「ここに何があったの」大火で焼失した映画館“小倉昭和館”の1週間~福岡・旦過市場火事

「ここに何があったの」大火で焼失した映画館“小倉昭和館”の1週間~福岡・旦過市場火事

北九州の台所「旦過市場」で起きた2度目の火災で、老舗の映画館「小倉昭和館」は全焼しました。80年以上の歴史のあった映画館が形をなくし、人々の記憶から薄れてしまうことにどう向き合えばいいのか、館主は気持ちの整理がつかず複雑な思いを抱えています。◆毎日、焼け跡に足を運ぶ旦過市場一帯のシンボルになっている小倉昭和館を、3代目館主として守ってきた樋口智巳(ひぐち・ともみ)さんです。樋口智巳館主「ここが見る影もないけれど劇場です。今まで毎日休館日も来ていましたから、やっぱり来ないと」2度目の火災のあとも毎日、建物があった場所に足を運んでいます。◆レトロな雰囲気が魅力の映画館1939年に開館した小倉昭和館。いまどきの映画館ではあまり見なくなった35ミリフィルムの映写機も残っていて、「昭和」を感じさせるレトロな雰囲気が、多くの世代の心をつかみました。しかし10日の夜、消防の懸命な消火活動も追いつかず、昭和館は瞬く間に真っ赤な炎に包まれました。一夜あけて、樋口さんが目の当たりにしたのは、無残な光景でした。山積みになったがれきの中には、階段の一部や映写機がありました。昭和館が築いてきた80年以上の歴史は、一瞬にして失われてしまったのです。◆「ここに何があったの」記憶が薄れる火災の3日後、昭和館があった場所には、手探りで思い出の品を拾い集める樋口さんの姿がありました。樋口智巳館主「高倉健さんの写真。健さんのコーヒーを入れていた。この1週間のことはもう覚えていないです。さら地になっ時に、ここなんだったの、何があったのとなると思って。もちろんがれきの撤去はしなければいけないですが。まだこれからのことは考えられないですね」あっという間だったという1週間。今後、がれきの撤去が進み、昭和館の名残すらも消えていくことに樋口さんは複雑な思いだと話します。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm40965311