タグ 青空文庫朗読 が登録されている動画 : 222 件中 1 - 32 件目
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【甲賀三郎 傑作選】支倉事件【前篇】
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【甲賀三郎 傑作選】支倉事件【中篇】
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【柳田國男】山の人生~前編【青空文庫・ゆっくり朗読】
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【朗読】 太宰治 『人間失格』 青空文庫 睡眠導入
いつもご視聴いただきありがとうございます。今後の活動の励みになりますので、よければフォロー、いいね!、コメントをいただけますと嬉しいです。
著:太宰治
タイトル:人間失格
青空文庫
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青空文庫の作品を中心に音声合成ソフトを使用して朗読を行っています。
漢字の読み方、イントネーション等が不自然にならないよう注意して動画の作成を行っておりますが、聞き取りづらいところがありましたらご容赦いただけますようお願いいたします。
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ユウの小説・童話朗読会
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【柳田國男】山の人生~後編【青空文庫・ゆっくり朗読】
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【夢野久作 傑作選】押絵の奇蹟
看護婦さんの眠っております隙を見ましては、拙ない女文字を走らせるので御座いますから、さぞかしお読みづらい、おわかりにくい事ばかりと存じますが、取り急ぎますままに幾重にもおゆるし下さいませ。あれから後、お便り一つ致しませずに姿をかくしました失礼のほど、どんなにか思し召しておいでになりますでしょう。
どう致しましたならばお詫びが叶いましょうかと思いますと胸が一パイになりまして、悲しい情ない思いに心が弱って行くばかりで御座いました。そうしてやっとの思いで一昨晩コッソリと帰京致しますと、すぐにあれから後の新聞を二三通り取り寄せまして、次から次へと繰り返して見たので御座いますが、私の事につきましていろいろと出ております新聞記事と申しますのが又いずれ一つとして私の心を責めさいなまぬものは御座いませんでした。
あの、丸の内演芸館で催されました明治音楽会の春季大会の席上で、突然に私が喀血しまして、程近い綜合病院に入院致しますと、その夜のうちに行方不明になりました事に就きまして、新聞社や、そのほかの皆様から寄せて頂いております御同情の勿体なさ。
それから又、最後までお世話になっておりました岡沢先生御夫婦の親身も及びませぬ痛々しい御心配なぞ……そうして、そのような中に、とりわけても貴方様が、あの時から後、心ならずも貴方様から離れて行きました私の罪をお咎めになりませぬのみか、数ならぬ私の事を舞台を休んでまで御心配下さいまして、いろいろと手を尽して私の行方をお探しになっておりますうちに、思いもかけませず私と同じように喀血をなされました。
そうして同じ丸の内の綜合病院に、御入院になりまして、私の名前を呼びつづけておいで遊ばすという事を「処もおなじ……」という雑報欄の記事で拝見致しました時の心苦しさ……。そうしてそれと同時にあなた様と私とが斯様かように同じ運命の手に落ちて参りまして、おなじ病気にかかって同じように血を吐く身の上になりましたことが、けっして偶然でありませぬ事を思い知りました時の空怖ろしさ……
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【甲賀三郎 傑作選】 黄鳥の嘆き~二川家殺人事件【全話コンプリート】
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【甲賀三郎 傑作選】支倉事件(13)
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【甲賀三郎 傑作選】支倉事件【後篇】
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【夢野久作 傑作選】鉄槌(かなづち)
――ホントウの悪魔というものはこの世界に居るものか居ないものか――
