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<ニュース・コメンタリー>「外交は情報公開の対象外」のままでいいのか
前日の日産のカルロス・ゴーン会長逮捕の衝撃が冷めやらぬ10月20日、東京霞ヶ関にある東京地裁の803号法廷では、日本の民主主義のあり方が問われるとても重要な判決が下されていた。
「原告の申し立ては却下します」
裁判長のこの一言で、日本はその民主主義を大きく強化するまたとないチャンスを逸してしまった。
NPO法人情報クリアリングハウスが提起していたその裁判は、日本政府が行ったイラク戦争に関する検証報告書の公開を求める情報公開請求訴訟だった。
アメリカが率いる多国籍軍がイラクに武力攻撃を行った、いわゆるイラク戦争は、武力行使の前提とされたイラクのフセイン政権による9・11同時テロへの関与や、国連決議に反する大量破壊兵器の開発などが、後にいずれも事実無根だったことがわかり、戦争の正当性に国際法上の大きな疑問符が付けられていた。しかも、外国軍の侵攻によってフセイン政権が崩壊した後の地政学的な空白に入り込んだIS(イスラム国)が一時は国際社会全体への重大な脅威となるなど、その後の国際情勢への悪影響も大きかった。
武力行使の正当性が崩れたことを受けて、アメリカに追随して軍事行動に参加したイギリスや、派兵は行わなかったが武力行使を支持したオランドなどが、なぜ自国が誤った戦争を支持してしまったのかを徹底的に検証し、その内容を一般に公表していたが、当時の小泉政権がいち早く武力行使支持を表明していた日本では、2011年までその判断の妥当性や根拠について、何ら検証が行われていなかった。
民主党政権の前原誠司外相が国会答弁で、「検証は必要と考えている」と発言したのを受けて、ようやく日本でも外務省が2012年12月に検証報告を作成したが、その内容は外務省内で「極秘」扱いとされ、非公開だった。・・・
この裁判の原告で、他にも政府を相手取り数多くの情報公開請求や訴訟を起こしている情報公開の第一人者、情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長に、ジャーナリストの神保哲生が聞いた。
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<ニュース・コメンタリー>政治の質が低いと公文書管理も情報公開も機能しない/三木由希子氏(情報公開クリアリングハウス理事長)
確かに政治の質が低いと公文書管理も情報公開も機能しない。しかし、政治の質をあげていくためには、公文書管理と情報公開を徹底させ、外部から監視の目を強めていくしか無い。
森友学園問題や加計学園問題に続いて、自衛隊PKOのスーダン日報問題とイラク日報問題。一度は大臣や省庁の幹部が「無い」と断言したものが、後から後からボロボロと出てきたかと思えば、国有地の払い下げや学校の認可を巡り不自然な意思決定が行われていても、その決定者や決定の根拠を示す文書は一向に出てこない。
一体この国の公文書管理や情報公開はどうなっているのだ。
森友問題関連を含め、現在政府を相手に4件の情報公開訴訟を争っているNPO情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は、どんなに立派な法律を作っても、政治の質が低ければ、情報公開は進まないと語る。とても外には見せられないような政治が行われている時に、政府は法律だけを根拠にその実態を堂々と見せようとはしない。いきおい、法律とは別に各省が独自の内規(ガイドライン)などを作成し、実質的に法律を骨抜きにする。それでも追求をかわせないとわかると、一度決裁を受けた公文書の改竄さえ厭わないことが、今回明らかになった。
どうすれば、公文書管理法や情報公開法を徹底させ、政治の質をあげていくことができるのだろうか。森友、加計、日報問題などで相次いで明らかになったこの国の病巣とどう向き合うかなどについて、日米合同委員会の議事録など政府の情報公開に長年取り組んでいる三木氏とジャーナリストの神保哲生が議論した。
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<ニュース・コメンタリー>裁判に負けてでも外務省がどうしても隠したかったこと/三木由希子氏(情報公開クリアリングハウス理事長)
日米地位協定の運用方法を協議する秘密会議「日米合同委員会」の議事内容の情報公開請求をめぐる争いが、予想外の展開を見せ、関係者を驚かせている。
