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<マル激・後半>被災者を置き去りにした「復興災害」を繰り返さないために/山下祐介氏(東京都立大学人文社会学部教授)
東日本大震災からこの3月で13年が経つが、被災地では今、「復興災害」とも呼ぶべき課題が表面化している。
確かに、高台移転した土地が整備されたり、津波から町を護るための防潮堤が作られるなど、一見復興は順調に進んでいるかのように見える。また、復興の過程で生活を再建できた人たちも多くいる。しかし、巨額の予算をかけて高台に造られた住宅地にはいまだ空き地が広がり、海を見ることができない巨大な防潮堤は人々から震災前の暮らしを奪っている。
何より問題なのは、復興計画に被災当事者の思いが込められていないことだ。復興計画の基本方針の中には必ずといっていいほど「被災者の声を聞く」という文言が含まれているが、実際それは形だけで自分たちの意見に耳を傾けてもらえていないと感じる被災者は多い。結果的に、復興計画は失敗だったと語る被災者もいる。
他の公共事業と同様に、大規模な復興計画は一度動き出したら止めることができない。目の前で進む大規模事業を目の当たりにして、自分たちが復興の過程から排除されたと感じる被災者も多い。
災害大国の日本では、これからも大規模な災害が続くことが避けられない。当事者を排除しない復興の在り方はどうあるべきかを今、考えておかないと、能登半島地震の復興でも、またその後の災害復興でも、同じ過ちを繰り返すことになりかねない。
宮城県石巻市雄勝町では、震災前に約4,000人いた住民が1,000人しか戻ってきていない。市の雄勝支所が主導し県が協力に推し進めた高台移転と巨大防潮堤建設という復興の方針に賛同できない住民は、早々に町外に移転せざるを得なかった。津波で18時間漂流した経験を持つ、雄勝町出身の阿部晃成氏は、「震災後に雄勝を離れた人は雄勝町民と見なされなくなり、復興の当事者ではないとされた」と語る。
巨大防潮堤は国を挙げての復興政策だった。2011年4月に発足した復興構想会議では、逃げる防災・減災という考え方が原則とされたが、同時期に始まった内閣府の中央防災会議での議論は、同じ被害を二度と起こさないためにハード面をどう整備するかが議題となった。安心・安全をどう実現するかが議論の中心となり、ひとびとの暮らしや生業といった話は置き去りになった。東京都立大学教授の山下祐介氏は、国策としての巨大防潮堤や高台移転にNOを突きつけることは、津波で甚大な被害を受けた多くの市町村にはとてもできないことだったと言う。そして、それに納得できない被災者がひとたび地域を離れれば、その被災者は復興の当事者と見なされなくなってしまったのだ。
一方、同じ宮城県でも雄勝町とは異なる経緯を辿った地域もある。気仙沼市本吉町大谷地区も当初は町のシンボルでもあった砂浜を全て埋める巨大防潮堤の計画を示された。津波で多くの犠牲者を出したこの町でも被災者の意見は分かれた。しかし住民たちは、防潮堤に対する賛否をいったん横に置き、まずは住民の意見の尊重と計画の一時停止を求める署名を行った。その後、何度も繰り返し話し合いを続けた末に、最終的には計画変更が実現した。砂浜は守られ、国道をかさ上げして防潮堤を兼ねることで陸側のどこからでも海が見える形となった。
大谷里海づくり検討委員会の事務局長として当時、住民や行政との調整を中心になって進めた三浦友幸氏は、「行政の当初の計画に対して住民が具体的な対案を出すまでにはかなり時間がかかった」と、行政が提示した復興案に歯向かうことがどれほど大変だったかを語る。
一口に被災者といっても意見は多様だ。東日本大震災の被災当事者たちは、復興のためにそれぞれにまちづくりの会を作り、議論を重ね、声をあげていた。被災地に入った多くの専門家たちもそれを支援したはずだった。それでも巨額な予算と安全な国土を望む声と復興を急かす世論などに押され、一度動き出した計画は個別の被災者の思いなど受け入れる余地もないまま進んでいった。
能登半島地震から2カ月が経ち、いまだ1万7,000戸で断水が続く中、一刻も早いインフラ復旧が最優先であることは言うまでもない。しかし、避難が長期化し、住民が物理的にばらばらにならざるを得ない中で、山下氏はこのままでは再び被災者が望む形の復興につながらないことを危惧する。さらに山下氏は石川県の復興対策本部が示した「創造的復興」という言葉にも疑問を呈す。復興の過程でこれまであった課題解決も図ろうとするこの考え方の背景には、過疎地は問題だらけなので切り捨てた方が良いといった発想が見て取れると山下氏は指摘する。被災地の人口減少や高齢化と、復興は本来は直接関係ないはずだ。