――居るとすればその悪魔は、どのような姿をしてドンナ処に潜み隠れているものなのか――
――その悪魔はソモソモ如何なる因縁によって胎生しつつ、どのような栄養物を摂とって生長して行くものなのか――
――その害悪と冷笑とを逞ましくし行く手段は如何――
斯様かような質問に対して躊躇ちゅうちょせずに答え得る人間は、そう余計には居るまいと思う。
然るに私はまだヤット二十歳はたちになったばかしの青二才である。だから聖人でも哲学者でもない筈であるが、しかしこの問いに対しては明白に答え得る確信を持っている。
――ホントウの悪魔とは、自分を悪魔と思っていない人間を指して云うのである――自分では夢にも気付かないまんまに、他人の幸福や生命をあらゆる残忍な方法で否定しながら、平気の平左で白昼の大道を濶歩して行くものが、ホントウの悪魔でなければならぬ。――
――だから真個ほんとの悪魔というものは誰の眼にも止まらないで存在しているのだ――
――そのような悪魔の現実社会に於ける生活とか、仕事とかいうものが如何に戦慄すべきものがあるかという事なぞも、滅多に考えられた事がないのだ――
……と……。
「彼奴あいつは悪魔だ。お前と俺の生涯をドン底まで詛のろって来た奴だ。今度彼奴に会ったら、鉄鎚かなづちで脳天を喰らわしてやるんだぞ。いいか。忘れるなよ」
親父おやじは私にこう云って聞かせるたんびに、煎餅蒲団せんべいぶとんの上で起き直った。蓬々ぼうぼうと乱れた髪毛かみと髯ひげの中から、血走った両眼をギョロギョロと剥むき出して、洗濯板みたいに並んだ肋骨あばらぼねを撫でまわしてゼイゼイゼイゼイと咳せきをした。そのうちに昂奮して神経が釣り上って来ると、その悪魔が眼の前に坐っているかのように、鼻の先の薄暗い空間を睨み付けてギリギリと歯ぎしりをしながら、骨と皮ばかりの手を振り上げて鉄鎚をグワンと打ちおろす真似をして見せる事もあったが、その顔の方がよっぽど恐ろしくて、活動に出て来る悪魔ソックリに見えたので、私はいつも子供心に一種の滑稽味を感じさせられた。親父は悪魔を取り違えているのじゃないか知らんと思って……
……
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【朗読】「白痴」坂口安吾
青空文庫さま
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※以前分割して投稿した朗読(㊤㊦)をまとめました。
【朗読】「贋物」葛西善蔵
青空文庫さま
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※以前分割して投稿した朗読(①~⑦)をまとめました。
【夢野久作 傑作選】キチガイ地獄
……やッ……院長さんですか。どうもお邪魔します。
ええ。早速ですが私の精神状態も、御蔭様でヤット回復致しましたから、今日限り退院さして頂こうと思いまして、実は御相談に参りました次第ですが……どうも永々御厄介に相成りまして、何とも御礼の申上げようがありません。……ええ。それから入院料の方は、自宅へ帰りましてから早速、お届けする事に致したいと思いますが……。
……ハハア……いかにも。なるほど。事情をお聞きにならない事には、退院させる訳には行かぬと仰有おっしゃるのですね。イヤ。重々ごもっともです。それでは事情を一通りお話し致しますが……しかし他人ほかへお洩らしになっては困りますよ。何しろ私の生命いのちにかかわる重大問題ですからね……。
ナル……成る程。患者の秘密を一々ほかへ洩らしたら、医者の商売は成り立たない。特に病院というものは、世間の秘密の保管倉庫みたようなもの……イヤ。御信用申上げます。御信用申上るどころではありません。
それでは事実を打ち割って告白致しますが、何を隠しましょう、私は殺人犯の前科者です。破獄逃亡の大罪人です。婦女を誘拐ゆうかいした愚劣漢であると同時に、二重結婚までした破廉恥はれんち
極まる人非人……。
イヤ。お笑いになっては困ります。そんな風にお考え下さるのは重々感謝に堪えない次第ですが、しかし事実を枉まげる事は断然出来ませぬ。御承知の通り現在、只今の私は、北海道の炭坑王と呼ばれていた谷山家の養嗣子、秀麿ひでまろと認められている身の上ですからね。私の実家も、定めし立派な身分家柄の者であろうと、十人が十人思っておられるのは、むしろ当然の事かも知れませんが、遺憾ながら事実は丸で正反対……と申上げたいのですが、実はもっとヒドイのです。その証拠に、私が谷山家に入込みました直前の状態を告白致しましたら、誰でも開いた口が塞がらないでしょう。
私は大正×年の夏の初めに、原因不明の仮死状態に陥ったまま、北海道は石狩川の上流から、大雨に流されて来た、一個のルンペン屍体したいに過ぎなかったのです……
