に、そのような事態を招いた業界の体質などにもきちんとメスを入れ、うみを出すことが必要ではないか。
日本の芸能界を長く取材し、日本の音楽産業や映画産業が直面する課題などを指摘している松谷創一郎氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
また、番組の後半では、前半のジャニーズ問題を引き継ぐ形で、映画『怪物』と『サンクチュアリ』を取り上げ、われわれの社会が共通のプラットフォームを失ったことにより、見る者の視座によって普通の人間が怪物に見えてしまう社会の構造の変化や、法と掟の違い、掟の世界が消えることでわれわれの社会の何が変わるのかなどを議論した。
後半はこちら→so42427115
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・国連総会演説
暴走アメリカを諫めるブラジルとそれを持ち上げる日本
・柏崎刈羽原発の再稼働申請を条件付きで承認した知事の真意とは
・大阪地検大坪元特捜部長ら二審も有罪
検察組織の病理を個人に押しつける判決
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・特捜検事は「認めるのと認めないのとどっちが得だと思うのか」と私に言い放った
ゲスト:片山祐輔氏(遠隔操作ウイルス事件被告)、佐藤博史氏(片山氏弁護人)
<マル激・後半>5金スペシャル映画特集+α ・ジャニーズを「サンクチュアリ」(聖域)化し、ジャニー喜多川を「怪物」にしたものとは/松谷創一郞氏(ジャーナリスト)
その月の5回目の金曜日に特別企画を無料でお送りする5金スペシャル。
3月以来3ヶ月ぶりとなる今回は、映画や芸能に詳しいジャーナリストの松谷創一郞氏をゲストに招き、5金恒例となった映画特集とジャニーズ性加害問題のダブルタイトルをお送りする。
取り上げる映画はずばり、現在ネットフリックスで配信中の『サンクチュアリ-聖域-』とカンヌでも話題となった是枝作品『怪物』の2つ。そして、それと同時に、ジャニーズ事務所の性加害問題とその背景にある日本の芸能界やスポーツ界に蔓延る人権無視の前時代的な風土とそれに平然と乗っかって商売をし続けるメディアの責任などを議論した。
BBCのドキュメンタリーをきっかけに表面化したジャニーズ事務所の性加害問題は、元ジャニーズ事務所社長の故ジャニー喜多川氏(本名・喜多川擴=2019年7月9日死去)が長年にわたりデビュー前の所属レッスン生(ジャニーズジュニア)に性的行為を繰り返していたというもの。本人が亡くなっていることもあり、また事件の内容から被害者にとっても被害を名乗り出ることに相当なリスクが伴うことから、未だ全貌は明らかになっていないが、被害者は数百人単位にのぼるともいわれ、しかもその大半が未成年だったという、前代未聞のセクハラ事件だ。
それにしてもなぜジャニーズ事務所が芸能界の中で「最大手にして異端」(松谷氏)という特異な地位を維持し、その中でジャニー氏による性加害が何十年にもわたり放置されてきたのだろうか。ジャニー氏によるセクハラ行為の噂はかなり以前から芸能界はもとよりその外にも漏れ伝わっており、ジャニーズ事務所と週刊文春との間で争われた名誉毀損裁判では、2004年に最高裁までがジャニー氏による性加害報道の「真実性」を認定していた。
松谷氏はジャニーズ事務所は時にはタレント引き上げや共演NGなどの間接的手法を使い、また時にはジャニー氏の姉でジャニーズ事務所名誉会長だった故メリー喜多川氏(本名・藤島メリー泰子=2021年8月14日死去)による強権的な手法を使ってメディアに圧力をかけることにより、ジャニーズ事務所を退所したタレントが芸能活動を継続することが困難になるような状況を作り出していたと指摘する。実際、2016年のSMAPの解散・独立騒ぎの後、ジャニーズ事務所を退所した香取慎吾、草彅剛、稲垣吾郎の3人は、それまで毎日のように出ていたテレビへの出演がぱったりなくなっていた。これは最終的には2019年にジャニーズ事務所が公正取引委員会から注意を受けている。