東日本大震災の被災当事者のインタビューも含め、能登半島地震の復興では同じことを繰り返さないためには何が必要なのかについて、『限界集落の真実』の著者でもあり過疎地の問題に詳しい東京都立大学教授の山下祐介氏と、ジャーナリストの迫田朋子、社会学者の宮台真司が議論した。
前半はこちら→so43503179
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・前半>被災者を置き去りにした「復興災害」を繰り返さないために/山下祐介氏(東京都立大学人文社会学部教授)
東日本大震災からこの3月で13年が経つが、被災地では今、「復興災害」とも呼ぶべき課題が表面化している。
確かに、高台移転した土地が整備されたり、津波から町を護るための防潮堤が作られるなど、一見復興は順調に進んでいるかのように見える。また、復興の過程で生活を再建できた人たちも多くいる。しかし、巨額の予算をかけて高台に造られた住宅地にはいまだ空き地が広がり、海を見ることができない巨大な防潮堤は人々から震災前の暮らしを奪っている。
何より問題なのは、復興計画に被災当事者の思いが込められていないことだ。復興計画の基本方針の中には必ずといっていいほど「被災者の声を聞く」という文言が含まれているが、実際それは形だけで自分たちの意見に耳を傾けてもらえていないと感じる被災者は多い。結果的に、復興計画は失敗だったと語る被災者もいる。
他の公共事業と同様に、大規模な復興計画は一度動き出したら止めることができない。目の前で進む大規模事業を目の当たりにして、自分たちが復興の過程から排除されたと感じる被災者も多い。
災害大国の日本では、これからも大規模な災害が続くことが避けられない。当事者を排除しない復興の在り方はどうあるべきかを今、考えておかないと、能登半島地震の復興でも、またその後の災害復興でも、同じ過ちを繰り返すことになりかねない。
宮城県石巻市雄勝町では、震災前に約4,000人いた住民が1,000人しか戻ってきていない。市の雄勝支所が主導し県が協力に推し進めた高台移転と巨大防潮堤建設という復興の方針に賛同できない住民は、早々に町外に移転せざるを得なかった。津波で18時間漂流した経験を持つ、雄勝町出身の阿部晃成氏は、「震災後に雄勝を離れた人は雄勝町民と見なされなくなり、復興の当事者ではないとされた」と語る。
巨大防潮堤は国を挙げての復興政策だった。2011年4月に発足した復興構想会議では、逃げる防災・減災という考え方が原則とされたが、同時期に始まった内閣府の中央防災会議での議論は、同じ被害を二度と起こさないためにハード面をどう整備するかが議題となった。安心・安全をどう実現するかが議論の中心となり、ひとびとの暮らしや生業といった話は置き去りになった。東京都立大学教授の山下祐介氏は、国策としての巨大防潮堤や高台移転にNOを突きつけることは、津波で甚大な被害を受けた多くの市町村にはとてもできないことだったと言う。そして、それに納得できない被災者がひとたび地域を離れれば、その被災者は復興の当事者と見なされなくなってしまったのだ。
一方、同じ宮城県でも雄勝町とは異なる経緯を辿った地域もある。気仙沼市本吉町大谷地区も当初は町のシンボルでもあった砂浜を全て埋める巨大防潮堤の計画を示された。津波で多くの犠牲者を出したこの町でも被災者の意見は分かれた。しかし住民たちは、防潮堤に対する賛否をいったん横に置き、まずは住民の意見の尊重と計画の一時停止を求める署名を行った。その後、何度も繰り返し話し合いを続けた末に、最終的には計画変更が実現した。砂浜は守られ、国道をかさ上げして防潮堤を兼ねることで陸側のどこからでも海が見える形となった。
大谷里海づくり検討委員会の事務局長として当時、住民や行政との調整を中心になって進めた三浦友幸氏は、「行政の当初の計画に対して住民が具体的な対案を出すまでにはかなり時間がかかった」と、行政が提示した復興案に歯向かうことがどれほど大変だったかを語る。
一口に被災者といっても意見は多様だ。東日本大震災の被災当事者たちは、復興のためにそれぞれにまちづくりの会を作り、議論を重ね、声をあげていた。被災地に入った多くの専門家たちもそれを支援したはずだった。それでも巨額な予算と安全な国土を望む声と復興を急かす世論などに押され、一度動き出した計画は個別の被災者の思いなど受け入れる余地もないまま進んでいった。