しかも頭髪や鬚を、ぼうぼうとはやした原始人そのままの丸裸体で、岩石のこすり傷や、川魚の突つき傷を、全身一面に浮き上らせたまま、エサウシ山下の絶勝に臨む、炭坑王谷山家の、豪華を極めた別荘の裏手に流れ着いて、そこに滞在していた小樽タイムスの記者、某の介抱を受けているうちに、ヤット息を吹き返した無名の一青年に過ぎなかったのです……
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【甲賀三郎 傑作選】支倉事件(11)
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【甲賀三郎 傑作選】黄鳥の嘆き~二川家殺人事件(2)
3分割のうちの2
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【小酒井不木 傑作選】闘争
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【甲賀三郎 傑作選】琥珀のパイプ
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【甲賀三郎 傑作選】ニッケルの文鎮【ゆっくり朗読】
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【小酒井不木 傑作選】愚人の毒
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【小説朗読 / 怪奇小説】 江戸川乱歩 「鏡地獄」【まめぞう】
江戸川乱歩「鏡地獄」(初出:「大衆文芸」1926年)を朗読しました。
怪奇小説です。
※少し音割れ気味ですね。
テキストは青空文庫を使用させていただきました。
図書カード→https://www.aozora.gr.jp/cards/001779/card57343.html
底本:「江戸川乱歩傑作選」新潮文庫、新潮社
1960(昭和35)年12月24日発行
1989(平成元)年10月15日48刷改版
2013(平成25)年6月10日99刷
初出:「大衆文芸」 1926(大正15)年10月
入力:isizuka
校正:岡村和彦 2016年9月9日作成
使用素材:Pixabay
【甲賀三郎 傑作選】支倉事件(12)
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【小酒井不木 傑作選】恋愛曲線【ゆっくり怪談】
江戸川乱歩の才能を早くから見出した探偵小説の先駆けであり、自身の医者としての知識経験、医学的見地から多くの作品を手がけている。
『恋愛曲線』は1926(大正15年)1月号の新青年に発表され、大きな反響を呼んだ掌編怪奇探偵小説の傑作である。
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【甲賀三郎 傑作選】黄鳥の嘆き~二川家殺人事件(1)
3分割のうちの1
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【柳田國男】山の人生:31-山人考【青空文庫・ゆっくり朗読】
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【小酒井不木 傑作選】死の接吻
その年の暑さは格別であった。ある者は六十年来の暑さだといい、ある者は六百年来の暑さだと言った。でも、誰も六万年来の暑さだとは言わなかった。
中央気象台の報告によると、ある日の最高温度は華氏百二十度であった。摂氏でなくて幸福である。
「中央気象台の天気予報は決して信用出来ぬが、寒暖計の度数ぐらいは信用してもよいだろう」と、信天翁あほうどりの生殖器を研究して居る貧乏な某大学教授が皮肉を言ったという事である。
東京市民は、耳かくしの女もくるめて、だいぶ閉口したらしかった。熱射病に罹かかって死ぬものが日に三十人を越した。一日に四十人ぐらい人口が減じたとて大日本帝国はびくともせぬが、人々は頗すこぶる気味を悪がった。
何しろ、雨が少しも降らなかったので、水道が一番先に小咳こぜきをしかけた。
日本人は一時的の設備しかしない流儀であって、こういう例外な暑い時節を考慮のうちに入れないで水道が設計されたのであるから、それは当然のことであった。
そこで水が非常に貴重なものとなった。それは然しかし、某大新聞が生水宣伝をしたためばかりではなかった。氷の値が鰻上りに上った。N製氷会社の社長は、喜びのあまり脳溢血を起して即死した。
然し製氷会社社長が死んだぐらいで、暑さは減じなかった……
