新型コロナ“後遺症のメカニズム”で画期的発見

新型コロナ“後遺症のメカニズム”で画期的発見

 新型コロナウイルスの後遺症に悩まされる人が多いなか、なぜ後遺症が出るのか。最新研究が明らかになりました。 全国的に減少傾向が続く新型コロナの感染者数。 ワクチンの接種が広がり、治療薬の選択肢も増え、日常生活を取り戻す動きが始まっています。 一方で、治癒した後に後遺症で苦しむ患者は多くいて、今月に出された最新の報告によりますと、感染から半年経っても4人に1人が後遺症に悩まされているという結果が出ました。 京都大学・上野英樹教授:「今一番、体で調子が悪いのはどこですか?」 後遺症に11カ月間悩む女子大学生:「鼻…嗅覚がやっぱ。ニン二クとか特定の物がすごく臭くなってしまっていて」 倦怠(けんたい)感や嗅覚障害が1年近くも続き、臭いがきつすぎて食事ができない程だという大学生。 「コロナ後遺症」は脱毛や抑うつなど人によって様々な症状が出ることは分かっていますが、後遺症に対する治療法は確立されていません。 京都大学・上野英樹教授:「今、恐らく困っておられるのが診断もしっかりされない、治療も見つからないと、どこに行っていいのか分からないという現況があると思います」 京都大学の上野英樹教授は先ほどの大学生や後遺症に悩む患者から血液を集めて分析し、画期的な発見をしました。 まず、体にはウイルス感染した細胞と戦う「T細胞」と呼ばれる免疫細胞があります。 そしてT細胞には複数の種類があり、オレンジ色の「ウイルス感染した細胞を排除するもの」と緑色の「その作用しすぎた役割を抑えるもの」が、後遺症が軽い患者よりも倦怠感が強い患者の方で多くなっていた事が教授の研究から分かったのです。 京都大学・上野英樹教授:「新型コロナウイルスに感染した際に非常に強い免疫応答が起こって、それで『排除の細胞』が一気に出てきたけども、それがちょっと強すぎるのではないかと。強すぎるような反応が起こっために抑制(細胞)系が抑えようとするんですけど、車に例えますと、アクセルと同時にブレーキを踏んでいる様な感じで。免疫の乱れというふうに私たちは呼んでいる」 つまり、2つの免疫細胞が同時に多くなり、免疫の調整ができなくなってしまったことが後遺症のメカニズムではないかと考えられます。 また、嗅覚や味覚障害だけが残る患者については2つのうち「ウイルス排除細胞」が極端に少ないことも判明し、今後、診療や治療に役立てたいと話しています。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm39549558