エーデルヴァイス デモFlash

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【弐】「……結局出向く事にしたのか」 奥の執務机で他に何をするともなく巻煙草を吹かしていた彼は、私の姿を横目に知るなり口を開いた。「ええ…お電話差し上げた通り、明日のつもりで」「……今しがた銀行で受け取ってきた所だ。仕事が終わればまた同じ額を出すらしい」 机に無造作に置かれていた五円札の束を彼は寄越す。 新券の厚みで大方の額は察せられた。「こんな端金は要らんなどとは言うまいな」 彼、八神氏は我が家の財産を揶揄してたまにそんな事を言う。 彼の実家こそ明治の終わりまでは相当な資産持ちだったらしい。 ともあれ父親同士の些細な縁が元で今の私は彼と繋がっている。

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