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【夢野久作 傑作選】悪魔祈祷書【ゆっくり怪談】
古書店で雨宿りする助教授が店主から「外道祈祷書」の話を聞かされる。価値を知らぬ学生が持ち込んだそれは世界に一冊しかない稀覯本……
「
われ聖徒となりて父の業を継ぎ、神学を学ぶ中(うち)に、聖書の内容に疑(うたがい)を抱き、医薬化学の研究に転向してより、宇宙万有は物質の集団浮動に過ぎず。
人間の精神なるものも亦、諸原素の化学作用に外ならざるを知り、従って宗教、もしくは信仰なるものが、その出発点よりして甚だしく卑怯なる智者の、愚者に対する瞞着、詐欺取財手段なるを認め、地上に於て最真実なるものは唯一つ、血も涙も、良心も、信仰もなき科学の精神を精神とする所謂、悪魔精神なる事を信じて疑わざるに到れり。
わが生まれいでし心は親兄弟、もしくは羅馬(ローマ)法皇が自分のために都合よく作り出せる所謂『神の心』には非(あら)ず。
生前の神罰、死後の地獄また在ることなし。何をか恐れ、何をか憚(はばか)らんや。
歴代の羅馬法皇、その他の覇者は皆この悪魔道の礼讃実行者なり。
万人の翹望(ぎょうぼう)する上流階級の特権なるものは皆この悪魔道に関する特権に外ならず。
人類の日常祈るところの核心(もの)は皆、この外道精神の満足に他ならず。強者は聖書を以て弱者を瞞着し、科学の教うるところの悪魔の力を恣(ほしいまま)にして恥じざらむとす。
全世界の人類よ。皆、虚偽の聖書を棄てて、この真実の外道祈祷書を抱け。われは悪魔道のキリストなり。弱き者。貧しき者。悲しむ者は皆吾に従え」
といったような熱烈な調子で、人類全般に、あらゆる悪事をすすめる文句がノベタラに書いて御座います。私(あっし)はそれを読んで行くうちに、自分の首を絞(しめ)られるような気持になってしまいましたよ。西洋(あちら)には血も涙もない悪党が多い。生肝(いきぎも)取りだの死人(しびと)使い、奴隷売買、人殺し請負いナンテものは西洋人でなくちゃ出来ない仕事だと聞いておりましたがマッタクその通りだと思いましたナ。
その耶蘇教(やそきょう)の僧侶(ぼう)さんは多分、精神異状者か何かだったのでしょう。
そんなつもりで、世界中を悪党だらけにするつもりで、一生懸命に書いたらしく、この世界が「悪」ばっかりで固まっている世界だ……神様なんてものは唯、悪魔の手伝いに出て来た位のもんだっていう事を、出来るだけ念入りに説明しているんです……
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【甲賀三郎 傑作選】支倉事件(19-完)
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青空文庫朗読 昨日・今日・明日 織田作之助【ゆっくり音声】アクセント無し
青空文庫の棒読みちゃん朗読動画。
青空文庫テキストを自動変換して、そのまま読ませています。
原文を投稿用に改変し、読めない漢字・旧仮名・記号を変換・読み飛ばししてます。
重要単語の誤変換・読み間違い・違和感等、御了承下さい。
タイトル横に●は元、旧仮名遣いです。字幕■は表示出来なかった漢字・記号です。
指摘・コメント・ソフト・作成者・青空文庫の方、ありがとうございました。
同じ様な動画の作り方(sm27511154)
青空文庫テキストを棒読みちゃんで読み上げる(sm24415644)
参考サイト・使用ソフトはブロマガに(ar619238)
青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/index.html)
青空文庫朗読マイリスト(mylist/44256589)
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【小酒井不木 傑作選】少年科学探偵(3)~髭の謎
博士の死
それは寒い寒い一月十七日の朝のことです。四五日前に、近年にない大雪が降ってから、毎日曇り空が続き、今日もまた、ちらちら白いものが降っております。
塚原俊夫君と私とは、朝飯をすましてから、事務室兼実験室で、暖炉を囲んで色々の話をしておりました。と、十時頃、入口のドアを叩く音がしましたので、私が開けてみると、二十歳ばかりの美しいお嬢さんが、腫れあがった瞼をして心配そうな様子で立っておりました。
「塚原俊夫さんはお見えになりますか?」
とお嬢さんは小さい名刺を私に渡しました。
「お願いがあって来ましたとおっしゃってください」
俊夫君は私の渡した名刺を見て、
「さあ、どうぞお入りください」
と言いました。その名刺には「遠藤雪子」と書かれてありました。