能登半島地震から2カ月が経ち、いまだ1万7,000戸で断水が続く中、一刻も早いインフラ復旧が最優先であることは言うまでもない。しかし、避難が長期化し、住民が物理的にばらばらにならざるを得ない中で、山下氏はこのままでは再び被災者が望む形の復興につながらないことを危惧する。さらに山下氏は石川県の復興対策本部が示した「創造的復興」という言葉にも疑問を呈す。復興の過程でこれまであった課題解決も図ろうとするこの考え方の背景には、過疎地は問題だらけなので切り捨てた方が良いといった発想が見て取れると山下氏は指摘する。被災地の人口減少や高齢化と、復興は本来は直接関係ないはずだ。
東日本大震災の被災当事者のインタビューも含め、能登半島地震の復興では同じことを繰り返さないためには何が必要なのかについて、『限界集落の真実』の著者でもあり過疎地の問題に詳しい東京都立大学教授の山下祐介氏と、ジャーナリストの迫田朋子、社会学者の宮台真司が議論した。
後半はこちら→so43503183
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・後半>5金スペシャル・壊れゆく日本を生き抜くためにはホームベースが必要だ
その月の5回目の金曜日に特別企画をお送りする5金スペシャル。今回は12月17日に東京・大井町「きゅりあん」で行われた「年末恒例マル激ライブ」の模様を無料放送する。
今回のマル激ライブでは、パーティ券裏金問題を入口に、もはや日本の政治や経済、社会の底が抜けているのは明らかなのだから、日本という沈みゆく船の中で他の人たちを踏み台にしながら少しでも上に行こうとするのではなく、この船がこれ以上沈まないように何をすればいいか、そして日本を再浮上させるために自分たちに何ができるかを一緒に考えていこうではないかという議論をした。
目下、永田町を揺るがしているパーティ券裏金問題では、メディアは相変わらず検察のリーク情報を垂れ流すことで、裏金をもらっていた政治家の名前や大物政治家の逮捕はあるのかといったワイドショー仕立ての人間ドラマに世間の耳目を集めようとしている。しかし、そもそもこの問題は、パーティ券の購入を通じた派閥や政治家への寄付が、本来は20年以上も前に禁止されていたはずの企業・団体献金の抜け穴になっている点、つまり裏金ではなく表金の方により重大な問題がある。
パーティ券の購入を通じて今も事実上、億単位の企業献金が可能となっており、それが日本が過去30年にわたり有効な経済政策や産業構造や社会構造の改革を実行することができなかったことと決して無関係ではないことを、われわれは今あたらめて再確認する必要があるだろう。日本では多額のパーティ券購入という寄付によって、ビジネスモデルが陳腐化し本来であれば退場すべき生産性の低い企業や業界の利益が手厚く保護され続けてきた。逆に言えば、それがなければ本来は営利団体である企業や業界の利益を代表する業界団体が、自民党やその派閥や有力政治家に億単位の寄付を行う理由などないのだ。
結果的に1995年に1人当たりGDPで主要先進国で1位まで登りつめ、文字通り経済大国となった日本は、その後30年間、停滞に次ぐ停滞を続け、遂にはG7の最下位はおろか、今や先進国の地位からも転げ落ちようかというところまで堕ちている。本来であれば人口減少を相殺するペースで生産性を上げていかなければ経済が縮小してしまうことが自明であったにもかかわらず、先進国では日本だけが陳腐化した非効率な産業構造や人口ボーナスがあった頃の高度経済成長時代の社会構造を引きずりつづけ、30年もの長きにわたり経済成長も賃金の上昇も実現できなかった。その一方で、人口減少の原因である少子化対策も、何ら有効な手を打てていない。
ここまで沈みかけた日本という大きな船を修理し、それを再浮上させるのは容易なことではない。しかし、幸か不幸か、たまたまこのような局面で生きる希有な運命を背負った今を生きる日本人にとって、船の中で少しでもいい座席を取ろうと奮闘することが、本当に有意義な生き方と言えるだろうか。日本という国を、せめてもう少し展望を持てる国にした上で、次の世代にバトンタッチする方がよくないだろうか。
しかし、1人では長くは戦えない。戦うためには仲間が必要だ。また、発進基地であり、帰還基地となるホームベースも必要だ。いつでも帰れると思える信頼できる仲間がいてホームベースがあればこそ、ホームベースの外で存分に闘うことができる。高度経済成長期に農村共同体に取って代わる形で登場した企業共同体は、小泉改革以降の数々の新自由主義的政策によって正規と非正規労働者に分断され、もはや崩壊状態にある。結果的に大半の日本人が何の共同体にも属さない、つまりホームベースを持たない中で日々暮らしている。教会やチャリティなどの地域の共同体が伝統的に存在しない日本では、個々人が能動的に共同体を作り、自らそこに参加しようとしなければ、ホームベースを持つことはできない。しかし、自分さえその気になれば、それは十分に可能だ。
