ビールの開発部におちょくられて疑心暗鬼になる江口洋介

ビールの開発部におちょくられて疑心暗鬼になる江口洋介

 次々に出されるアルコール飲料を否応無しに飲まされる悪徳飲みサーの新人イジリめいた所業に、身魂もろとも酩酊し、胡乱な思考と味覚は本来の江口洋介さんを直隠しにかくす。 喉元を流れるアルコールの刺激は、今や終わらない人体実験への恐怖を煽り、熾火のように心を炙る。「なにこれうまい!!」 言葉とは裏腹にひどく乖離した空虚さは、酔いの回った頭には焦燥感未満の燻りを覚えさせるのに十分すぎた。 カチャッ……。また新たな黄金色がグラスに注がれる。 それは明日の天気でも聞くような、小鳥が囀る日和の詩じみた軽快さを孕んでいた。 まるで悪意を知らない少年のような悪辣さを前に、もはや自分はビールに、そして出口の無い迷路に、飲まれるしかないのだと悟ったという。オファーをのむんじゃ、なかったと。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm34746420