やがてお嬢さんは俊夫君とテーブルに向かいあって腰かけました。
「ご承知かもしれませんが、私が遠藤信一の娘でございます」
「ああ、遠藤先生のお嬢さんですか、先生は相変わらずご研究でございますか?」
と俊夫君は言いました。
令嬢は急に悲しそうな顔になって、
「実は父が昨晩亡くなったのでございます」……
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【朗読】「亡霊ホテル」山本周五郎
青空文庫さま
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【小酒井不木 傑作選】少年科学探偵(5)~白痴の知恵
魚釣り
塚原俊夫君が、魚釣りを好むことは、これまでまだ一度も皆さんに紹介しませんでしたが、俊夫君は、かつて動物学を修めたとき、ことに魚類の解剖と生理とに興味を持ちまして、それと同時に魚釣りも大好きになったのであります。
近頃では、むずかしい事件を依頼されると、わざわざ魚釣りに出かけて考えをまとめることもありましたが、多くの場合は、半日か一日を面白く遊んで頭脳を休めるために、魚釣りに出かけるのでした。
魚釣りの場所は、言うまでもなく東京の郊外ですが、これという決まった所へは行きませんでした。時としては二里も三里も離れたところへ行くことがありまして、いつの場合にも私がそのお供を仰せつかったことは申すまでもありません。私も小さい時分から魚釣りが好きですから、いつも喜んでお供をしました。
ある日、私たちは、久しぶりに、東京府下××村の方面へ鮒釣りに出かけました。それは柿の実がようやく色づきかけた十月なかばの、小春日和ともいうべき暖かい日でして、私たちは午後の陽光ひかり
を浴びながら、釣り竿を担いで色々の話に笑い興じ、元気のよい歩調で野道を歩いてゆきました。
すると先方から一人の巡査が佩剣はいけんを光らせ、今一人洋服を着た紳士と連れ立ってこちらへ歩いてきましたが、洋服の紳士は私たちを見るなり、にこりと笑って、
「やあ、俊夫君じゃないか?」
と言いました。見るとそれは「Pのおじさん」すなわち警視庁の小田刑事です。
「こりゃ、よい所で逢った」
と小田さんは立ちどまって言葉を続けました。
「実は、今日これから君のところを訪ねようと思ったんだ」
こう言ってそばの巡査を顧みて、何やら小声で相談し、さらに俊夫君に向かって言いました。
「実はこの村に殺人事件が起こって、有力な犯人と目星をつけていた男を逮捕してみると、それがどうやら犯人ではなさそうなので、みんなが困ってしまったんだ。君一つ、働いてくれないか?」
俊夫君は魚釣りに来たことなど、すっかり忘れてしまったと見え、言下に「よろしい」と返事をしましたので、小田さんたちは道を引っ返し、私たちを案内してやがて四人は村の駐在所へ参りました。小田さんと連れ立っていた駐在所詰めの巡査は俊夫君に向かって、次のごとき事件の顛末を語りました。……
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【小酒井不木 傑作選】少年科学探偵(1)~紅色ダイヤ
本書に収めた六編の探偵小説は、雑誌『子供の科学』に連載されたもので、尋常五六年生から中学二三年生までくらいの少年諸君の読み物として書いたのであります。
現代は科学の世の中でありまして、科学知識がなくては、人は一日もたのしく暮らすことができません。しかし、科学知識を得るには、何よりもまず科学の面白さを知らねばならぬのでありまして、その科学の面白さを知ってもらうために、私はこの小説を書いたのであります。
次に科学知識なるものは、書物を読むと同時に、よく「考える」ことによって余計に得られるものであります。ですから、ドイツの諺ことわざにも、「読むことによって人は多くを得るが、考えることによって人はより多くを得る」とあります。
しかるに、探偵小説は、読む小説であると同時に読んで考える小説であります。それゆえ、私は私の小説を読まれる少年諸君に、ものごとを考える習慣をつけてもらいたいと思って書いたのであります。
少年科学探偵、塚原俊夫(つかはらとしお)君の出る物語は、これでおしまいではありません。私は、今後追々発表してゆくつもりですから、皆さん、どうかいつまでも愛読してください。
終わりに、本書の出版に関して、少なからぬ尽力をしてくださった神田書房主と友人深野滋君、および、雑誌に発表した当時から、ずっと挿画を書いて下さって、本書にも美しい筆をふるってくださった森田ひさし画伯に、深甚の謝意を表します。
大正15年12月(『少年科学探偵』文苑閣、1926年12月、所収)
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