10代の若者の大きな支持を背景に、リップシンク(音楽や音声に合わせて口を動かしたり踊ったりしたりすること)で15秒の短い動画を投稿するSNS(交流サイト)アプリ「TikTok(ティックトック)」の人気が急速に拡大している。筆者が所属するフラー(千葉県柏市)が手がけるアプリ分析ツール「AppApe(アップ・エイプ)」によると、日本国内の日間利用者数は6~7月のわずか2ヶ月間で倍増した。8月に入っても毎日増加し続けている。韓国では5月中旬から7月末にかけて2倍以上に膨れ上がった。主なユーザー層は10代で、日韓ともに3割を占める。時間帯別の利用率を見ると、午前7時と午後6時に大きな利用のピークがある。中高生にとって新たな「放課後遊びのツール」として普及していることがうかがえる。4月からスマートフォン(スマホ)を持ち始めた筆者の小学6年のめいは「TikTokを朝起きてすぐに見て、帰宅してもチェックしている」。友人のほとんどが、TikTokを知っているという。アップ・エイプの時間帯別利用データは、めいの行動と見事に重なっている。TikTokには若者を中心に多数の動画が投稿されるTikTokは1日当たりの平均起動回数でも群を抜く。18年6月のデータによると、日本のユーザーは42回、韓国ユーザーは70回以上も起動している。代表的なSNSアプリであるツイッターが15回ほどであることを考慮すると、驚異の起動回数だ。なぜ熱狂しているのか。鍵を握っているのは「尺の短さ」にあると筆者は見ている。TikTokで投稿できる動画の長さは15秒と短い。投稿者の視点で見ると、動画というリッチなコンテンツながらも、尺が短いことが投稿への障壁をぐっと下げる。決められたフォーマットや音楽、テーマがあらかじめアプリ内に準備されており、アプリ内で編集作業を完結できる。撮影から公開までの所要時間はわずか数分だ。他の動画アプリを使ったり、大掛かりな機材を使ったりすることもないため、余計な作り込みの手間やお金もかからない。視聴する側は、15秒の短さゆえにテンポよく動画を視聴できるメリットがある。すきま時間に視聴できる手軽さが、起動回数の圧倒的な多さを後押しする。広告戦略でも「15秒」は大きく寄与している。TikTokのCM動画は、15秒の尺に合わせて製作。ユーザーが公式動画を真似して動画を作り、さらに拡散するという循環も生み出している。TikTokを見ていると、初めて買ったビデオカメラの画面に、自分の姿が写っているだけで面白くて仕方がなかった少年時代を思い出す。いつの時代も動画は若者にとって魅力あるコンテンツなのだ。