実はジャニーズ事務所は単に事務所を退所したタレントに対してだけでなく、ジャニーズ所属のタレントと競合する他事務所のタレントに対しても、同様の手法を使ってメディアに圧力をかけていたという。松谷氏によると、例えば沖縄出身のダンス・ボーカルグループDA PUMPはそれが理由で長らくテレビの音楽番組には出られない状況が続いていたそうだ。
公取から注意が出されたように、事務所をやめた人間がその業界で働けなくなるように圧力をかけるような行為は品位に欠けるばかりでなく、公正な競争を阻害するとして独占禁止法にも触れる。特にジャニーズ事務所は自らの影響力をそのような形であからさまに行使してきたとみられるが、ジャニーズ事務所以外でも芸能界では事務所を抜けたタレントがその後、長らく干されるというようなことは、これまで幾度となく繰り返されてきた。時にそれは露骨な圧力であったかもしれないし、また時にそれはメディア側の忖度によるものだったかもしれないが、いずれにしても事務所をやめたらその業界にいられなくなるというような慣習が放置されれば、事務所から嫌な行為を強要されたり無理難題をふっかけられても、タレントはそれを甘受せざるを得なくなる。
いやこのような慣習は芸能界だけでなく、スポーツ界にも蔓延る。ラグビーのトップリーグではつい数年前まで、選手の引き抜きを防ぐために、所属チームの承諾なくチームを移籍した選手は新しいチームで1年間試合に出さないというカルテルが存在していたし、プロ野球界にも日本でドラフトを拒否して他国に渡った選手は日本帰国後一定期間プレーできなくする「田沢ルール」なるものが存在していた。これらはそもそも職業選択の自由を奪う制度であると同時に、いずれも公正な競争を阻害するカルテルとして他の業界では禁止された独禁法違反に問われるものだが、日本では芸能やスポーツは社会的にも特別視されていたり、メディアと業界が一体化しているためにそうした問題が十分に批判に晒されなかったりしたために、そのような前時代的な制度や慣習が当たり前のように続いていた。
結局、昨今のジャニーズ問題も、そもそも社内で絶対的な権力を持つジャニー氏の逆鱗に触れれば、タレントとしてデビューするチャンスが潰えてしまうという恐れがあり、また性加害行為を嫌悪して事務所を退所しようものなら、少なくとも日本の芸能界で生きていくことがほとんど不可能になるという状況の下で、日々被害に晒されてきた練習生たちにとっての選択肢はジャニー氏のセクハラ行為を甘受するか、もしくはタレントになる夢を諦めるかの二択だったことになる。
その意味で今回の事件はまず事実関係を明らかにすることが必要だが、その上で、加害者側のジャニーズ事務所に然るべき責任を取らせると同時に、そのような事態を招いた業界の体質などにもきちんとメスを入れ、うみを出すことが必要ではないか。
日本の芸能界を長く取材し、日本の音楽産業や映画産業が直面する課題などを指摘している松谷創一郎氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
また、番組の後半では、前半のジャニーズ問題を引き継ぐ形で、映画『怪物』と『サンクチュアリ』を取り上げ、われわれの社会が共通のプラットフォームを失ったことにより、見る者の視座によって普通の人間が怪物に見えてしまう社会の構造の変化や、法と掟の違い、掟の世界が消えることでわれわれの社会の何が変わるのかなどを議論した。
前半はこちら→so42427118
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臓器移植法に改正が必要な理由
詳しくは ビデオニュース・ドットコム http://www.videonews.com/ (公式HPにて無料放送中です。)
<マル激・前半>5金スペシャル・秘密保護法が露わにした日本の未熟な民主主義とアメリカへの隷属
5回目の金曜日に特別企画を無料放送する恒例の5金スペシャル。特定秘密保護法案の国会審議が佳境を迎えるなかでお送りする今回は、法案をめぐる一連の議論が露わにした日本の課題を再考した上で、国家機密にまつわる映画を通して秘密法制と民主主義の関係を議論した。
秘密保護法案については、秘密指定権限が明確に決められていないことからくる濫用のリスクや外部チェック不在の問題など多くの課題が指摘されている。秘密法制は一旦施行されてしまえば濫用や問題点が外から見えなくなる特性があるため、制度設計には十分過ぎるほどの慎重さが求められるのは言うまでもない。しかし、安倍政権は11月26日に特定秘密保護法案の衆院通過を強行し、参院では僅か1週間あまりの審議で、何が何でも同法案を12月6日の会期末までに成立させるつもりのようだ。