2023年最後となるマル激では、なぜ日本が壊れ続けているのか、どうすればこの沈没を反転できるか、壊れゆく社会をいかに生き抜くかなどについて、ジャーナリストの神保哲生と宮台真司が議論した。
前半はこちら→so43210941
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・後半>5金スペシャル映画特集+α ・ジャニーズを「サンクチュアリ」(聖域)化し、ジャニー喜多川を「怪物」にしたものとは/松谷創一郞氏(ジャーナリスト)
その月の5回目の金曜日に特別企画を無料でお送りする5金スペシャル。
3月以来3ヶ月ぶりとなる今回は、映画や芸能に詳しいジャーナリストの松谷創一郞氏をゲストに招き、5金恒例となった映画特集とジャニーズ性加害問題のダブルタイトルをお送りする。
取り上げる映画はずばり、現在ネットフリックスで配信中の『サンクチュアリ-聖域-』とカンヌでも話題となった是枝作品『怪物』の2つ。そして、それと同時に、ジャニーズ事務所の性加害問題とその背景にある日本の芸能界やスポーツ界に蔓延る人権無視の前時代的な風土とそれに平然と乗っかって商売をし続けるメディアの責任などを議論した。
BBCのドキュメンタリーをきっかけに表面化したジャニーズ事務所の性加害問題は、元ジャニーズ事務所社長の故ジャニー喜多川氏(本名・喜多川擴=2019年7月9日死去)が長年にわたりデビュー前の所属レッスン生(ジャニーズジュニア)に性的行為を繰り返していたというもの。本人が亡くなっていることもあり、また事件の内容から被害者にとっても被害を名乗り出ることに相当なリスクが伴うことから、未だ全貌は明らかになっていないが、被害者は数百人単位にのぼるともいわれ、しかもその大半が未成年だったという、前代未聞のセクハラ事件だ。
それにしてもなぜジャニーズ事務所が芸能界の中で「最大手にして異端」(松谷氏)という特異な地位を維持し、その中でジャニー氏による性加害が何十年にもわたり放置されてきたのだろうか。ジャニー氏によるセクハラ行為の噂はかなり以前から芸能界はもとよりその外にも漏れ伝わっており、ジャニーズ事務所と週刊文春との間で争われた名誉毀損裁判では、2004年に最高裁までがジャニー氏による性加害報道の「真実性」を認定していた。
松谷氏はジャニーズ事務所は時にはタレント引き上げや共演NGなどの間接的手法を使い、また時にはジャニー氏の姉でジャニーズ事務所名誉会長だった故メリー喜多川氏(本名・藤島メリー泰子=2021年8月14日死去)による強権的な手法を使ってメディアに圧力をかけることにより、ジャニーズ事務所を退所したタレントが芸能活動を継続することが困難になるような状況を作り出していたと指摘する。実際、2016年のSMAPの解散・独立騒ぎの後、ジャニーズ事務所を退所した香取慎吾、草彅剛、稲垣吾郎の3人は、それまで毎日のように出ていたテレビへの出演がぱったりなくなっていた。これは最終的には2019年にジャニーズ事務所が公正取引委員会から注意を受けている。
実はジャニーズ事務所は単に事務所を退所したタレントに対してだけでなく、ジャニーズ所属のタレントと競合する他事務所のタレントに対しても、同様の手法を使ってメディアに圧力をかけていたという。松谷氏によると、例えば沖縄出身のダンス・ボーカルグループDA PUMPはそれが理由で長らくテレビの音楽番組には出られない状況が続いていたそうだ。
公取から注意が出されたように、事務所をやめた人間がその業界で働けなくなるように圧力をかけるような行為は品位に欠けるばかりでなく、公正な競争を阻害するとして独占禁止法にも触れる。特にジャニーズ事務所は自らの影響力をそのような形であからさまに行使してきたとみられるが、ジャニーズ事務所以外でも芸能界では事務所を抜けたタレントがその後、長らく干されるというようなことは、これまで幾度となく繰り返されてきた。時にそれは露骨な圧力であったかもしれないし、また時にそれはメディア側の忖度によるものだったかもしれないが、いずれにしても事務所をやめたらその業界にいられなくなるというような慣習が放置されれば、事務所から嫌な行為を強要されたり無理難題をふっかけられても、タレントはそれを甘受せざるを得なくなる。