日米合同委員会に関連した情報の公開を求め、国と争ってきたNPO「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は、2018年3月2日、司法記者クラブで記者会見を行い、国が日米合同委員会の議事録を公開できない根拠としてきた、米政府側から議事録を非公開とするよう要請があったとする主張を撤回したことを明らかにした。
三木氏によると、撤回の理由として国は、議事録の非公開を求める米側からのメールの提出を裁判所から命じられる可能性があり、それを回避するためにはその主張自体を取り下げる必要があると判断したためと説明しているという。
日本の国内法の適用が免除されている在日米軍の軍人やその家族、軍属の法的地位は、日米地位協定によって規定されている。しかし、実際の運用に際しては、彼らの超法規的な地位と、日本の法律に拘束される日本国民との間に様々な矛盾や利害衝突が生じることが多い。そのため、地位協定の具体的な運用方法を日米の代表者間で協議する目的で、1960年の地位協定の発効と同時に設けられた場が、日米合同委員会だった。
日米合同委員会は、日本側は外務省北米局長が、米側は在日米軍副司令官が代表を務め、その下に在日米軍と日本政府のエリート幹部らが36の分科会や委員会に分かれて協議の場が設けられている。月2回のペースで外務省本庁と都内の米軍施設「ホテルニュー山王」で交互に開催され、その内容は非公開とされ秘密のベールに包まれている。しかし、政府が国民に説明したものとは異なる「密約」が多く含まれていることが、米側で情報公開請求を行った研究者らによって明らかにされており、問題となっている。
情報公開クリアリングハウスは2015年4月、国に対し、日米合同委員会の議事録が非公開とされる根拠となっている日米間の合意文書の開示を求め、情報公開請求を行った。それを非公開としていることの根拠が公開されなければ、そもそもそのような合意が存在すること自体が確認できないからだ。
少しややこしい言い回しになるが、「非公開とされている根拠を公開せよ」と求めたわけだ。日米合同委員会では日米間の安全保障に関わるデリケートな問題も議論されていると考えられるため、議事録全ての公開は無理だとしても、安全保障と直接関係がなく、日本国民の生活への影響が大きな分野での合意までが完全に非公開とされていることに違和感を覚えるのは自然なことだろう。・・・
国はなぜ裁判に負ける危険を冒してまでメールの提出を拒むのか。そもそも会議の実質的な内容とは関係のない、形式的な文書さえ頑なに公開を拒む国の姿勢の背景には何があるのか。日本では「アメリカから言われたこと」の方が、裁判所からの命令よりも優先するのか。情報公開クリアリングハウスはなぜ、国を相手取り情報公開請求や国家賠償請求を行うのか、などについて、三木氏とジャーナリストの神保哲生が議論した。
(本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
<ニュース・コメンタリー>完全非公開のままでは非公開の妥当性が判断できない・イラク戦争検証報告書情報公開訴訟続報
日本には行政情報の公開を規定する「情報公開法」があるが、外交や安全保障の分野では多くの特権が認められ、政府にとって都合の悪い情報はほとんど公開されていない。しかし、情報公開を免れているからといって、いい加減な政策判断を許し、それが後々まで検証されないような状態を放置していては、大きく国益を損ねる恐れがある。
大量破壊兵器の保有やアルカイダとの関係などを口実に軍事介入を行った2003年のアメリカのイラク戦争が、誤った戦争だったことは周知の事実だ。結局、大量破壊兵器は見つからず、アルカイダとのつながりも間違いだったことが、後に明らかになっている。
しかし、当時の小泉政権はこの戦争でアメリカに対する全面的な支持を表明している。この判断が大きな間違いだったことは否定できない。あの時、誰が何を根拠にアメリカの対イラク戦争を正当なものと評価し、それを支持することが妥当だと判断したのかは、検証の上、少なくとも安全保障への脅威とならない範囲で、国民に公開されるべきだろう。
イラク戦争に関わったイギリス、オランダ、オーストラリアなどは、いずれも後に大規模な検証を行い、その結果を公表している。
しかし、日本政府は長らくその検証を行おうとさえしなかった。ようやく2011年8月末になって外務省が重い腰をあげ、2012年12月、「対イラク武力行使に関する我が国の対応(検証結果」と題する報告書が作成された。しかし、この時公表された情報は報告書のポイントを羅列しただけのA4で4ページの至って簡素なもので、実際に誰が何を検証したのかや、検証の結果、どこに問題があったことがわかったのかなど、肝心な情報が何一つ含まれていないものだった。