政府が保有する情報の中で、国の安全保障に関わる情報の中にはどうしても一定期間秘密にしなければならないものがある事は理解できる。また、法律によって明確に秘密が定義されていないために政府が裁量で自由に秘密指定をしている現状も、決して望ましい状態とは言えない。特定秘密保護法はやり方次第では、政府が秘密に指定できる権限を明確に定義することで、保護されるべき秘密は保護しつつも、これまでのような無節操な秘密指定権限の濫用を防ぐ効果が期待できる、市民社会にとっても歓迎すべき法制度になるはずのものだった。
ところが、政府から出てきた法案はまったく逆行していた。政府の秘密指定権限を事実上無制限に拡大し、しかも権限の濫用を外部からチェックする機能も盛り込まれていない。民主主義の国としては到底受け入れられない恥ずかしい内容の法案だった。…
番組前半では、ここまでビデオニュースが行ってきた取材、関係者へのインタビュー、講演の映像を交えながら、特定秘密保護法案の仕組みや問題点などを改めて再確認した。
そして番組後半では、映画『密約 外務省機密漏洩事件』に描かれた沖縄返還をめぐる日米密約問題と、国家機密だったアメリカの対ベトナム政策の報告書がニューヨークタイムズにすっぱ抜かれた「ペンタゴン・ペーパー事件」を題材としたアメリカ映画『The Pentagon Papers』を取り上げ、国家秘密が暴かれた後の日米両国の反応の違いなどを議論した。
ペンタゴンペーパーの内容が報じられ、ベトナム戦争の実態や政府の嘘が露呈したアメリカでは、歴代政権の対ベトナム政策が批判に晒され、インドシナからの撤退へとつながっていった。機密文書の公開という国益を損ねかねない行動が、「国益」の意味を変えてしまったからだった。一方、日本では毎日新聞の西山太吉記者が国家的な陰謀と言っても過言ではない日米密約の存在を暴いたにもかかわらず、西山氏の取材手法ばかりに批判が集中し、政府が国民を欺いていたという事実はほとんど問題とならなかった。この違いはどこから来るものなのか。
秘密保護法制をめぐる一連の議論を通じて見えてきた日本の政治と社会の現状を、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
今週は5金(その月の5回目の金曜日)に当たるため、恒例通り特別番組を無料で放送します。ニュース・コメンタリーはお休みします。
後半はこちら→so22361237
<マル激・後半>5金スペシャル映画特集・ロクでもない世界の現実を映画はどう描いているか
その月の5回目の金曜日に特別企画を無料でお送りする5金スペシャル。6月以来の3か月ぶりとなる今回は、前半で解散総選挙や民進党の事実上の解党に揺れる政局を議論し、後半にこのロクでもない世界を描いた映画を5作品取り上げた。
前半は民進の希望合流でポッカリと空いた穴は誰が埋めるのかについて議論した。今回は政治の立ち位置を縦軸に自由と再配分を上下に、横軸には市民参加と権威主義を左右に配置したマトリックスを描いた上で、その4象限の上で民進党の希望の党への合流がどこからどこへの移動を意味するかなどについて考えた。
これは世界的な潮流でもあるが、日本の政治もいよいよ、再配分をしない権威主義、すなわち上記の4象限の右上の象限に政治勢力が固まってきてしまったようだ。問題は元々左下、すなわち再配分と市民による参加主義を謳ってきた民進党が、自民党と同じ右上に位置する希望の党に吸収されることで、左下、すなわち弱者への再配分を主張し、何事も政府主導で決めるのではなく、市民参加を促す象限に位置する政治勢力が事実上いなくなってしまうことだ。辛うじて社民党と自由党がそのような主張をしているが、如何せん政治勢力としては弱小すぎる。
ちなみに自民党はかつては再分配を謳う権威主義政党だったが、小泉改革以降は小さな政府を謳い再分配に消極的な権威主義という意味で、右下から右上に移動している。また、共産党は再分配は主張するが、横軸では権威主義側に位置付けられる。左上の政府の権威も認めず、再分配も求めない象限はリバタリアンとなる。