いやこのような慣習は芸能界だけでなく、スポーツ界にも蔓延る。ラグビーのトップリーグではつい数年前まで、選手の引き抜きを防ぐために、所属チームの承諾なくチームを移籍した選手は新しいチームで1年間試合に出さないというカルテルが存在していたし、プロ野球界にも日本でドラフトを拒否して他国に渡った選手は日本帰国後一定期間プレーできなくする「田沢ルール」なるものが存在していた。これらはそもそも職業選択の自由を奪う制度であると同時に、いずれも公正な競争を阻害するカルテルとして他の業界では禁止された独禁法違反に問われるものだが、日本では芸能やスポーツは社会的にも特別視されていたり、メディアと業界が一体化しているためにそうした問題が十分に批判に晒されなかったりしたために、そのような前時代的な制度や慣習が当たり前のように続いていた。
結局、昨今のジャニーズ問題も、そもそも社内で絶対的な権力を持つジャニー氏の逆鱗に触れれば、タレントとしてデビューするチャンスが潰えてしまうという恐れがあり、また性加害行為を嫌悪して事務所を退所しようものなら、少なくとも日本の芸能界で生きていくことがほとんど不可能になるという状況の下で、日々被害に晒されてきた練習生たちにとっての選択肢はジャニー氏のセクハラ行為を甘受するか、もしくはタレントになる夢を諦めるかの二択だったことになる。
その意味で今回の事件はまず事実関係を明らかにすることが必要だが、その上で、加害者側のジャニーズ事務所に然るべき責任を取らせると同時に、そのような事態を招いた業界の体質などにもきちんとメスを入れ、うみを出すことが必要ではないか。
日本の芸能界を長く取材し、日本の音楽産業や映画産業が直面する課題などを指摘している松谷創一郎氏と、ジャーナリストの神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した。
また、番組の後半では、前半のジャニーズ問題を引き継ぐ形で、映画『怪物』と『サンクチュアリ』を取り上げ、われわれの社会が共通のプラットフォームを失ったことにより、見る者の視座によって普通の人間が怪物に見えてしまう社会の構造の変化や、法と掟の違い、掟の世界が消えることでわれわれの社会の何が変わるのかなどを議論した。
前半はこちら→so42427118
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・前半>5金スペシャル・戦争とテロを乗り越えて仲間とともに生き抜くために
2022年最後となるマル激は、5回目の金曜日に特別企画を無料でお送りする5金スペシャル。今回は先週からスタジオに復帰した宮台真司とジャーナリストの神保哲生が、久しぶりの「2人マル激」で2022年を総括し2023年を展望した。
2022年はウクライナ戦争と安倍元首相の銃撃事件という、まさに「瓶のふた」が取れたような衝撃的な出来事によって規定される1年となってしまった。世界では20世紀の遺物であるかのように考えられてきた国民国家間の全面戦争が実際に起きたことで、これまでの秩序やグローバル化に対する盲信が根底から揺らぐ一方で、日本では首相退任後も日本政界の最高権力者の座にとどまり続けていた元首相が、何と手製の銃によって暗殺されてしまった。2022年はどのような年として歴史に刻まれることになるのだろうか。
ただし、ウクライナ戦争にしても、安倍元首相の暗殺にしても、それが何を意味しているかについての合意がいまだに存在しない。ウクライナ戦争はロシアの独裁者であるプーチン大統領が独断で仕掛けた戦争であることは間違いないが、だとしてもそもそも彼が何のために、これほど多くの犠牲を生んでまで戦争を続けているのかを明確に説明できる人はおそらく誰もいない。マル激でもさまざまな専門家を招き、それこそNATOの東方拡大脅威説からロシア民族主義説にいたるまで何度かその説明を試みてはみたが、どの専門家からも明確な答えは得られなかった。
安倍氏の暗殺も、その意味が十分説明されたとは言い難い。犯人の動機に統一教会に対する恨みがあったことが判明すると、社会の関心は統一教会一色に染まった。確かに多くの被害者を生み続けてきた統一教会を放置してきたことは大問題だ。しかし、最高政治権力者の暗殺という歴史的な重大事件を統一教会問題だけで終わらせてしまってはならない。安倍氏は現在の日本が丸ごと乗っかっている「安倍政治」という一つの時代を作った人物でもあり、集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の変更など、良くも悪くも安倍氏の元で日本は大きく歴史の舵を切っている。その安倍氏が突如として亡くなったことで、今日本には権力の空白が生じている。今後、その空白に何が入ってくるのかを、われわれは細心の注意を払ってウオッチしていかなければならない。
