不思議の国のゲイたち 第三話「在宅介護」

不思議の国のゲイたち 第三話「在宅介護」

この映画の出発は、映画を作ってみたいという人3人の、初監督作品だけでオムニバス映画をやってみようということだった。俳優として『ぼくらの季節』や『グッバイボーイ』などで初期の頃からゲイ映画に深く関わり、近年は監督として『ミステイク』や『こんな、ふたり』などの秀作を作り続けている、池島ゆたかがプロデューサーを担当、早速人選から開始した。とにかく今までにないような斬新な企画で、夢のようなゲイ映画を作りたいという池島は、次々とアイデアを出してきて、その中から具体化してきたのが、異分野でそれぞれ活躍する女性3人に監督してもらったらどうだろうかというものだった。ただ、面白半分でゲイの世界をいい加減に描かれても困るということで、結構この世界にも詳しくってというところから、女優として何本もゲイ映画に出演して関わってきた伊藤清美、サブカル界ではカリスマ的な人気を誇りゲイネタ本の出版も多い漫画家ソルボンヌK子、そしてゲイ映画のシナリオを何本も書いてきた売れっ子脚本家五代暁子、の3人が監督を担当することになった。脚本もそれぞれが書くということで。新人監督、女性監督、短編3本のオムニバス、というまさに前代未聞の映画製作はこうしてスタートした。そして映画は、まさにこのコーボレイトが上手くミックスされた、バラエティーに富んだ傑作に仕上がった。3本の内容は、美少年モノ、デブ専モノ、老け専モノという、オムニバスでしか成立しないストーリーが絡み合い、その上に短編映画ならではの挑戦が随所に見られ、まさに「不思議な」世界が形成されている。絶妙のバランス、企画の勝利、というものだろう。まさに数歩でもずれていたらこの映画の面白さは崩れていたかもしれない。ここらはプロデューサーの池島の手腕だろう。貴方はどの作品に感情移入できるか、ぜひこの映画で試してほしい。ひょっとすると、意外な貴方の性癖の一面が発見出来るかもしれない。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm41988969