民進党の希望への事実上の吸収合併は、左下のいわゆるリベラル勢力と呼ばれる勢力が日本の政治から消えることを意味する。これは日本の政治にどのような影響を与えることになるかをジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
後半は、ロクでもない世界を独自の視点から描いた「サーミの血」「エル ELLE」「三度目の殺人」「砂上の法廷」「散歩する侵略者」の5つの映画作品を取り上げた。
前半はこちら→so32014524
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・前半>日本の何が揺らいでいるのか
今週のマル激は、被災地を取材中の神保哲生に代わり青木理と宮台真司が司会を務め、前半は識者の電話出演を交えた福島原発事故の解説、後半は神保の被災地現地報告の二部に分け、東北関東大震災の最新情報を18日22:50より生放送でお伝えした。
原子力工学、原子力政策に詳しいNPO環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏は、使用済み燃料を水中に沈めるのが肝心であり、自衛隊の放水は外から水を掛けるだけのため、「壮大な焼け石に水作戦」で茶番だと言う……。
前福島県知事の佐藤栄佐久氏は、地震・津波による被害は天災としか言いようがないが、原発事故は「人災」だと断じる。
後半はこちら→so13898057
<マル激・前半>5金スペシャル・絶望と感動のマル激20年史 これからも種を撒き続けます
まだ日本でブロードバンド・サービスが始まる前の2001年2月、「インターネットで動画配信など無理」という周囲の反対を押し切る形で放送を開始した「神保・宮台のマル激トーク・オン・ディマンド」が、今日、第999回目の放送を迎えた。
時はまだ自民党の森喜朗政権。正式な番組名も決めずに暗中模索の中、それまで既存メディアの専売特許だった報道という大海原に漕ぎ出した日本初のインターネット報道番組はその後、アメリカの9・11同時テロと対テロ戦争、小泉構造改革、リーマンショック、鳩山民主党政権とオバマ政権の誕生、そして3・11と原発事故、安倍政権とトランプ政権とブレクジット、そして新型コロナへと続くまさに激動の20年を駆け抜けてきた。
毎週1回、20年間、一度たりとも休むことなく何とかここまで続けてこれたのは、既存メディアに限界を覚え、放送免許や記者クラブなどの既得権益に縛られない新しいメディアを志し、広告に依存しないというわれわれの趣旨に賛同していただいた有料会員の方々の支えの賜物以外の何物でもないが、1000回やってもまだまだ当初の目標には遠く及ばない。実感としてはようやく2合目を通過したかどうかというところだろうか。
今回の番組では、松沢哲郎氏(京都大学霊長類研究所教授・第595回 2012年9月8日「チンパンジーが教えてくれた−希望こそ人間の証」)、矢作直樹氏(東大病院救急部・集中治療部部長・第646回 2013年8月31日「霊魂と肉体: あの世とこの世を分かつもの」)、岸見一郎氏(哲学者・第680回 2014年4月26日「あなたが変われないのは実は変わりたくないから?!」)、内山節氏(哲学者・第822回 2017年1月7日「座席争いからの離脱のすすめ」などの名場面をあらためて振り返り、それらの番組を通してわれわれ自身が学んだことなどを再度確認した。・・・
5金で第999回目となる今週のマル激は神保哲生と宮台真司が過去の放送の名場面集とともに当時を振り返りながら、これからの日本と世界とマル激の課題を議論した。
後半はこちら→so36950072
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・年金業務監視委員会を廃止して日本の年金は本当に大丈夫なのか
ゲスト:郷原信郎氏(弁護士・年金業務監視委員会委員長)
・袴田事件再審決定
捜査情報を垂れ流したメディアに警察・検察を批判する資格があるか
・最高裁は捜査官のリークを肯定するのか
弘中惇一郎氏(弁護士・村木厚子氏リーク裁判代理人)
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・東京都知事選 ‘14