一歩まちがえば第三次世界大戦になりかねない戦争の意味や、最高権力者が暗殺されたことの意味ですら、合意形成が難しくなっているのだ。個々の政策や社会問題でコンセンサスを築いていくことは容易ではない。しかし、だとしても今の日本には説明がつかないことが多すぎる。なぜ未だに、解雇規制によって手厚く保護された正社員と使い捨ての非正規労働者なるものが存在しているのか。日本の子育て支援や教育支援の公共支出が先進国で最低レベルのままなのはなぜか。住民税の税金の5割が返礼品と運営費に消えてしまうふるさと納税なる制度が、未だに大手を振って存在しているのはなぜなのか。ありとあらゆる不条理を抱えながらなぜ日米地位協定は一切改正できないのか。アメリカから言われたら自動的に防衛費を倍増しそれを増税で賄うのか等々。これからもわれわれが問い続けていかなければならない課題は多い。
後半はこちら→so41583846
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・前半>5金スペシャル映画特集・つながれなくなった世界で出会いを描いた映画が輝く
月の5回目の金曜日に普段とはひと味違う特別企画を無料放送でお届けする5金スペシャルは、今回も恒例となった映画特集をお送りする。
今回取り上げた映画は
①「秘密の森の、その向こう」(セリーヌ・シアマ監督)
②「LOVE LIFE」(深田晃司監督)
③「糸」(瀬々敬久監督)
④「NOPE」(ジョーダン・ピール監督)
⑤「REVOLUTION+1」(足立正生監督)
の5作品。いずれも「出会い」や「見る・見られる」をテーマに、人と人との出会いや、人と人がつながり合うことの難しさとその貴さが描かれている秀作だ。
なお、番組冒頭では、9月27日の安倍晋三元首相の国葬儀を会場内で取材した神保哲生による報告と、末尾に安倍政権下で7年ぶりに質問の機会を与えられた神保哲生が、安倍氏と3度にわたり事前に取りまとめられていないガチンコ質問をぶつけた際のやりとりを収蔵した。
容赦なくメディアに介入し、記者会見でも記者クラブ加盟社にはすべて質問を事前に提出させた上で、官邸官僚が用意した答えを総理がもっともらしく読むことにより、国会と並び国民が政権を判断する希少な機会である総理会見を完全に形骸化・セレモニー化させてしまったのも安倍政権の大きな特徴だったことは間違いないが、と同時に政権の終盤ではフリーランスやネットメディアにも事前提出のない質問の機会を与え、自分自身の言葉で答えようと努めていたのもまた安倍氏だった。元首相追悼の意味を込めて、これをここに記録と記憶にとどめておきたい。
後半はこちら→so41160733
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・後半>5金スペシャル映画特集・劣化する社会の中でドキュメンタリーや実話映画が担う重要な役割
その月の5回目の金曜日に特別企画を無料放送する5金スペシャル。
今年最初の「5金」となる今回は、映画、とりわけドキュメンタリー映画や実話を題材にした映画を主に取り上げ、宮台真司が解説した。
今回取り上げた映画は『行き止まりの世界に生まれて』、『KCIA 南山の部長たち』、『ある人質~生還までの398日』、『バクラウ』、『聖なる犯罪者』の5作品。
コロナの惨状もさることながら、それ以前から社会の劣化はとどまるところを知らない。そのような中にあって、われわれはついつい一人ひとりが本来考えておかなければならないことや、見過ごしてはならない大事なものを忘れがちになる。映画はそれに気づかせてくれる貴重な機会を提供してくれる場合が多いが、とりわけドキュメンタリー作品や実話に基づく映画は、そうしたテーマを再確認させてくれる。
『行き止まりの世界に生まれて』(ビン・リュー監督。2018年アメリカ)はアメリカ・イリノイ州の地方都市を舞台に、貧しく暴力的な家庭から逃れるようにスケボーにのめり込む若者たちが、暗い過去と向き合いながら大人になっていく過程を描いたドキュメンタリー。サンダンスのブレークスルー・フィルムメイキング賞を始め世界各国で多くの賞を受賞するなど、ドキュメンタリー作品としては近年希に見る高評価を受け大ヒットとなった。
映画の主人公となる若者グループの一員でもあった中国系アメリカ人のビン・リューが、12年にわたり仲間たちを撮り続けた映像を編集してまとめたドキュメンタリーだが、その映像には、普段はスケボーで街中を徘徊しながら悪ふざけを繰り返す彼ら一人ひとりの悲惨な過去や葛藤と、その現実と向き合えないがゆえにスケボーにのめり込む彼らの生態が見事に描かれている。
格差社会だのトランプ現象だのと一括りにされがちな今日のアメリカの社会で、実際に起きている明日への希望が持てない現実や、酒と暴力に満ちた家族の関係、そしてそこから生じる誰もが抱えている苦しみや痛みがどんなものかをリアルに知ることができる貴重な記録映画でもある。
