キーワード AFTER が含まれる動画 : 24193 件中 24193 - 24193 件目
種類:
- タグ
- キーワード
対象:
アルダムとイブエル - 楽園追放(天国にいるらしいAfter Story, Secret Ver.)(feat, ONE)
ニコニコ限定で公開します。
『アルダムとイブエル』第一シーズン、楽園追放編・最終幕
完璧な天国には、涙も、未練も、汚れもない。そこはただ穏やかな光だけが満ちる、完全無欠の平穏だった。 しかし、アルダムの魂だけが、その光の中で激しく煤けていた。 遥か下界、イブエルが佇むあの駅のホーム。花火に手を伸ばしながら、その綺麗な横顔を涙で濡らしている彼女の姿を見た瞬間、アルダムの胸の奥で、天国にあるはずのない「激しい痛み」が爆発したからだ。 「彼女を泣かせてしまった。僕の絶望のせいで。僕の身勝手な最期のせいで」 アルダムが頭を抱え、天国の床に涙を落としたその時、アルダムの脳裏に強烈な記憶の断片がフラッシュバックする。 それは、二人が出会った最初の夏。 部活の帰り道、燃えるような夕暮れの中で、誰の物でもない木に実っていた果実を、悪戯っぽく笑いながら二人で分け合ってかじりついた、あの懐かしい一瞬。 喉を潤したあの甘酸っぱい果汁の味が、今、天国のアルダムの舌の上に、鮮烈な「後悔の苦み」として蘇る。 あの時、あの果実を口にした瞬間から、自分は彼女のいない世界では生きられない人間になっていたのだと、彼は今更になって思い知る。 完璧な調和の中に、あってはならない「泥臭い後悔」という異分子が混入した瞬間、世界の秩序が微かに軋んだ。 その拒絶反応のような静寂の中で、神の、冷徹でありながらどこか哀れむような声が響く。 「完璧な天国において、その『美しい後悔』はあまりにも異質だ。お前が食べた知恵の果実の毒(愛の苦しみ)は、まだ消えていなかったのだな。その痛みを精算してくるがいい」 神の言葉が終わると同時に、アルダムの足元の光が、ガラスのようにパリンと割れた。 天国からの二度目の、あるいは特例としての「失楽園」。 重力に引かれるように、アルダムの魂は濁流のような速度で現世の因果へと堕ちていく。耳元を切り裂くのは、あの忌まわしい電車の制動音ではない。イブエルが手を伸ばしている、花火の爆音だ。 視界が激しい光に包まれ、次の瞬間、アルダムの足は「あの駅のホーム」のコンクリートを確かに捉えていた。 蒸し暑い夏の夜の匂い。 火薬の煙。 傷だらけの踏切。 そして目の前には、最初の夏に果実を分け合ったあの頃と変わらない、けれど今は激しく泣いている、世界で一番大切なイブエルの横顔がある。 もう戻れないはずの生と死の境界線を、最初の夏に二人で食べた「果実の記憶」によって超越したアルダムは、肺に現世の熱い空気を満たし、震える声を絞り出した。 「イブエル」 激しい花火の爆音の隙間を縫って、届くはずのないそのアルダムの声に、イブエルがゆっくりとこちらを向いた。