脱原発候補の一本化を断念
・メディアの危機
佐村河内代作問題と明日ママ改編問題の論点
<マル激・前半>5金スペシャル映画特集・救いようのないこの世界に映画が一筋の光明を見出し始めたわけ
月の5回目の金曜日に無料で特別企画をお送りするマル激恒例の5金スペシャル。今回も昨年11月の前回に続き、映画特集をお送りする。
今回扱う映画は「リチャード・ジュエル」、「ダークウォーターズ」、「ザ・ディスカバリー」、「アザーライフ」、「アンダン」、「リメインダー」、「オーロラの彼方へ」、「トータル・リコール」、「レディ・プレイヤー1」、「アバウト・タイム」、「ブレインストーム」の、何と11本。
最初の2本は悪と戦う弁護士が大活躍する古典的な社会派ヒーロー譚だ。2019年にアメリカで公開された「リチャード・ジュエル」は現在日本でも劇場公開中。「ダークウォーターズ」も2019年末にアメリカで公開され、今、話題を呼んでいる作品だが、日本ではまだ未公開だ。確かにこの2本は社会派映画の定番と言っていい、弱者に寄り添う弁護士が社会悪と戦い最後に勝利を収めるという筋書きだが、しかし実際に映画を見た後で受ける印象はもう少し複雑だ。少なくとも勧善懲悪が実現し、溜飲を下げるという雰囲気にはならない。もっともリチャード・ジュエルのクリント・イーストウッドやダークウォーターズのトッド・ヘインズといった社会派にして一癖も二癖もある名匠が、社会を善と悪に単純に分けて、最後は善が勝つような水戸黄門的な映画を今さら作るとはとても思えないが、では彼らは何を描きたくてこのような社会派ヒーロー譚の定番とも言うべき題材を選んだのだろうか。
そこに描かれている社会や人間に対する深い洞察や葛藤は、実際に劇場で映画を見て、個々人が自分自身と対話をすることによってのみ分かってくるものだ。強いて制作者のメッセージを深読みすれば、「汝自身の心の声を聞け」ということになるだろうか。少なくともこの2本は、昨今流行の敵味方の単純図式の中で自分を安全なところに置いたまま、最後は善が勝ち皆が溜飲を下げるというような安っぽい社会派ヒーロー譚として見てしまうと、制作者の意図の半分も伝わらないのではないか。
とは言え、映画の中に描かれている、政府や大企業などの権力の暴走の危険性や、商業主義に毒されたメディアの問題点などは、今の日本にも当てはまるところが大いにあり、それだけでも十分に見る価値のある作品にはなっている。・・・
今週の5金マル激スペシャルでは、世界が堕ちるところまで堕ちると、映画が社会の先陣を切って、そこから再び這い上がるための糸口やきっかけ探しを本気で始めているのではないかという仮説のもとで、異色の11作品を取り上げながら、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
後半はこちら→so36305074
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
【5金スペシャル映画特集Part1】 救いようのないこの世界に映画が一筋の光明を見出し始めたわけ
マル激トーク・オン・ディマンド 第982回(2020年2月1日)
救いようのないこの世界に映画が一筋の光明を見出し始めたわけ
月の5回目の金曜日に無料で特別企画をお送りするマル激恒例の5金スペシャル。今回も昨年11月の前回に続き、映画特集をお送りする。
今回扱う映画は「リチャード・ジュエル」、「ダークウォーターズ」、「ザ・ディスカバリー」、「アザーライフ」、「アンダン」、「リメインダー」、「オーロラの彼方へ」、「トータル・リコール」、「レディ・プレイヤー1」、「アバウト・タイム」、「ブレインストーム」の、何と11本。
(中略)
今週の5金マル激スペシャルでは、世界が堕ちるところまで堕ちると、映画が社会の先陣を切って、そこから再び這い上がるための糸口やきっかけ探しを本気で始めているのではないかという仮説のもとで、異色の11作品を取り上げながら、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・平均値ではなく個々のリスクを正しく評価すべき
『チェルノブイリ被害の全貌』著者ヤブロコフ博士講演
・TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会
全産業で10.5兆円生産減少と試算
・遠隔操作ウィルス事件・続報
被告弁護人が「見込み起訴」に強い怒り
・児童ポルノ禁止法改正案
「単純所持」を違法化することの意味とリスク
<マル激・前半>5金スペシャル映画特集・つながれなくなった世界で出会いを描いた映画が輝く
月の5回目の金曜日に普段とはひと味違う特別企画を無料放送でお届けする5金スペシャルは、今回も恒例となった映画特集をお送りする。
今回取り上げた映画は
①「秘密の森の、その向こう」(セリーヌ・シアマ監督)
②「LOVE LIFE」(深田晃司監督)
③「糸」(瀬々敬久監督)
④「NOPE」(ジョーダン・ピール監督)
⑤「REVOLUTION+1」(足立正生監督)
の5作品。いずれも「出会い」や「見る・見られる」をテーマに、人と人との出会いや、人と人がつながり合うことの難しさとその貴さが描かれている秀作だ。
なお、番組冒頭では、9月27日の安倍晋三元首相の国葬儀を会場内で取材した神保哲生による報告と、末尾に安倍政権下で7年ぶりに質問の機会を与えられた神保哲生が、安倍氏と3度にわたり事前に取りまとめられていないガチンコ質問をぶつけた際のやりとりを収蔵した。
容赦なくメディアに介入し、記者会見でも記者クラブ加盟社にはすべて質問を事前に提出させた上で、官邸官僚が用意した答えを総理がもっともらしく読むことにより、国会と並び国民が政権を判断する希少な機会である総理会見を完全に形骸化・セレモニー化させてしまったのも安倍政権の大きな特徴だったことは間違いないが、と同時に政権の終盤ではフリーランスやネットメディアにも事前提出のない質問の機会を与え、自分自身の言葉で答えようと努めていたのもまた安倍氏だった。元首相追悼の意味を込めて、これをここに記録と記憶にとどめておきたい。
後半はこちら→so41160733
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・3・11後の世界の共感を台無しにした日本のヘイトスピーチ
・遠隔操作ウィルス事件続報
検察の証拠には「拍子抜けするほど中身がなかった」
遠隔操作ウィルス事件・佐藤博史弁護士記者会見
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・石破・中谷発言に見る
特定秘密保護法で報道を封じることが可能論の根拠
・生活保護法の改正は国のカタチに関わる重大問題
・マディーバ(ネルソン・マンデラ)の真の追悼とは
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・特定秘密保護法案が通った今、われわれに何ができるか
・成立した「国のカタチ」を問う法案の背後に民意はあるか
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・「田代不起訴」に見る日本の病理
・福島第一原発汚染水流出問題
報告:木野龍逸氏(ライター)
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・沖縄密約情報公開請求訴訟最高裁判決
「なくしたので出せません」で本当にいいのか
ゲスト:木村草太氏(首都大学東京都市教養学部准教授)
・国会質問で見えてきた集団的自衛権論争の核心部分
ゲスト:木村草太氏(首都大学東京都市教養学部准教授)
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・遠隔操作ウィルス事件続報
犯人性の証明ないまま検察が捜査終結を宣言
・報道目的の不法行為はどこまで許されるか
・日本の政府教育支出は依然先進国で最低
<マル激>今週のニュース・コメンタリー
・日本はどこに向かっているのか
ゲスト:鈴木邦男氏(一水会顧問)、萱野稔人氏(津田塾大学学芸学部准教授)
<マル激>もう沖縄は騙されない 普天間移設問題の真相/真喜志好一氏
沖縄本島北部の東村高江で進められている米軍ヘリパッド建設。その中に新鋭機オスプレイの配備計画があることを突き止めた真喜志氏に、普天間移設問題に隠された米軍基地再編の真相を聞く。