『KCIA 南山の部長たち』(ウ・ミンホ監督。2020年韓国)は人気俳優イ・ビョンホンがKCIA(中央情報部)部長を熱演する、朴正熙大統領暗殺事件の舞台裏を描いた実話に基づく映画作品。朴大統領とは革命の同志で実質、当時の韓国では大統領に次ぐ権力者だった金載圭・中央情報部部長が、国民の解放のために革命を起こしておきながら、その後、独裁者となり私利私欲にまみれてしまった朴大統領を「韓国国民のため」に殺害するまでの経緯が描かれている。
しかし、金部長はその後の権力奪取まで計画していなかったがゆえに軍を掌握しておらず、結果的にその後、発足した全斗煥による軍事政権によって反逆者として逮捕され処刑されてしまう。
映画の最後に金載圭が死刑判決を受ける直前に公判で語った被告人弁論の映像が紹介されており、その言葉が見る人の胸を打つ。特にその後の韓国が全斗煥の下で再び軍事独裁の支配下に入り、その後も腐敗が続いたという史実と照らし合わせると尚更だ。
『ある人質~生還までの398日』(ニールス・アルデン・オプレヴ監督。2019年デンマーク・スウェーデン、ノルウェー)は十分な計画性もないまま取材のため内戦下のシリアに入りイスラム国の人質となった駆け出しの若きデンマーク人写真家ダニエルが、1年あまりにわたり実際に経験した拷問と飢えと恐怖に苛まれる地獄のような人質生活と、彼を救うために母国で資金集めに奔走する家族の苦しみを同時進行で描いた、これも実話に基づく映画。
この問題をめぐっては、アメリカのように政府がテロリストとの一切の交渉には応じないばかりか、家族が身代金を支払うことも禁じている国もあり、デンマークでも政府は身代金の拠出を拒否し、身代金を支払うための寄付を公然と募ることも法律で禁止されていた。しかし、家族が個人的に集めた寄付によってダニエルは最終的に解放されるが、人質として助け合った仲間のアメリカ人ジェームズ・フォーリーは処刑され、斬首の映像が全世界に公開されてしまう。
イスラム国については日本でも何人かのジャーナリストや活動家が人質になり、ジャーナリストの後藤健二のように実際に殺害されたケースもあったが、人質生活の実態については解放された人質の証言を通じてしかわれわれは知る術を持たない。この作品はイスラム国の人質生活の実態を描いた著書を映画化したもので、ニュースなどでわれわれが繰り返し聞かされてきた「誘拐」、「拘束」、「拷問」、「憎悪」などの言葉が現実にはどのようなものだったのかを知る貴重な機会を提供している。
その他、『バクラウ』(クレベール・メンドンサ・フィリオ監督。2019年ブラジル・フランス)、『聖なる犯罪者』(ヤン・コマサ監督。2019年ポーランド・フランス)など。
前半はこちら→so38198536
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・後半>5金スペシャル・絶望と感動のマル激20年史 これからも種を撒き続けます
まだ日本でブロードバンド・サービスが始まる前の2001年2月、「インターネットで動画配信など無理」という周囲の反対を押し切る形で放送を開始した「神保・宮台のマル激トーク・オン・ディマンド」が、今日、第999回目の放送を迎えた。
時はまだ自民党の森喜朗政権。正式な番組名も決めずに暗中模索の中、それまで既存メディアの専売特許だった報道という大海原に漕ぎ出した日本初のインターネット報道番組はその後、アメリカの9・11同時テロと対テロ戦争、小泉構造改革、リーマンショック、鳩山民主党政権とオバマ政権の誕生、そして3・11と原発事故、安倍政権とトランプ政権とブレクジット、そして新型コロナへと続くまさに激動の20年を駆け抜けてきた。
毎週1回、20年間、一度たりとも休むことなく何とかここまで続けてこれたのは、既存メディアに限界を覚え、放送免許や記者クラブなどの既得権益に縛られない新しいメディアを志し、広告に依存しないというわれわれの趣旨に賛同していただいた有料会員の方々の支えの賜物以外の何物でもないが、1000回やってもまだまだ当初の目標には遠く及ばない。実感としてはようやく2合目を通過したかどうかというところだろうか。
今回の番組では、松沢哲郎氏(京都大学霊長類研究所教授・第595回 2012年9月8日「チンパンジーが教えてくれた−希望こそ人間の証」)、矢作直樹氏(東大病院救急部・集中治療部部長・第646回 2013年8月31日「霊魂と肉体: あの世とこの世を分かつもの」)、岸見一郎氏(哲学者・第680回 2014年4月26日「あなたが変われないのは実は変わりたくないから?!」)、内山節氏(哲学者・第822回 2017年1月7日「座席争いからの離脱のすすめ」などの名場面をあらためて振り返り、それらの番組を通してわれわれ自身が学んだことなどを再度確認した。・・・
