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アントン・エーベルル:交響曲 変ホ長調 作品33
Youtubeからの転載です(https://www.youtube.com/watch?v=fnvpWgtHOD0&t=1510s)。
ウィーン出身の作曲家アントン・エーベルル(1765 ‐ 1807)は、9歳年上のモーツァルトに弟子入りして彼
の友人になり、ロシアで皇帝付きの作曲家、音楽教師として活躍した後、1803年にウィーンに戻ってから
は数多くの器楽曲や歌曲を発表しました。
エーベルルの作品中で最も知られているのは、1803年に作曲された交響曲 変ホ長調 作品33です。この作品
はモーツァルトの交響曲の流れを受け継いだ典型的な古典派の交響曲で、1804年1月にロプコヴィッツ侯爵
邸にて非公開初演されました。同年12月には同じロプコヴィッツ侯爵邸にてベートーヴェンの交響曲第3番
「英雄」が非公開初演されており、本作と「英雄」はどちらも変ホ長調であること、第2楽章に厳粛な付点
リズムという共通する要素があることなどから、ベートーヴェンが「英雄」の作曲にあたって本作の構成を
参考にした可能性が指摘されています。
そして1805年4月7日、ウィーンのアン・デア・ウィーン劇場にてベートーヴェンの「英雄」が公開初演さ
れた1週間後にも本作が演奏され、観客や評論家の「英雄」に対する評価が賛否両論に分かれたのに対し、エーベルルの交響曲は「非常に心地よく、本当に美しくて力強いものがたくさんある」「充分なリハーサル
があれば、失敗する方が難しい」と手放しの称賛を受け、エーベルルの名声を高めることとなりました。
エーベルルの作風は基本的にモーツァルトに近く、本人に無断で多くの初期ピアノ曲が「モーツァルト作」
として出版され、生涯にわたって彼はそのことに悩まされましたが、晩年の作風はベートーヴェンと類似す
る方向性により古典派から初期ロマン派へ踏み出そうとしていたことが近年の研究で明らかになっており、
ウィーン帰還からわずか4年後の1807年に41歳の若さで没しなければ、ベートーヴェンと並ぶ古典派・ロマ
ン派作曲家として名を遺したと考える専門家もいます。
ヴェルナー・エールハルト指揮
コンチェルト・ケルン