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【ウマ娘ルムマ】第七:八回推しに感謝杯俺の愛バ特別【アーカイブ】
忘却。
それは、ヒトに備わった大きな能力。
これのおかげで、過度なストレスや——恥ずかしい失敗、そういったものからヒトは意識することなく目を背けることができる。
当然、その能力はウマ娘にも備わっており——その副作用には、ヒトもウマも、悩まされるものなのであった。
「あうう……こんなの覚えきれません、無理ですよぅ……」
ここは、トレセン学園。
古今東西の有力なウマ娘が集う学び舎。
学び舎であるからにはもちろん、知力を試すための、学生が最も嫌うアレ——つまりは、テストもある。
壁一面の棚にきっちりと収められた本たちに見守られながら、この栗毛のウマ娘——片耳にダルマ、片耳にクローバーというなんとも風変わりな髪留めをつけた——も、その例にもれず、その予行練習で頭を悩ませていた。
「ムムム……でもトレーナーサン、結果によってはメニューを減らすって言ってマシタ……」
一人ではなかったことが救いなのは、どの種族でも同じだ。
「ええっ、タイキさんもですか? うう、打ち合わせでもしているんでしょうか……トレーナーさんたち」
「……私も、そう言われてる……」
「アレ、スズカさんは大丈夫ですよね?」
「……」
「す、スズカさん?」
どうやら身体能力と学力というものはそううまくは比例しないようで——抜群の運動成績を残す緑の耳覆い——メンコというのだが——のウマ娘は、じっとりと視線を返して頬を膨らませてしまった。
「オゥ! スズカも一緒なら百人力デース!」
「そ、そうですねっ! ほらほらスズカさん、一緒に問題、出し合いっこしましょう!」
「……うん……」
しょんぼりと返事を返すスズカは、メンコ越しにも垂れた耳がわかるほど落ち込んでいた。
二人が話を聞くと、新しく試した走法がとてつもなく自分に合っており、そのトレーニングをやっていたところ、いつの間にかテストが迫っていた——とのことで。
「ソレ知ってマース! 身から出た——」
「わーっ、問題じゃないです! タイキさん!」
「わかってる……わかってるから……」
さめざめと言った様子で胸を押さえるスズカに、タイキ、と呼ばれたウマ娘は一つ謝罪をしてからその走法について話をし——それを使うことがどうか耳飾りのウマ娘が占い——そして三人で最近のレースについて話をし——気づけば、日は傾いてしまっていた。
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