トラウマ映画館 『マドモアゼル(1966)』 町山智浩解説 ネタバレ注意

トラウマ映画館 『マドモアゼル(1966)』 町山智浩解説 ネタバレ注意

聖ジュネ、少年時代の傷~『マドモアゼル』Mademoiselle【あらすじ】映画が始まり、画面に映し出されるのは草木の茂る山の中でそんな自然には似つかわしくない都会的な洋服で着飾った女が重そうなクランクを懸命に回している姿だ。クランクは田舎の村の水門の解放弁らしく、女がクランクを回したことにより大量の水が奔流となって溢れ、村を水浸しにする。その場から逃げ出した女は草原で鶉の巣の中の卵を見つけ、それを掴み取ると歓喜に燃える目で握り潰す。家に帰り自分の部屋から突然の出水に慌てふためく村民をうっとりと眺める女。そして夜。外の暗闇へと出た女は、小走りに村の道を抜けると、手ごろな納屋を見つけ、それに火を点けた…。映画『マドモアゼル』は、そんな、あまりにも不穏な出だしから始まる。しかし、女の表の顔は、村人たちから愛され尊敬され、都会からやってきたことから"マドモアゼル"とさえ呼ばれている、小学校の女教師だった。村を騒がす凶状がこの女のせいだとは誰も思わなかった。村人たちが疑ったのは、村はずれに住む流れ者のきこりの男だった。村人たちは、単によそ者である、ということだけからこの男を犯人だと決め付けた。一方、"マドモアゼル"は、この逞しいきこりの男に、密かに燃え上がるような情欲を滾らせ、淫らな色欲を押し殺しながら、何食わぬ顔で男に……【町山智浩解説】ジャンヌ・モローは田舎の農村の小学校教師。村でただ一人のインテリの彼女は村人から「マドモアゼル」と呼ばれて尊敬され、子どもたちから愛されていた。ところがイタリアから出稼ぎに来た、たくましい木こりに出会ったマドモアゼルは彼を思って悶々とし始める。そして、満たされない欲望を癒すために夜な夜な、納屋に放火し、農業用水貯水池の水門を開けて洪水を起し、家畜を毒殺し、あわてふためく農民を見ながら悪の悦びに震えるのだった……。監督は、「怒れる若者たち」の代表作『長距離ランナーの孤独』のトニー・リチャードソン。原作は、『泥棒日記』のジャン・ジュネ!脚本は、『24時間の情事(ヒロシマ・モナムール)』『愛人ラ・マン』のマルグリット・デュラス。そして主演はもちろんジャンヌ・モロー。彼女が犬のように四つんばいになって男の股間を見つめているポスターも実に色チック。■マドモアゼル [DVD] https://amzn.to/2VVHkWR ■トラウマ映画館 (集英社文庫) https://amzn.to/335jEkh

http://www.nicovideo.jp/watch/sm36489783