NPO情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は2015年1月、「対イラク武力行使に関する我が国の対応(検証結果)」報告書の全文と、検証のために用いられた文書やインタビューの記録などを情報公開法に基づいて公開請求をしたが、外務省は関連した一部の文書は開示したものの、イラク戦争に対する判断に関わる肝心の情報は一切の開示を拒んだ。
それを受けて三木氏は同年7月16日、東京地裁に報告書の公開を求める(正式には政府の不開示決定の取り消しを求める)提訴を行った。(このことは7月25日のニュースコメンタリー「イラク戦争の検証報告書の開示を求めて提訴」 で報じた通り。)
その裁判の第一回公判が10月20日東京地裁で行われ、被告となる国側が最初の弁論を行った。しかし、その弁論において国側は開示要求に対して争う姿勢を明らかにするにとどまり、今回非開示とされた文書が開示すべき性格の文書かどうかを判断する材料を何一つ提供しなかった。
原告の三木氏とその弁護団は、そもそもこの裁判は国側の報告書の非開示決定の是非を問うものであるにもかかわらず、報告書の中身がまったく公開されなければ、裁判所が開示・非開示の妥当性を判断することもできないと主張し、文書全体を非開示とするのではなく、文書の中でも開示が可能な部分については開示するよう求めたところ、裁判所もそれを認め、国側が次回の公判で何らかの回答をすることになった。
他国との機密情報を含んだ外交や安全保障の情報公開は当然ハードルが高い。しかし、それ故に、デタラメな外交判断や外交政策が放置されるのでは本末転倒だ。外交や安全保障の情報公開の課題などについて、NPO情報公開クリアリングハウス理事長の三木由希子氏とジャーナリストの神保哲生が考えた。
<ニュース・コメンタリー>マイナンバー制度の暴走を防げるのは有権者だけだ
政府の情報公開に取り組むNPO情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長と、10月5日に施行されたマイナンバー制度の問題点と、昨年7月に内閣法制局が集団的自衛権の容認を決定した際に、その議事録を作成していなかったとされる問題について、ジャーナリストの神保哲生が聞いた。
マイナンバーは先の国会で改正マイナンバー法が可決し、10月5日から実際に番号の送付が始まっている。マイナンバー自体は当初は税と社会保障番号という位置づけで始まり、基本的にはその目的でしか使われないものという誤った認識があるように見える。
しかし、法律の条文を見る限り、国民一人ひとりに一生変わらない一つの番号を割り当てるマイナンバーは、すでに決まっている用途だけでも税と社会保障の範囲を大きく超えている。また今後、その活用範囲を広げていくことも法律に明確に謳われていて、知らない間にとてつもない大量の個人情報が、あらゆる用途に使われるようになってしまう危険性が十分にある。
情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は、マイナンバーという制度のそもそもの目的と理念が明確になっていないところに、大きな問題と危険性が潜んでいると指摘する。あえて理念を明確にしないことで、どんな目的にでも使えることを狙っているとのうがった見方もあるが、それを許すも許さないも、有権者の我々の意思にかかっている。
今一度ここで立ち止まり、国民の背番号化が暴走し始める前に、マイナンバー制度のあり方や、そこにどのような制限をかける必要があるかなどを議論すべきではないか。
また、2014年7月1日、安倍内閣は「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」を閣議決定し、集団的自衛権の行使が憲法の範囲内で可能との判断を下しているが、前日の6月30日、内閣法制局は内閣官房国家安全保障局から審査のため案文を受領し、閣議決定当日に内閣に対して「意見はない」と電話で回答したことが明らかになっている。
しかし、内閣法制局がどのような審査を行ったのか、また内閣官房国家安全保障局から審査依頼に際してどのような書類が提出されたのかなど、その判断に係る情報が開示されていないため、内閣法制局が合憲と判断した根拠やその経緯をわれわれは知ることができない。
三木氏の情報公開クリアリングハウスはそうした文書の存在の有無も含め、その実態を調査し公表するよう求める要望書を、9月30日付で内閣法制局に提出したが、今のところ法制局からは何の返信もないという。
先の国会で可決した安保法制は内閣法制局の審査を経て行われた2014年7月1日の閣議決定を前提としている。法律の正統性にも関わる重要な問題が、文書が作成されたかどうかも明らかにされないまま、手つかずになっているのだ。