ならずものの宴

オンドリとメンドリの番いが、山へクルミを食べに行ったのだが、歩いて帰るのが億劫になった。そこで、二匹はクルミの殻で車をこしらた。しかし、今度はどちらが車を引くかで言い争いになってしまう。しばらくすると、一羽のカモがやってきた。カモは二匹が自分の山のクルミを無断で食べたことに気づくと憤慨し、二匹に襲いかかった！ が、あえなく撃沈。罰として車を引かされることになる。道すがら、とめ針と縫い針が車に乗せて欲しいと頼んできた。二匹は一緒に宿まで行くことを承諾した。宿の主人はこの一行を泊めることを大層しぶった。しかし、メンドリが道中で産んだ卵とカモをあげるから、と言われたため、仕方なく泊まらせてやることにした。オンドリたち一行は、豪華に飲み食いをし、寝床に入った。翌朝、オンドリとメンドリは早起きして、メンドリの卵に穴を開けて中身を飲み、殻をかまどの上へ放り投げた。そして、まだ寝ていたとめ針と縫い針を、椅子のクッションと洗面所の手ぬぐいに刺し、そのまま逃げてしまう。しばらくして起きたカモも小川に飛び込んで逃げてしまった。それから2～3時間後に宿屋の主人が起床した。顔を洗って、手ぬぐいで顔をふこうとすると、刺してあった針が顔に突き刺さった！　ひとまず落ち着こうと、タバコのパイプに火をつけるためかまどの傍へ。すると、置いてあった卵の殻が弾けて、宿屋の主人の目に入る！　怒りに震えながら椅子に腰掛けると、今度は尻に針が深々と突き刺さる！昨夜遅くに来たあのお客が怪しいと思い、宿屋中を探し回るが、もう誰も宿にはいなかった。宿屋の主人は、「さんざん飲み食いした挙句、金を払わず、いたずらまで仕掛けていくようなならず者は二度と泊めまい」と心に誓うのだった。

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