5金で第999回目となる今週のマル激は神保哲生と宮台真司が過去の放送の名場面集とともに当時を振り返りながら、これからの日本と世界とマル激の課題を議論した。
前半はこちら→so36950062
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激・前半>5金スペシャル・絶望と感動のマル激20年史 これからも種を撒き続けます
まだ日本でブロードバンド・サービスが始まる前の2001年2月、「インターネットで動画配信など無理」という周囲の反対を押し切る形で放送を開始した「神保・宮台のマル激トーク・オン・ディマンド」が、今日、第999回目の放送を迎えた。
時はまだ自民党の森喜朗政権。正式な番組名も決めずに暗中模索の中、それまで既存メディアの専売特許だった報道という大海原に漕ぎ出した日本初のインターネット報道番組はその後、アメリカの9・11同時テロと対テロ戦争、小泉構造改革、リーマンショック、鳩山民主党政権とオバマ政権の誕生、そして3・11と原発事故、安倍政権とトランプ政権とブレクジット、そして新型コロナへと続くまさに激動の20年を駆け抜けてきた。
毎週1回、20年間、一度たりとも休むことなく何とかここまで続けてこれたのは、既存メディアに限界を覚え、放送免許や記者クラブなどの既得権益に縛られない新しいメディアを志し、広告に依存しないというわれわれの趣旨に賛同していただいた有料会員の方々の支えの賜物以外の何物でもないが、1000回やってもまだまだ当初の目標には遠く及ばない。実感としてはようやく2合目を通過したかどうかというところだろうか。
今回の番組では、松沢哲郎氏(京都大学霊長類研究所教授・第595回 2012年9月8日「チンパンジーが教えてくれた−希望こそ人間の証」)、矢作直樹氏(東大病院救急部・集中治療部部長・第646回 2013年8月31日「霊魂と肉体: あの世とこの世を分かつもの」)、岸見一郎氏(哲学者・第680回 2014年4月26日「あなたが変われないのは実は変わりたくないから?!」)、内山節氏(哲学者・第822回 2017年1月7日「座席争いからの離脱のすすめ」などの名場面をあらためて振り返り、それらの番組を通してわれわれ自身が学んだことなどを再度確認した。・・・
5金で第999回目となる今週のマル激は神保哲生と宮台真司が過去の放送の名場面集とともに当時を振り返りながら、これからの日本と世界とマル激の課題を議論した。
後半はこちら→so36950072
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<マル激>沖縄密約と普天間移設問題の接点/我部政明氏(琉球大学法文学部教授)
日米密約問題に関する外務省有識者委員会の調査報告書が9日に公表され、4つの密約のうち3つが「密約」と認定された。今回確認された沖縄返還の際の現状回復費負担をめぐる密約の存在を最初に暴き、沖縄密約訴訟原告団の一人でもある琉球大の我部政明教授に、日米密約と沖縄の基地問題の深い関わりを聞いた。
<マル激>『東京政治』への不信感の根底にあるもの/玉城デニー氏
普天間移設予定先の名護・辺野古を抱える沖縄3区選出の玉城デニー民主党衆議院議員は、1年生議員でありながら、沖縄県民の意思を軽視したとも受け取れる平野博文官房長官の発言に対して抗議文を提出するなど、沖縄の声を中央に伝えることに力を注いでいる。
しかし、沖縄在留中の米軍兵士と日本人女性の間に生まれた玉城氏が、今、声を大にして訴えるのは、単に沖縄の負担の軽減だけではなく、日本政府が安全保障政策の理念を明確にすることだ。それなくして、都合の悪いことを全部沖縄に押し付けてくる政府のご都合主義的な対応に、沖縄の人々の怒りと不信感は頂点に達していると玉城氏は言う。
国による沖縄への一方的な押しつけを「東京政治」と呼ぶ玉城氏に、沖縄から見た国の安全保障政策や沖縄政策に対する違和感、沖縄選出の議員として自身が果たすべき使命について話を聞いた。
<マル激>普天間問題のボタンのかけ違いはここから始まった/大田昌秀氏
沖縄県知事時代、米軍用地の強制収容の代理署名を拒否して沖縄の意思を明確に示した大田昌秀氏。しかし、普天間移設問題はその後迷走を始める。なぜ普天間の返還問題がこのようにこじれたのか。
普天間返還合意の舞台裏とその底流にある中央政府と沖縄の微妙なパワーポリティクスの実情を聞く。